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死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
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私達は負けない!リリン!

 大阪の健康ランドを後にして、私達は次はどこに行こうか靖子さんとリリンで相談する。


 そこでリリンが「ならどこか喫茶店とやらに行き、まずはそこで創作活動をするのはどうじゃ」


「それは良いね。私も書きたい物がたくさんあって心がわくわくする」


「じゃあ、スマホでどこか人目のつかない喫茶店で創作活動をしましょう」


 早速、靖子さんは喫茶店をスマホで検索した。


 路地から路地へと大阪の入り組んだ所にある、喫茶店にたどり着いた。


 中に入り、お客はあまりいなかった。


「ここなら落ち着いて出来そうね」


「そうだね」


 ポメラを出して小説を書こうとするが、なぜだろう今日に限っていつもと違い書けなくなっていた。

 私はどうしてしまったのだろう。

 書こうと思ってもいつものようにアイディアが浮かばない。


 もしかして私にスランプでも起きたのか?


 そこでリリンが「どうしたのじゃ雅人よ、今日はてんで魂が感じられぬぞ、それに靖子も」


「何だろう?今日はなぜかイラストが描けない」


「二人ともスランプか?」


「そうなのかどうか分からないけれども、何か今日は書けそうにない。何かいつもと違う感じがして」私が言う。


 靖子さんも「ええ、私も何か今日は描ける雰囲気じゃない感じがする」


 どうしてしまったのだ私達は。


 座敷わらしの後光を浴びても書ける感じがしない。


 いつもならスラスラとアイディアが浮かんで描けるはずなのに。


 そこでリリンが「お主達の魂の色がイビツな色に変化している、どうりで描けなくなったようじゃな」


「もしかして、またサタンの呪いにかけられたのか?」


 私が言うとリリンが「分からぬ、お主達の魂の輝きが見えない」


 もう一度、ポメラに向かって書こうとすると、書ける状態ではなかった。


 机の上で顔を伏せて、何かアイディアが浮かばないか、考えても無駄だった。


 とりあえず、外に出て、気分転換においしいラーメンを食べようとしたが、食欲もわいてこない。


 何だろう?てんで力が入らない。


 靖子さんも同じだった。


 これではリリンに魂の向上が出来ない。


 どうしたら良いのだ?


「もう一度、さっきの喫茶店で創作活動をしてみよう」


 私が提案すると、背後から「フッフッフッフッ、何度試したって無駄だ」


 そこでリリンが「お前はサージェント、もしかしてお前の仕業か?」


「いかにも、サタン様からの命令で私は動いている」


「やっぱりサタンの回し者の仕業か!」


「そうだ。貴様等の魂の輝きは俺がいただいた」


 そこで靖子さんが「返してよ。それがないと私達は使命を果たせなくなる」


「その使命を果たせなくさせるのが俺の仕事だ」


「リリン」


 剣になってくれとアイコンタクトで伝えたが、リリンは「お主の魂の輝きがない限り、剣にはなれん。

 じゃから我が小奴を退治する」


 リリンは死神の大釜を召還してサージェントに立ち向かった。


 だがリリンはサージェントの指を弾いただけで、吹っ飛んでしまった。


「リリンお前はしょせん下等な部類に入る死神だ。お前だけの力だけで俺を倒すことは出来ない。

 さてお前達には死んでもらおうか」


 サージェントは両手を広げて、サージェントの頭の上に黒いおぞましい黒い塊がわき起こってきた。


 このままではみんなお陀仏だ。


 するとそれに抵抗するように靖子さんが座敷わらしを弓に変えて矢を放った。


 サージェントに命中したが、力を奪われた靖子さんの矢は、サージェントの吐息で吹っ飛んで言ってしまった。


 そして座敷わらしは元の姿に戻り、「ダメえええええ」と言ってサージェントに向かって体当たりをした。


 サージェントは吹っ飛んで、頭上にためた力が霧散して私達は・・・。





 ******   ******




 真っ暗な闇の中、サージェントが玉座の上に置いてある鏡の前に立った。


「サタン様に申し上げます。

 奴らは一人一人になり、もう奴らには使命を果たす事が出来なくなっているでしょう」


「一人一人になっただと、それでサージェントよ奴らを始末したのか?」


「それには及びません、奴らは一人では何も出来ずに生き耐えるでしょう」


「黙れサージェントよ、念には念を入れて置かなければならぬ。一人残らず、奴らを始末するのだ」


「ハッ、かしこまりました」





 ******   ******




 ハッと気がついたら、私はとある砂丘に寝転がっていた。


 ここはどこだ?


 砂漠のような場所だ。


 辺りは真っ暗で誰もいない。


 それよりもみんなは?


 靖子さん。


 座敷わらし。


 リリン。


 どうやら私は一人になってしまった。


 あの時、サージェントとやらに座敷わらしが体当たりしていって、それでおぞましいオーラの塊が霧散していって。


 それよりも一人になってしまっては、奴らのサタンの呪われし連中にでもあったら私はお陀仏だ。


 スゴく心が不安になってきた。


 とりあえず真っ暗な所を歩き出すと海が見えてきた。


「リリン、靖子さん、座敷わらし」


 と大声で呼んだが何の返答も無かった。


 私は泣きそうになり、これでは使命を果たすどころか、一番最初の時の状態に戻ってしまった。


 あの日私が青木が原樹海で死のうとした時の事を思い出される。


「リリン、靖子さん、座敷わらし」


 もう一度大声で呼んでみたが何の返答もない。


 絶望だ。


 鞄が一つ置いてあり、私の鞄だった。


 中を見てみると、スマホにポメラが入っていた。


 そうだ。スマホで靖子さんのスマホでかけてみようとしたが、ここは圏外だった。


「そんなあ~」


 じゃあ、どこかスマホのつながる所まで行こうと歩きだした。


 すると町の明かりが見えてきた。


 でも迂闊に町に行くと呪われしサタンの下部たちにやられてしまうかもしれない。


 でも今はみんなと合流するために、行かなくてはいけない。


 どうかみんな生きていて、そしてリリンが言う使命を果たしに行こう。


 私は町の方まで歩いていった。


 町に到着すると、スマホの電波がつながった。


 試しに靖子さんのスマホにかけてみるとつながった。


 プルルルル   プルルルル


 そして出て「靖子さん?」


「もしかして雅人さん?」


「そうだよ、私は雅人だよ。今どこにいるの?」


「京都に行るわ、雅人さんはどこにいるの?」


「分からないけれど、見知らぬ町に・・・・」


 プツと通話が途絶えてしまった。


 どうやら電池切れらしい。


 また町に行ってスマホの充電をしに行こう。


 私は町に入り、私のいた場所は鳥取砂丘だと言う事が、道路の看板を見て分かった。


 さてどこかファミリーレストランを探しに行こう。


 そこでスマホの充電しに行こうと思っている。


 そんな時である、鈍器を持ったサタンに呪われし者が二人現れた。


 非常にまずい、僕は一人では戦えない。


 私は逃げる事しか出来ない。


 逃げると鈍器を持った二人は追いかけてくる。


「ウオオオン」「待ちやがれ」


 リリンがいれば、こんな事にはならないのに。


 やばい追いつかれてしまった。


 背中の服を捕まれ私に鈍器のような物で私に振りかざそうとしている。


 もはやこれまでか。死を覚悟した時、「まだ、あきらめるのは、早いんじゃないか?」どこからか聞き覚えの声が聞こえて来た。


「誰だ!?」


 そう叫んだとき恐る恐る目を開けると、リリスとアケミだった。

 鈍器を持った二人組はアケミとリリスの手によってやっつけて貰った。


「アケミ、リリス、どうして?」


 そこでアケミが「借りを返しに来た」


「借りって別にあんた達に、借りを返せなんて言っていないよ」


「あんたは私達にあんな事までしても、幸せにしてくれた。その借りを返しに来たって事」


 クールに言うアケミ。


「それはありがたい」


「あなた達は一人一人になったって言うじゃない。あなたはリリンがいないと使命は果たせなくなってしまうんでしょ」


「その通りだ。力を貸してくれる?」


「あなた達が四人そろうまで、力を貸すわ」


「それじゃあアケミ、スマホを持っているか?」


「今は持っていないわ」


「そうか、じゃあスマホを充電出来る場所まで私を案内してくれないか?」


「そんな事をしなくても靖子の居場所は特定できる。リリスよ、靖子の所まで案内してやれ」


「分かった」


 すると私は光に包まれて、靖子さんの居場所まで案内してくれた。


 たどり着いた場所は真っ暗な路地裏だった。


「靖子さんは?」


「大声で呼んでみろ」


「靖子さーん!」


 と大きな声で呼びかけると「雅人さん」と靖子さんの声が聞こえた。


 街灯もない真っ暗闇の中、次第に見えてきて、靖子さんの姿が見えてきた。


 靖子さんと抱き合おうとしたところ、アケミが「リリス」と叫び、私に体当たりをした。


 するとリリスが抱き合う事になり、靖子さんはエナジードレインを発した。


「靖子さんどうして」


 アケミが「命拾いをしたな雅人」しれっとした口調で言う。続けて「靖子はサタンの呪いにかけられていた」


「そんなあ~」


「だが大丈夫。リリスの聖なる力をエナジードレインで抱きしめれば、靖子は元通りになる」


 バリバリッと閃光が収まる時、靖子さんは電池の切れた人形のように倒れた。


「靖子さん」


 どうやら気を失ってしまったようだ。

 心臓も動いているし、ちゃんと呼吸もある。


「リリスは大丈夫なのか?」


 そこでアケミが「だいぶ力を使い果たしてしまったらしい」


 リリスは息を切らして、倒れている。


 するとアケミさんはリリスの手を取り、呪文のような言葉を言っている。


「何をしているんだ。アケミ」


「お前達がリリンに創作活動で力を貸しているような物のように、私はリリスに力を与えている」


 そこでリリスが「もう大丈夫だよアケミ」


「そうか」


 そんな時である。


 いくつもの光の玉が地面からわき起こり、その光が集結し座敷わらしが現れた。


 何だろう、座敷わらしの後光を浴びると生きる活力がわいてくる。


 座敷わらしは靖子さんになつき、靖子さんが気がつく。


「わらしちゃん」


 そこで私が靖子さんに近づき「靖子さん」


「雅人さん?」


「そうだよ私は雅人だよ」


 靖子さんは多少おぼつかない足取りで私を抱きしめた。


「良かった。雅人さんが無事でいて」


「アケミさん、最後のお願いだ。リリンの居場所を特定出来ないか?」


 アケミさんは「リリス、リリンの居場所を特定できないか?」


 するとリリスは目を閉じてリリンの居場所を特定している。


 しばらくしてリリスが「リリンの居場所は特定できない」


「どうして?」


「分からない。考えられるのはリリンはもうこの世にはいない」


 それを聞いた私は絶望に陥りさせられる程のショックを受けた。


 リリスは言った。リリンはもうこの世にはいないと。


「嘘だ、リリンがこの世にはいないなんて!」


 そこで靖子さんは「雅人さん落ち着いて」


「落ち着いてなんていられないよ」


 しまいには涙がこぼれ落ちてきた。


 そこでリリスが「まだ分からない。この世にいないと言っても死んだという事実はまだ存在していない」


 リリスの言葉に一筋の光が見えてきた。


「そうだよね。リリンはまだ死んだとは限らないよね」


「靖子さん。早速創作活動を始めよう」


「でもサージェントの呪いで私達は描けなくなってしまった」


「サージェントの呪いが何だ。私は書くぞ。リリン為にも私達の使命の為にも」


 街灯のない路地裏にも日の出が出てきて、私は小説を書く。


 だが靖子さんの呪いの通り書ける状態じゃなかった。

 アイディアが浮かんでこない。


 でも私は諦める訳にはいかないのだ。


 とにかく書くんだ。


 するとアイディアがどんどん浮かんでくる。


 サージェントの呪いが何だ。


 私はそんな得体の知れない呪いには負けない。


 靖子さんもイラストを描くことに没頭する。


 そこでアケミが「どうやら私達の出来ることはここまでのようね」


「ありがとうアケミ」


「礼を言われる程の事じゃないわ。私達はただあなたに借りを返しに来ただけ。行くよリリス」


 そういってアケミとリリスは去っていった。


 リリン、私達は書き続けるよ、書いて書いて書きまくってやる。


 朝の光が私達を照らして、真っ暗で見えなかったが、ここは公園の近くであり、私達は公園に移動した。


 その時、座敷わらしの後光を浴びて、創作活動の意欲が増した。


 とにかく私達の為にもリリンの為にも頑張るしかない。


 すると何だろうか?リリンの居場所が見えてきた気がした。


「どうしたの?雅人さん」


「今、リリンを感じた。リリンは生きている」


「リリンの居場所が分かったの?」


「分からないけれど、こうして創作活動をしているとリリンが見えてくる」


 その後も私と靖子さんは座敷わらしの後光を浴びながら創作活動に没頭している。


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