救出。命名。そして出会い。
「ん?何かいるな・・・」
朝方物陰から音を感じ目を覚ました。
「やっぱこれ夢じゃなかったか。起きてもこの世界ってのが物語ってるな。で・・・何がいるんだろ」
洞窟の入り口には小さなクマがいた。
「わりぃこの洞窟お前の家だったんだな。出ていくよ。安心しな。」
そう呟いて大空は洞窟を後にした。
「昨日から何も食ってないし腹が減ったな。今日は川でも探して魚でも喰えればいいけどな。」
洞窟から出て外を見渡すとそこは大きな森だった。
半日ほど森の中を散策していると川の流れる音が聞こえた。
昼間に戦える自信はなかったので魔物に出会わないよう静かに移動した。
「うおっ!川じゃんラッキー。」
ゴクゴク 水を飲みのどを潤わせる。
「カッ~~~~~生き返るわ!俺の住んでた地域のワイヌの水には劣るが自然がうめえなここも。魚もいるしここで休もう。」
見たところ魔物も周りにはいないようだし腹も減ったしここで魚を取って今日は休むことにした。
「イヤーーッ!!!!!」
夜になり静かになったとき大空の耳は人の悲鳴のような音を拾った。
「ん?人の声。。。魔物に襲われてるのか?こっちだな?」
大空は声の方向へ走った。
そこにいたのは綺麗な顔立ちの女の子と黒いローブに身を包んだ老人。そしてオークが2匹だった。
ローブに身を包んだ老人はオークを見て震えており、連れていた女の子に向かって
「ワシは逃げる。お前はここでこのオークの餌となり時間を稼げ。なぁにお前は奴隷。ここで死のうが誰も悲しまんよ。」
そう言って老人は走ってその場を立ち去った。
「おいおい。あんな子が奴隷だって・・・?」
俺はそう呟いて隠れて様子を伺った。
女の子は涙を流しているが、その場からは動かない。首を見ると首輪がついている。おそらくその首輪が主人の命を守るよう強制しているのだろう。
「さすがにまずいだろ・・・でも今は夜だし。今の俺なら・・・!」
「グギュウウウウ」
オークは涎を垂らしながら女の子に近づく。
俺はその前に立ちはだかった。
「誰?危ないわ 逃げて」
その子は言った。
「ん?あぁ俺か?俺は大空、黒野大空だ。まあかわいい子おいて逃げるってのは男のやることじゃないしな。逃げないよ。」
俺は答えた。
オークは構わず鼻息を荒くしながら迫ってくる。
「お前。息臭せぇ・・・死ねよ。」
俺はオークの首を一瞬で撥ねた。
女の子は驚いている。
「オークを一瞬で。。。」
そのまま固まってしまったので俺は尋ねた。
「君。名前は?見たところ奴隷のようだけど。」
女の子は答えた。
「そうです。奴隷の身です。名はリルタルフォです。」
「よし!決めた。君、俺についてこないか?あいにくこの辺の地理がわからないから案内とかしてほしいんだ。」(こんなかわいい子捨てるわけにはいかないぞ デュフフ)
「ですが奴隷の身。この首輪がある限り自由はありません。助けていただいて申し訳ないのですが、ついていくことはできません。」
「なるほど。その首輪が邪魔なのか。俺に見せてみろ。ほう面白いプログラミングが施されているようだ。だが高校時代パソコン部だった俺に解けないものはない。」
首輪に触れるとタッチパネルのようのものが目の前に現れた。それを操作して解くようだ。
カチャカチャカチャカチャ ピッピッ カチャ ピーーーー ガチャッ クイックイッ
「ほら解けたぞ?」
「え・・・本当に首輪が。。。僕は。。。自由?本当に!?自由?あぁ今日は何という日だ。最高の日だ。僕は自由なんだ。。。」
「そうだ。君は今日から自ゆ・・・ん?僕?」
「あぁ、そうなんです。僕は、ぼぶにゃん様・・・あぁ、旦那様のことです。そして、旦那様の命令により女の子の服ばかり着せられていたんです。」
「ん?つまり男の娘・・・?ということか・・・?」
「おとこのむすめ?なんですかそれ。そんなことより僕に自由を与えてくださってありがとうございます。これからは大空様のために働かせて頂き、恩を返させてもらおうと思います!」
「そ、そうか。。。わかった。」(女の子じゃないのか、でもかわいい・・・仕方がないな)
「それではついていってもよろしいということでしょうか?それと呼び名を決めていただきたいです。新たな主人は呼び名を決める義務がございますので!」
「むむ。それなら、仕方ない。リスタルフォという名から、りるたそ。というのはどうだ?」
「りるたそ・・・いい名前です!そうお呼びください。へへ~りるたそ~♪」
嬉しそうにりるたそは笑っている。
「早速だが明日の朝、近くの村まで案内してほしい。できるか?」
「まかせてください。この辺だとムロラル村になりますね。」
「よし、それでは今日は川沿いで休もう。これが君の分の布団だ。」
「え?僕に布団?いりませんよ~何言ってるんですか?ご主人様がぐっすり眠れるよう夜の世話をするのが奴隷の務め。喜んでご奉仕いたしますよ?」
「????いや、やめてくれ。。。そもそも俺はりるたそのことを奴隷と思っておらん。りるたそは俺の仲間だ。」
「ご主人様・・・そんなこと言われるとときめいてしまいますよぉ~~~~じゃあ一緒のお布団で眠りましょう?」
「おい!入ってくるな!おい!」
「いやです~一緒に寝ます~。」
そんなこんなしているうちに二人とも眠ってしまった。