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死神様  作者: 柴田盟
第1章北へ
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ハイテンションな雅人

 昨日は災難に合った後に、瞬間移動して銚子の浜辺にたどり着きそこでリリンと遊んだ。

 思い返すと疲れるような事が盛りだくさんだが何故か私の感情は高鳴り続けている。

 私達は都会から瞬間移動して北に位置する銚子の海岸にたどり着いた。

 今日はどこで小説を書こうかと胸を高鳴り続けていた。

 リリンと手を繋ぎながら歩き、本当の親子って感じがしてテンションがあがる。

 浜辺伝いの道路を歩いて、一件のファミレスを見つけた。

「じゃあリリン、今日はあそこで小説を書こう」

「フム好きにすれば良かろう」

 早速ファミレスに入り、子供連れなのに「喫煙席ですか禁煙席ですか」と聞かれてちょっと失礼な定員だと思いつつ、私とリリンは禁煙席にすわる。

 店内を見るとお客は年寄りばかりだった。

 そんなこんなで私がパソコンを開いて文章を打つ、それで私の小説を書く魂を感じるリリン。

 その時のリリンは本当に良い顔をしている。

 そんなに私の魂が好きならいつでも側にいて良いとさえ思えてくる。

 賞に出す小説も佳境を迎えてラストスパートだ。

 とにかく私は書いて書いて書きまくる。

 リリンは私の魂を感じて目を閉じて私に眠るように寄り添って来ている。

 肝心のラストスパートは面白く描きたい。

 ヤバイ行き詰まってしまった。

 そんな行き詰まった私でもリリンは気持ちよく魂を感じ取っている。

 ラストスパート、どのような展開にしようか考えさせられる。

 そんなときである。私のスマホに一通のメールが届いた。

 中身を見てみると靖子さんからだった。

 内容を確認してみると『お元気ですか?』と一言添えられていて、何故か気持ちがほっこりとしてしまった。

 返信する内容は『もちろん元気です』と返信した。

 そんな些細なやり取りに小説のラストスパートを考えが思い付いた。

 これならいける。

 靖子さんありがとうと思いつつ、私は小説を描いていたら、リリンが私の目を真摯に見つめて、「雅人よ何か合ったな」ニヤリと笑って私に言う。

「小説、何とか賞をとれるかもしれない」

「当たり前じゃ、雅人の魂は本当に燃えるように熱い。じゃから当然じゃ」

 リリンの言う事は何か根拠が曖昧な感じだが、本当に賞をとれるとさえ思えてくる。

 ちょっと休憩を取るためにドリンクバーでドリンクをつぎに行こうとして、「リリンは何か飲む?」と聞いたら「この甘いのは嫌じゃ」とリリンも立ち上がり、私と共にドリンクバーのフロワーに行きリリンは「雅人よ我も同じものを頼むぞ」

「コーヒーだけど大丈夫?何ならまた美味しいパフェでも頼む?」

 リリンの表情がパァーと明るくなったが少しして、「いや、お金を節約しておるのじゃろう」

「気にしなくても大丈夫。なんつったって賞が取れるのだから」

「そうかそうかそれもそうじゃな」

 そう言うことでパフェを頼むことにした。

 パフェを頼んだ時、少し後悔した。

 私はリリンに喜んでもらいたい余りに大盤振る舞いしてしまったことに。

 賞って何だよ。そんなのとれるわけがない。

 するとリリンは私に真っ直ぐに見つめて「雅人よ。本当はとれる自信がないのに我に喜んで貰いたいばかりに無理をしたな」とリリンは言う。

 リリンは人の魂を感じることができる特種能力を持っている。リリンが見る魂はその者の思想を描写して嘘は通用しない。

「ごめん」

 と謝るしかなかった。

「フッフッ。その気持ちだけでも嬉しいぞ。我もドリンクバーとやらのジュースでかまわんよ。すまないのう我儘言って」

 リリンの真心をまともに受け止めて私は嬉しくなり小説を書く意欲が劇的に高まった。

 リリンは賞を取れると言っているが今一私には自信がない。

 そう言えば私はリリンに会う以前から、小説家になりたいと思って何構も小説の賞に応募したがすべて落選。

 私の小説など誰も受け入れる人は居なかった。

 それからネット小説を知り、投稿して自分の才能のない事に思い知らされた。

 何度も何度も諦めようとしたが、そう思う寸前でパソコンを開いて文章を叩いたいた。

 一人でも良い私の小説を読んで何か感じるものがあると信じて。

 諦めようか?いやあともう少し、諦めようか?いやまだ行ける。

 そんなことを繰り返して私の表現力も創造力も増して行ったと思っている。

 それに今は私の夢を全力で応援してくれる人がいる。

 それは私の傍らで小説を描いてその魂をエネルギーとして寄り添うリリン。

 それに私の小説のデザインをしてくれる靖子さん。

 本当に私は至れり尽くせりだ。

 これほどの至福な事はないだろう。

 さあラストスパートの構想が沸沸と浮かんでくる。




「リリン」

 目を閉じて私に寄り添って魂を感じているリリンに声をかける。

「どうした?雅人よ」

「出来上がったよ。私の史上初の最高傑作のメモリーブラッドが」

「そうか雅人よ。早速賞に投稿して行けば良い」

「その前に靖子さんに私が書いた小説をデザインしてくれる約束が合った。まずは靖子さんにメールで私の小説を送っておくよ」

 靖子さんにメールで送ろうとした時、何故か後込みしてしまう私が心の奥底から感じた。

「どうした雅人よ靖子にメールで送るんじゃ無いのか?」

 するとリリンは私の魂を見つめる目になり、怪訝な瞳で私を見る。

「自分の小説に自信がないと見えた」

「ハハッ、その通りだよ」

 するとリリンは私の瞳を真剣に見つめて、「大丈夫じゃ雅人の小説は面白い。何せ文章一字一字に魂を感じるからな」

「でもリリンは僕の小説を読んだ事がないじゃないか?」

「見ずとも分かる。雅人の小説は面白い」

 するとリリンは私の所に身を乗り出してスマホを奪われて「これで送れるのじゃな」と送信ボタンを押して靖子さんに送ってしまったようだ。

「何をするのリリン」

「後は野となれ山となれじゃ」

 スマホを取り上げていつのまにかさわったことのないスマホを操作するなんて。

 私は靖子さんにどう思われるか不安を感じてしまう。

「雅人よ。靖子の言葉を思い出してみよ。お主の小説を絶賛して絵を描くと魂を共鳴させた仲ではなかったか?」

 そう言えばそうだった。靖子さんは私の小説を絶賛してくれて、また再び絵を描く意欲に満ちていた。

 だから、私は自信を持って良いのかもしれない。

 でも今一自信が・・・いやもうリリンの言う通り後は野となれ山となれだ。

「じゃあリリン、そろそろお昼だから、ここでお昼ご飯を食べてから出発しよう」

「雅人よ。ここの料金はただ事ではすまないぞ」

 言われてみればそうだった。

 私は調子に乗りすぎてしまい大盤振る舞いをしてしまいそうだった。

 そうだ。節約しないと。

 そう思ってここいらのスーパーに行き、賞味期限が迫っている値引きされたお弁当を二つ買った。

 牛丼とカツ丼だった。

 公園のベンチに座って私が牛丼でリリンがカツ丼を食べることになった。

 お互いに手を合わせて食べることになった。

 賞味期限が迫っているからと言って味は関係なく美味しかった。

 二人で感服して「「ごちそうさま」」と言ってゴミをくずかごに捨てて公園を後にした。

「雅人よ。何をそんなにそわそわしておるのじゃ?」

「いやしていないけれども」

「自分では気がつかぬか?」

「えっ私はそんなにそわそわしている」

「お主の魂に出ている」

 確かにそうだ。私は態度ではそわそわしているのうに見えなくとも魂がそうなっていたなんて・・・。

 確かにに気持ちはあたふたとしている。

 私がメールで送った小説を靖子さんはどのように感じているのか?

 そして私のスマホに一通のメールが来た。

 もちろん靖子さんからだ。

 私の小説を添付した靖子さんへのメールを送ってから、3時間はたっている。

 そろそろ読み終わった頃だろう。

 その感想が今私のスマホに私宛に靖子さんから一通来ている。

 恐る恐る開こうとためらっていると、リリンが「お主女々しいにも程があるぞ」とせかされて靖子さんのメールを読んで見た。

 まさか。そんなに良かったの?

 メールの内容はこうだ。

『雅人さんの小説は最高でした。本当に読んでいるだけで沸沸と小説の背景が思い浮かんで来ました。一日待ってください。そうすれば雅人さんに相応しい表紙が出来ると思います』

「どうしたお主よ」

 嬉しくて思わずリリンを抱き締めてしまった。

「これお主よ嬉しい気持ちは分かるが離さぬか?」

「ひゃはー」

 声にならない雄叫びをあげてリリンを抱き締める。

「だからお主の考えていた事は杞憂じゃ」

「本当だね。杞憂だよ」

 リリンを抱き締める。

「そろそろよさぬか雅人よ」

「私は最高でした」

 すると抱き締めるリリンに蹴りを食らってしまった。

「調子に乗るでないぞ雅人よ」

 蹴りをくらい悶絶しても喜びはとまらならなかった。

「ひゃはー」

 



 一段落して私達は駅に行き北行きの列車に乗った。

 電車の中で私は次の物語を書いている。

「お主は慢心せずとも、また新に小説を書くのか?」

「もちろんだよ。何か分からないけれども書かずにはいられないよ。本当に私は小説を書く為に生まれてきたんじゃないかって本気で思ったよ」

「ハハッ。お主も言うようになったじゃないか」

 また私は新しい小説を書く為にパソコンを開いてパチパチと物語を綴る。

 そしていつものように私が魂を込めて書いている私を側にリリンは感じている。

 私は本当にものすごい小説家になれるんじゃないかとさえ、思えてきた。

 いや慢心はいけないだろう。

 またリリンに叱られてしまう。

 とにかくテンションが上がり何か出来そうな気がしてくる。

 この調子だ。この揺らぐ魂を感じて物語を綴る。

 この感じで小説を書くと以外と面白い小説が出来上がる。

 本当にリリンには感謝している。

 リリンが私の前に現れなかったら、今の私は存在していないだろう。私の思いは誰かに届く。いや届けなくてはいけない。

 また連中は私達を狙ってくるかもしれない。

 でもその時はその時だ。私は小説を書いてもっと凄い人間になってやる。

 思えば小説を書くきっかけになったのは、ネガティブな事をばかり考えている自分を変えるためにポジティブな自分に変身したいからだ。

 それで気がつかぬ内に小説を書いていた。

 そんな自分の過去を思い出し、ふと車窓の外の景色を見る。

 海を見回せて、夕焼けが目に染みる。

 リリンの意識を外に注目させた。

「リリンきれいだね」

「ふむ太陽は魂の源でもあるからのう」

 そう言ってしばらくの間、夕焼けを見ていた。

 本当にリリンの言う通り太陽は魂の源だと感じた。

 そしてまた私はキーボードに手をかけて、小説を進めた。

 あと終駅まであと少し、次の終駅の情報を調べてみる。

 安い宿はないかと調べていたら、人部屋千円の民宿を見つけた。

 終電に着いたらそこに泊まろうとアポを取り、事前に予約して人部屋確保できた。

 部屋は確保できたが、次は食べ物だ。

 今日と同じように賞味期限が切れそうな割引の弁当が置いてありそうな、スーパーはないかと探してみたらすぐに見つかった。

 どうやら私達は次の駅周辺には食べ物と泊まる所にはなに不自由は無さそうだ。

 


 そして私達は終電に到着して空は茜色に染まり赤トンボが優雅に空を舞っている。

 そんな光景を目の当たりにしてリリンは「まさに魂の夜明けじゃな」と意味深な事を言っていた。

 予約した民宿に向かう前に駅前の小さなスーパーに行き、値下げされたお惣菜主食のご飯を買った。

 全部で千円以内にすんだ。

「さてリリンにはデザートのシュークリームを買ってあげたからね」

「雅人よそれは美味しいのか?」

「うん。私の大好物で実を言うと私の分も買ってあるからね」

「それは楽しみじゃのう」

「本当に楽しみだね」

 私は何故かハイテンションで、心の奥そこからわくわくした感じが押さえきれない感じだった。

 民宿に到着して私とリリンは民宿の主に部屋を案内され、六畳人部屋だった。

 二人はいるにはちょうど良いスペースだった。

「さてリリンさっき買ったものでここで夕食にしよう」 

「じゃな」

 メニューは唐揚げに餃子にあとサラダに二人分のご飯を並べた。

 どれも美味しそうな感じだ。

 私とリリンは互いに手を合わせて「「いただます」」と言ってそれぞれ箸を持ち食べ始める。

「何だ。雅人よいつも食べているものよりも味が落ちると言っておったのに充分に美味しいじゃないか」

「私はそんな事を言ったっけ?」

「言っとったではないか。いつも食べている品物よりも味が落ちると」

「言ったかな?」

 そんなリリンとの食卓にとても楽しく感じて、廃棄寸前の料理なのに美味しく感じてしまった。

 思えば私にもそんな記憶がある。

 大切な人程の料理はそれはとても美味しい物だった。

 いつから歯車が歪みだしたのか。

 心が嫌な事に染まりそうな私にリリンは「雅人よ」とじっと私の目を見る。

 そうだったリリンには人の魂が見えるんだ。

 すると何故か涙が込み上げてきた。

「あれ私どうしちゃったのかな?」

 涙が止まらない。私はどうしちゃったかな?


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