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死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
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私達は仲間、ソウルメイト。

「私もリリンちゃんを感じる」


 靖子さんは創作活動をしている最中にリリンを感じたそうだ。


 そうだ。私達の創作活動でリリンの居場所を特定できれば独りぼっちになったリリンを見つけだす事が出来そうな気がした。


 サージェントの呪いが何だ。


 私達はそんな呪いに負けたりはしない。


 呪いが解けたのも私達がリリンに対する思いから、解くことが出来たのだ。


 私達は書いて書いて書きまくる。


「この思いリリンに届けえええーー」


 すると突然に光が収束して、リリンが実体化した。


「リリン!」


「雅人よ!」


 リリンは私に抱きついてきた。


「我は怖かったぞ。誰もいない真っ暗な暗闇の中を独りでさまよっていた。

 そこで光が見えた。

 これはいつも我の魂向上の為に尽くしてくれる光の道しるべが見えた。

 それが雅人と靖子の創作活動のオーラと見た」


 新しい夜明けと共に、リリンは現れた。


 これは奇跡だ。


「さあ続きを始めるよ靖子さん」


「ええ、雅人さん」


 リリンのオーラは赤く光っている。


 そんな時である、リリンが闇の魂を感じると言い出した。


「サージェントよ。姑息な真似はしないで、出てきたらどうだ」


 するとサージェントはしゅったっと姿を見せた。


「死神の中でも下等な存在のお前に、ここまでやられるとはな」


 サージェントは両手を広げて、ドスグロいオーラを発した。


「お前達もここまでだ」


「リリン」


 刀になってくれとアイコンタクトをした。


「分かっておる」


 リリンは刀になり、私はそれを持って構えた。


 刀が赤く光っている。


「何だこの力は、下等な死神リリンにこんな力が合ったのか?」


 靖子さんの座敷わらしが弓になり金色に輝いている。


「靖子さん行くよ」


「分かっている」


 私は刀を構えて、靖子さんは弓を構えている。


「サージェント、リリンの事を下等と言ったが、下等なのはお前の方だ」


 刀と化したリリンを持ちサージェントに迎え打つ。


「我は死神の中でも上位に立つ死神、お前達に負けるわけにはいかないのだ」


 サージェントの底力か?邪悪なオーラを放ち、私達に迎え打つ。


 だがパワーアップした私達の力の前ではそんな力は通用しない。


 靖子さんが矢を放ち、急所に当てて、サージェントの邪悪に包まれたオーラが霧散していった。


「とどめだ」


 私は刀と化したリリンを構えてサージェントの所まで追いつめる。


 そしてサージェントに刀で切りつけた。


「ぐわああああ」


 ドスグロいオーラがサージェントから放出して、その放出された邪悪なオーラが邪悪な表情をした者に変化した。


 そこで刀と化したリリンの声が聞こえる。

「雅人よ、サージェントをジュリアンと同じ目にあわせるわけには行かぬ、サージェントを助けるのじゃ」


「分かった」


 実体化したドスグロいオーラはジュリアンの時よりも邪悪でパワーも増している。

 その実体化した邪悪なオーラがサージェントを殺そうとしている。


「そうはさせないわ」


 靖子さんは金色の光をまとった矢でドスグロい邪悪な顔をしたオーラに放った。


「ウオオオオン」


 と断末魔を上げて、私はとどめを刺そうと高くジャンプして、ドスグロい邪悪な顔のオーラの集合体の眉間に突き刺した。


「グオオオオオオ」


 再び断末魔を上げて、邪悪なオーラは消えふせた。


「ようやく消えたな。サージェントは無事だ」


 サージェント、こいつには聞きたいことがたくさんある。


 リリンは刀から元の姿に戻り、サージェントの方へと向かう。


「起きろサージェント、貴様には聞きたいことがたくさんある」


 気絶しているサージェントの頬を叩くリリン。


「我は何を・・・」


「どうやら雅人よサージェントは操られた事さえ覚えておらぬ」


 するとリリンは弓矢のような物を持っている。


「リリンその弓は?」


「サージェントに放たれた矢じゃ。我がこうしてつかんでおる」


「サージェントは殺されそうになったのか?」


「そうじゃ、何者かは知らんが、利用価値の無くなった死神を排除しようとしておるのじゃろう」


「お前は死神のリリン、我が部族と同じリリンだな」


「小奴、我の事は覚えておるそうじゃな」


「覚えているさ、一度死神の名を聞いたら我は忘れぬからな」


「さて本題に入る、どうしてサタンの配下となったのじゃ?」


「我がサタンの配下だと?」


「その事も覚えておらぬのか?」


「我はサタンに妻を殺された。その恨みとして我はサタンに立ち向かった」


 サージェントは言った。妻が殺されたと、それを靖子さんに重ねると、ひどい憤りがわき起こった。

 

 それで私は「気持ちは分かるよ、サージェントとやら」


「貴様に何が分かる。妻を殺され、私はすべてを失った」


 きっとサージェントは怒りに狂い勝てぬ相手とも知っても、サタンに立ち向かったのだろう。


「サージェントよサタンの力は次第に大きくなっている。ここでどうじゃ、我らと手を組まぬか?」


「貴様のような下等な死神なんかの手など借りぬ」


「お前はその下等な死神にやられたのだぞ」


「我がお前なんかに、嘘だ」


 サージェントはおぼつかない足取りで立ち上がり、リリンに立ち向かった。


 だがリリンは手の甲で立ち向かうサージェントを払って倒した。


「何だ?この力は?」


「我一人だったら、お主の言うとおり我は下等な死神にすぎぬ、しかし我には人間の魂向上の力を得る事が出来る」


「お前は人間の魂向上の力を得ることが出来るだと、そんな人間は滅多といないぞ、そんな人間を仲間に出来たのか?」


「そうじゃ、小奴らは我の親愛なる仲間であり家族でもある」


「そうか、それならば貴様等に勝ち目が無いわけだ。

 私の力は魂の成長を遮る力しかない」


「その力はもしかしたら我らの役に立つかもしれぬ」


「我はゴメンだ。我は我の力で奴をしとめる」


 そういってサージェントは姿を消してしまった。


「リリン話は聞かせて貰ったよ。あのサージェントとやらを一人にするのは危険なんじゃないか?」


 私が言うとリリンは「分かっておる。奴は大切な人を殺された憎しみで動いている」


 先ほどまでは敵であったが、サージェントの事が少し心配だった。


「さて雅人よ。我は腹がペコペコじゃ。何か馳走を食わせて貰えぬか」


 何て暢気な死神だと、私と靖子さんは互いに目を合わせて笑ってしまった。


 そこで靖子さんが「ご馳走とまではいかないけれど、どこか牛丼屋かどこかで食べましょう」


「牛丼とは何じゃ雅人よ。何かうまそうな感じのネーミングじゃな」


 下品にも涎を垂らしながら私に近づいてくる。


「行けばわかるよ。とにかくここは京都みたいだね。靖子さん」


 すると靖子さんは私に抱きついてきた。


「靖子さん」


「もう私から離れないで、危うくサタンに魂を売り損ねてしまったわ。人間一人になると、やけになる癖があるから」


 そうだ。靖子さんも身よりのない、いわば孤児、私が守って上げないと彼女の心は壊れてしまう。


「靖子さん、私を信じて。もしこのような事が今後あっても。私達は信じあう仲間、いやソウルメイトとして私達を信じて」


「雅人さんは信じていたのね。私の事、それなのに私ったら一人になるとやけになってサタンに魂を売り損ねた。私って最低よね」


 泣き出してしまう靖子さん。


「靖子さんあんまり自分を責めないで」


「そうだね、あんまり自分の事を責めたりしたら、またサタンに心を惑わされてしまうからね」


 そこでリリンが「とにかく牛丼とやらを堪能していこう」


 リリンが明るく言ったものだから、場の空気が和やかになった。


「そうだね、早速牛丼を食べに行こう」


 靖子さんも元気になり、私の心は晴れ晴れとした。





 ******   ******





 真っ暗な闇の中、玉座に鏡が置いてある。


「サタン様に申し上げます。サージェントが闇の心から解放され、我らの事を狙っております」


 すると鏡が光りだし、サタンが言う。


「フンッ、サージェントの奴、私に妻を殺されたことを根に持っていたからな。

 まあ良い、サージェントに眼中はない。

 それより、リリン達の魂向上は進んでいるみたいだな。これはどういう事だ」


「ハッ申し上げにくいのですが、サージェントの奴がしくじり、奴らが集結したみたいです」


「我の憎しみも完全ではない。このまま魂を向上されるとやっかいだ。

 次の手は打ってあるんだろうな」


「ハッ今度こそ奴らの息の根を止めて見せます」


「期待しておるぞ」




 ******   ******




「雅人、牛丼とやらはおいしいのう」


「リリン、そんなにおいしかったかい?」


「ふむ、おいしい物を食べると気持ちが高ぶる」


 そこで靖子さんが「さあ、魂向上のために今日もどこかの喫茶店で、創作活動をしましょう」


 靖子さんはノリノリだ。


 靖子さんはスマホを取り出して、近くに喫茶店はないか、スマホで調べている。


 早速見つけだし「今日はここの喫茶店で創作活動をしましょうよ」


「そうだね、あまり人目につかないところの喫茶店で創作活動をしよう」


 早速喫茶店に入り、品の良さそうなおばさんが迎えてくれた。


「いらっしゃい。お好きな席に座ってください」


 品の良さそうな喫茶店だ。

 外観も綺麗で、中も綺麗だ。


 適当に私達は座って早速創作活動に打ち込んだ。

 以前よりも魂力があがっていて、スラスラとアイディアが浮かんでくる。


 サージェントにやられそうになった時、私達はやる気をなくした。

 でも私達はめげずにその呪いを解くことが出来た。


 もっとだ。もっともっと魂力を上げるんだ。


 私は小説。靖子さんはイラスト。


 それぞれ魂力を上げ、いつの間にか日が暮れていた。


「さて今日はこれぐらいにしておこうか」


「そうじゃのう」


 そこで座敷わらしが「今日はもう終わったの?」


「うん、今日はここまで」


 と靖子さんが言うと「じゃあ、あたしと遊んで」


「良いわよ」


 と言って靖子さんはポケットからあやとりを出した。


 靖子さんは座敷わらしと遊んでいる姿は、何か心が和む。


 私も子供の頃、わがままな性格で、何か買ってくれないとヒステリーを起こすような問題児だった。


 言うことも聞かず、いつも周りに迷惑をかけて過ごしていた。


 それでも死んでしまった両親は私の事をかわいがってくれた。


 呪われしアケミとリリスに殺されたんだっけ。

 でもその矛先を向けるのはアケミとリリスではなくサタンに向けるべきだ。


 サタンが私の両親を惑わし殺した。


 思えば親に何も親孝行した事がない。


 そんな悲しいことを考えていると背中からリリンの手が添えられていた。


「どうした雅人よ。お主の魂が泣いておるぞ」


「泣いて何ていないよ」


 と嘘をつく。


 するとリリンは私をギュッと抱きしめる。


「安心せい、我はいつも雅人の事を思っているぞ」


 リリンにそう言われて私は泣きそうになってしまった。


「大方座敷わらしと靖子が遊んでいるところを見て、両親の事を思い出してしまったのじゃろう。

 確かにあれはむごかったのう。

 じゃから我の胸を貸してやる今は思い切り泣け」


「・・・っ」


 私はリリンの胸元で静かに泣いた。


 リリンは事実上私の子供になっている。


 そんな子供の前で泣くなんて情けなくもなるが、今はこうして泣いていたい。

 でももう悲しみの涙はうんざりだ。

 靖子さんも座敷わらしもリリンも消えて欲しくない。


 今回のサージェントの件で一人一人になり、一人の無力さを学んだ。


 リリンの胸で泣いていると、靖子さんが「どうしたの雅人さん」


 そこでリリンが「悲しいことを思い出して泣いていたそうじゃ。じゃから我の胸を貸して泣かしておる」


「何よ。雅人さん。そう言う事ならどうして私に相談しないの?」


 すると靖子さんは強引に私の顔を靖子さんの胸に当てた。


 これはこれで凄いインパクトがある。靖子さんの胸は軽くCカップを越えて、まるでマシュマロに包まれた感じがした。


「雅人よ、本当に良いおなごを貰ったのう」


 リリンがそう言って靖子さんは「もうリリンちゃんお上手何だから」と思い切り肩をひっぱだいて、リリンは少し吹っ飛んでしまった。 


「あーリリンちゃん大丈夫?」


 私を放り出して、リリンの元へ行く。


「靖子よ少しは手加減をしてくれ」


 その様子を座敷わらしが見て、「あはは」と笑っている。


「座敷わらし、笑い事じゃないんだ」


「パパ面白い」


「初めて私の事をパパと呼んでくれたな」


 すると喫茶店のおばさんは「喫茶店は遊び場ではございませんよ」


「「すいません」」


 と喫茶店にとどまって、五時間は経過している。

 コーヒー代だけでこんな時間までとどまっていたことに罪悪感を感じて、おばさんにコーヒー代とチップを上げて外に出た。


「さて今日もどこか健康ランドでも探そうか」


「チップなんて上げなくても良いのに」


 ちょっと怒り気味の靖子さん。


「まあ、良いじゃないかあんな時間まで止まらせて創作活動に打ち込めたのだから」


「まあ、そうね」


 と納得してくれた。


 さて私の涙はもう乾いている、早速健康ランドを探して少し創作活動に打ち込んだら寝よう。


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