~第九節 設定集~
作中登場人物・登場物の紹介
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清水 愛希
ちゃなと同じクラスで元彼女のいじめっ子の経歴を持つ。
でも打ち解けてからは逆に親友となり、今やちゃなにとって掛け替えのない心の拠り所の一つとなっている。
性格はちゃなとは大きく異なる、明るく活発なイマドキ女子高生。 打ち解けた一件を経て悪い印象がすっかり抜けた様だ。
根は真面目で授業もちゃんと受けている。 ただし学力は平均以下と、ちょっと心もとない。 なのでちゃなや親友達と共にその方面の試練も乗り越えてきたという。
一度付き合っていた池上とは別れ、現在はフリー。 というのもどうやら勇に気があるようで、ちゃなと会話をする際にはちょくちょく勇の事を探ろうとする。
しかしその事が原因で核心に触れそうになってしまう事に。 福留の機転でどうにかなりはしたが……少し本人は疑いの目を向けている状況である。
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鷹峰総理大臣
第98代内閣総理大臣で自由民政党の総裁でもある。本名は鷹峰 雄造。
就任時、様々なバッシングを経てのスタートであった。 しかし様々な苦境を乗り越え今年で3年目、安定した総理大臣として現在も公務を続けている。
体型は多少太った感じにも見受けられる。しかし体力作りのトレーニング等は欠かしておらず、服を脱げば一般的な体型だと分かるだろう。
少しお茶目な性格。 プライベートではそういった所を生かした人の接し方が受けているようで、身内に彼の敵は少ないとされている。
福留とは旧知の仲であり、総理になった今でも彼との相互協力は続く。 過去の福留が何をしていたかを知っている数少ない中の一人と言えよう。
ちなみに今回の勇達の会合には遅れてしまっていたが、その原因はパパラッチを撒くために時間をかけてしまったからである。
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ミシェル米外交官
アメリカ合衆国の代表として日本に駐在する外交官で、本名はミシェル=スミス。
日本の政治家と太いパイプを有しており、日本語が達者で標準語ならペラペラ。
総理同様、福留と知り合いで彼の話の仕方等に詳しく、その話だけで一晩を越せるのではないかという程だ。
彼女は変容事件の折に急遽抜擢された新任の外交官であるが、以前にも就任していた実績がある。 その事もあって、彼女の経歴等から今回の問題の窓口として活躍している。
今回、勇達との会合において初めて彼らに姿を晒し、魔剣使いとしての活動のグローバル展開を確実なものと認識させた。 今後アメリカ方面での活動の際には、彼女の息の掛かったもてなしが勇達を待っているに違いない。
日本語が喋れるにも関わらず愛希に英語で話し掛ける所を見ると、それなりにイタズラ好きなのだろうか。
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獅堂 雄英
セミロングヘアの男性で23歳、身長は174cm程。 獅堂財閥の三男で、大学卒業後は父親の指導の元一つの会社の経営を行っている。
昔から英才教育を受けており、経営も上々。 しかし父親の目に敵う程ではないのか、彼は父親に戦力外通告を受ける事となった。
それが彼の家への反発の引き金となり、財閥からの脱出を模索していた所に変容事件が起きて偶然魔剣を手にする事になる。
その概要は福留に知らされたものであるが、全容までは明かされていない。
基本的に明るくはきはきと受け答えが出来る好青年であり、貯蓄もしっかり持っている為か身の回りの服装にも気を使っている模様。
腰に下げた魔剣と思われる物の全容や能力は全く知らされておらず、そういった謎は未だ多い。
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アージ&マヴォ
【白の兄弟】を名乗る二人の魔剣使いの魔者。兄がアージで弟がマヴォ。
白熊のような太く伸びた口を持ち耳は人間の様な形をしており、腕や脚も太くまさに熊そのもの。
背丈は兄の方が少し高く235cm、弟の方は228cmで少し口幅が広い。
兄は生真面目で武人肌なのに対し、弟は軽めでひょうきんな面を持つ。 ただし戦闘になれば話は別ではあるが。
共に旅をしながら魔剣使いと戦い魔剣を奪い、破壊する事を目的としている。
それは魔者に対しても例外ではなく、その最終目標は争い無き世界を作る事。
彼等に刻まれた深層心理には『人間は恐ろしい存在』ではなく『人間の魔剣使いは滅ぶべき存在』として認識しており、人間全てに対して敵意を向ける事は無い。
その彼等に敵対意思を持たない一般人と交流を持つ事も良しとし、時には魔者でありながら人間の味方をする事もあったという。
そんな彼等ではあるが魔剣使いにとっては恐怖の対象そのものであり、『魔剣使い殺し』の異名をも持っているのだとか。
二人のコンビネーションは手練れの魔剣使いですら膝を地に突かせるほど。
勇達との戦いの最中、互いの意思が同じ方向へ向いている事を認識した。 それからは戦う事を辞めて彼等との協力関係を結ぶ。 マヴォはその折に自分を救ったちゃなに一目惚れした模様。
アージの魔剣は大型の斧型魔剣【アストルディ】、マヴォの魔剣は小型の斧型魔剣【ヴァルヴォダ】【イムジェヌ】という。
ちなみに投げて失ったアストルディと落としたまま無くしたイムジェヌは後日捜索に向かった自衛隊によって発見され、二人に返還される事になる。
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ドゥーラ
謎多き女魔剣使い。
全体的にほっそりとした体付きだが身長は198cm程と背が異様に高く、胸元もそれなりにはあるが形の整った並みサイズ。 髪は膝まで届く位の長さを有し、深い紫に近い青色。
服も紫で布を巻いたような服装をしており非常に軽装、というか少しイヤラシイ。
趣味は人の体を「治す」ことで、対象は人間・魔者から動物まで全てに至る生物。 その技法を極める為に魔剣使いとなり世界を旅しているという。
しかしその正体は、魔者や一部の人間から恐れられ『悪魔』と称される程の非道者。 その実態は、彼女が切り裂き魔であろうその行動から成る。
興味を持った相手を何らかの形で麻痺させ自由を奪うと、相手を生かしたままその腹を開き内臓をえぐる。 存分に楽しんだ後はそのまま放置し対象を殺すに至る。 しかも地獄の苦しみを与えて。
彼女は直接手は下していないと言うが、結果的に殺すことからその行為や残虐性にしてその異名を持つのは仕方の無い事であろう。
そんな習性から、結局彼女は魔剣も見せる事無く勇達の元から去った。
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【常温膜域】
広範囲への空気振動からの発熱コントロールにより、領域内の温度の上昇を促す空間制御法。
勇やレンネィが使用した命力レーダーの応用と、ちゃなが得意とする熱力制御を掛け合わせた複合技である。 空間にいる人間をHOTな気持ちにさせてくれる。
空気振動による発熱の為、大気中での使用が前提となっている。 そのお陰で、呼吸するだけで暖かい空気が瞬間的に体内にも広まるという。
前節にて使用した【却熱幕布】の発展形で、人肌に優しいお手軽仕様となっている。(ただし実現できるのは彼女のみ)
その性質上、外気と領域の空気層を遮断する性質を秘めている。 そのお陰で密閉空間に近い状態になる為、音などが漏れにくい。 つまり熱線を撃つ際の消音器代わりにも使える。 つまり保温効果だけではなく、衝撃吸収と消音効果を持つクッションの役割も持つ事となるという訳だ。
ちなみに熱くする事は出来るが冷やす事は理論的に難しい様で、夏までに彼女の知識の幅が広がる事を期待するしかなさそう。
余談ではあるが、命力による熱弾等の攻撃は基本的には物理現象に随意している。
熱や風は空気の振動を利用して発熱・収束・圧縮を命力で再現する事で発生する為、それらをコントロールしてちゃなは攻撃へと転用していた。
一方、ファンタジー等の魔法でよくある水や氷といった類のものを呼び出そうとすれば大気中の水分等を集める事しか出来ず、夏はともかく湿度の少ない冬ではほぼ実用不可能。
ただし海や川や湖等の近くでは恐らく使用可能。 逆に、乾いた場所で無理に呼び出そうとすると使用者の体内水分が真っ先に揮発するので、実際は禁法とされているのだとか。
無限に無から有を呼び出そうものなら宇宙の法則を歪めかねない恐ろしい事であると認識しておいた方がいいだろう。
もっとも、命力という曖昧な表現でそれらをコントロールする事自体が不思議な現象である事には変わりないのではあるが。 その原理についてはいずれ作中で語られる事になるだろう。
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【超高熱線砲】
魔剣を使い、超高熱を線状にして連続放出し続ける攻撃術。
【ぼん】や【複合熱榴弾】の様に爆発や大炎上などの恐れが無く、周りへの影響が少ない。
その代わり射程距離が非常に短く、弾丸が射程距離最大約800メートル程の長射程に対し、熱線砲は約50メートルと中距離射程。 それ以上は熱が分散され、威力が極端に落ちてしまう。
ただその威力はその他の攻撃にも勝る程に強烈。 爆発で敵を焼いていた今までに対し、この攻撃は敵を焼き切るといった形での攻撃となる。 破壊力では弾丸以下ではあるが、溶断力は非常に高く厚さ20ミリメートル以下の鉄材であれば即座に焼き切る事が可能。 一点集中すれば当然それ以上でも延々と焼き貫けるという驚異の性能を誇る。 まさしくビーム砲といった所か。
この攻撃の欠点は反動。 これだけの熱量を連続的に放つため、その反動は非常に大きい。 その影響は彼女自身を弾き返して余りあるほどの威力にまで発展する。
その反動を抑える為には自身の支えもさることながら、【常温膜域】による反動軽減をも必要とする程だ。
ちなみにこの攻撃は非常に高い命力を消費する為、その量が尋常では無いちゃなにしか使えない技である。
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ル・シャルル
フランスの高級ブランド名で、数々の高級装飾品を手掛けたル・シャルルを基とした強豪ブランド。
国内でも最もブランドが浸透した企業であり、一点一様を謡った商品はあらゆる層での女性の憧れとなっている。
その商品は幅広く、バッグを始めハイヒール、服飾品、貴金属、ベルトや家具、果てには歯ブラシといったものまでを一挙に扱う。
価格はピンキリではあるが、少なくとも富裕層が買い歩くものは大抵が数十万から数百万といった価格の製品が主である。
愛希が求めるのは流石にそこまでは高くは無いが、それでも3~5万もする程の高価格品。
持って歩くなど庶民にとっては以ての外だ。
ちなみに愛希が買ってもらったバッグは最初に使ったきり、自室の棚に綺麗に飾り使用する事は滅多に無かったという。
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【コラム】命力による翻訳能力について
度々物語で語られる命力による翻訳能力は、対話をする際に命力を持った者が相手の心に思った言葉を心で受ける事で翻訳され脳へと響くように聞こえる仕組みである。
それは言葉を放つ際にも同様の効果を得る事になり、対話する内の片方が命力を有していれば対話は成り立つ事になる。 その垣根はほぼ無く、対人であっても有効、基本はある程度の知能を持つ生物であれば大抵の対話は可能になる。
ただし動物等の場合、言語以上にコミュニケーション理解の限度がある為、大抵の場合は言葉にすらならない。 例えば、人間にとって「ありがとう」という言葉が動物にとって「ありがとう」と聞こえる訳ではないという事である。 「ありがとう」の本質を知る事が大切という事だ。
またこの翻訳能力も万能ではない。 言語によって表現の異なる物であれば大抵は翻訳されるが、その言語特有の固有名詞等はほぼ翻訳されない。 例えば、剣、杖、等の名詞であれば翻訳できるが、エブレ、アメロプテなどの他の言語に存在しない言葉は翻訳されないのである。
もう一つ、それは表現の異なりでもその力は封じられる。今回のミシェルとの会話でもあった、魔者=ビーストマン(獣人)や、魔剣使い=ソードマン(剣士)がいい例であろう。
そもそも上記翻訳もまた一部の一般的見解でしかなく、実際は別の意味を持つ。彼等は『ビースト』と『ソード』で区分けをした、対存在としてその表現を使っている。そういった場合、彼等にとってはソードマンはソードマンであり剣士でも魔剣使いでもなく、勇にはソーメンにしか聞こえなかったという訳である。(Sword man を流して読むとそう聞こえなくもない)
もちろん一度認識してしまえば便利なものできちんと翻訳がされるようになるが、同様の言葉で別の意味を籠る場合にも関係なくそう聞こえてしまう事もある模様。ソードマンを魔剣使いとして認識した後に、彼等に『剣士』と言われても『魔剣使い』と認識されてしまう不都合がある、という事である。
ちなみに魔者にとってのソードマスター、剣聖という言葉は一般名称と同一意味を持つ為、初見の勇達でも翻訳が通用したのはそれが原因である。
何故ここにきてコラム?と思う者もいるとは思うが、物語初期でのコラム説明があるとネタバレ感が否めない為、今回での発表がより自然だと判断した。 なのでどうか許していただきたい。
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