第8話 なんていうか平和的な
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本作品の内容はフィクションです。
登場する人物・団体・地名等は架空のものであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。
また本作品には過激な表現が含まれておりますが、犯罪にあたる行為など実際に行われますと、刑法により厳重に処罰されますので絶対に真似しないでください。
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前回のあらすじ!寝ようとしてた俺にまさかの呼び鈴連打!あーうざーめんどくさーって感じだけどうるさくて寝れん俺は玄関のドアを開けた。目の前には黒装束5人衆!いきなり「キシャャャャャャャャ」なんて言い出しやがった!どうする俺!てかどうなるの俺!激動の今回のお話!篤とご覧あれ!
光一「ギャァァァァァァァ」
一瞬意識飛んだぞ!稲妻のようにスピード感のある驚愕を肌に感じてしまったぜ。マジでなんやねん。
黒装束の1人「アハハハハハハハハハ」
ヘリウムガスを吸ったような声。これはソニックブームの出番か? いや俺の家が吹き飛ぶし腕のみで放てるかわからん。
ここは。
光一「寸止めジャブ」
そう言って寸止めジャブを目の前の黒装束に放った。手加減を忘れているのかそれだけでドンッと大きな音がした。
黒装束5人衆がガクブルである。いやめっちゃ震えてる。流石にかわいそうになってきた。しかし容赦はしない! ビビらされたからな! 決めセリフでも吐くとしよう。キメ顔でな!
光一「Get out of my sight! Before I change my mind」
ゆっくり解説も入れとこう。
光一「これは外国語でな、訳を教えてやる。視界から失せろ!オレの気が変わらないうちに」
決まったぜ。一生に一度は言ってみたかったが最適なタイミングで言えるとはな。
黒装束5人衆「ヒィィィィィィィ」
逃げていった。一目散ってやつだな。だが一人残っている。そいつがマスクを取った。思わぬ人物がその顔を見せた。
光一「咲希……」
咲希である。
なんていうか平和的な2
光一「バカなんじゃねぇの?」
心底呆れた。咲希は最近俺が怖い顔してるからという理由でびっくりさせたかったらしい。
咲希「だってぇ~」
ヘリウムガスが抜けたいつもの咲希の声でだってぇ~とか言っている。
光一「アホなの?」
今、俺は咲希を家にあげて土下座の体制をとらせている。俺は腕を組んでいる。マジ鬼畜俺!
咲希「怖い顔ばっかり! 似合わないったらありゃしないじゃない! いつも園児にむける笑顔はどこいったの! 優しい顔も全くしてくれない! 嫌だよ! そんなの!」
何て言えばいいか……。女の子にそんなこと言われることなんてあんまりないし。てか俺の話し相手は謎の声と咲希とピースくらい。少し面食らってしまった。
光一「嫌なのはわかったからさ。とりあ驚かしたの謝れ」
咲希「ごめんね。けど驚いたこうちゃん可愛かったよ!」
反省の色が見えねぇ。なんなのこの人。
光一「かわいいは男に使う言葉じゃねぇし。褒め言葉と勘違いしてんの?」
咲希「決めセリフ言ったこうちゃんキモかった。顔なんか完全にキマってたね。薬物中毒者の顔?イッちゃってたねー」
光一「謝る気ねぇだろ!」
こいつ喧嘩しにきたのかよ。
光一「はぁー」
盛大にため息つく俺。すると咲希が真剣な顔して俺をみた。
咲希「こうちゃん」
じーっと俺の顔を凝視してくる。ちょっ! 顔が近い! 咲希の顔はノーメイクなのにそんじょそこらの美女よりもかわいいと思う……。いやこれは俺個人の感想だけではなく専門学校の時もめちゃくちゃモテてた。アイドルの美姫並みに可愛いんじゃないかとたまに思ったりする。マジでたまにだが。これでメイク無しは反則だろ。美姫でもメイクしてるらしいのに。なんせメイクのやり方とか人に教えれるほどメイクが上手いらしい。アイドルなのにな。
光一「なんだよ」
流石に顔が近すぎるので顔を反らす。
咲希「照れてるぅぅぅぅ! かわいい!」
顔が熱い。
光一「女の子に耐性ねぇだよ! そういうのやめなさい! 」
勘違いしたらどうすんだよ。ダメだろ。
咲希「あはははははははははは」
なぜか爆笑する咲希。その顔があまりに無邪気でさ。
光一「ぷっあははははははははは」
なんでか俺もつられて笑ってしまった。
咲希「笑顔がやっぱり一番いいよ! あはははははは」
怖い顔よりはいいかもしれない。咲希の笑顔を見てそう思った。
咲希はもうすぐ寝る時間とのことで帰った。さて復讐の準備をするとしよう。いやはや楽しみだ。
なんていうか平和的な3
2日がたった復讐決行の時である。
いつもより早めに起き支度をし出勤した。咲希の下駄箱にあるものを仕掛ける。やつなら必ず引っかかる。
咲希が出勤してきた。物を手に持っている。物にはメッセージカードが付いている。内容は。
「2日前は驚かせやがったな? でもさ咲希のおかげで元気が出たよ。だからお礼としてチョコ作ったんだよ。生チョコトリュフってやつ だからさ。ただのチョコボールと違うんだぜ? バレンタインチョコ貰えたら作ろうと思ってたんだ。いや面と向かって言うの恥ずかしいじゃん? 俺のせめてもの感謝の気持ちってやつだぜ? 受け取って貰えると嬉しい。 一応保冷剤入ってるけど味落ちたら嫌じゃん?すぐに食べて感想くれよ。by光一」
完璧だ。策士だな俺はよぉぉぉぉ! 我ながらかなりゲスいと思うが俺を驚かせたお前が悪い。
ガラスに薄く映った俺の顔が下品な笑いを隠しきれてなかった。すると。
咲希「うぎゃゃゃゃゃゃゃ!」
咲希の悲鳴が聞こえた。もう女の子の悲鳴じゃねぇだろこれ。
咲希「こうちゃぁぁぁぁぁぁん!」
やっべぇ!鬼気迫る表情で俺を探している。
咲希「許さない許さない許さない」
なんか呪詛の念みたいなの唱えてるし。
これは早退するしか……。
園児達「兄ちゃんを捕まえろー!」「咲希ねぇ泣かせやがって!」
マジか! 園児達まで!逃げっ!
咲希「見つけた」
咲希さんめちゃくちゃ怖いんですが……。
ここは切り札を使うしかねぇ!
光一「あれはな……驚かされた仕返しってやつなんだ」
素直に謝る。
光一「ごめんな。流石にやり過ぎたと思ってる。チョコにコブラチリ入れるやつなんか頭おかしいよな。しかも女の子に渡すなんてさ。咲希の唇がタラコみたいになっちまってる」
流石に俺もやり過ぎた。
咲希「どうしてくれるの! 謝ったって許さないんだから!」
ぶちギレの咲希さん。でもな俺にはこれがある!
光一「謝っても許してくれるなんて思ってないさ。だからさ本当の感謝の印ってやつ持ってきたんだ。咲希はメイクしないじゃん?スッピン美人ってやつじゃん? だからもっと顔キレイになってもらおうと思ってさ」
これを作ったんだ。
光一「精製水とグリセリンと肌に良いものブレンドした俺のオリジナル化粧水だ! 咲希のためを思って作ったんだ」
咲希「本当に私のため?」
光一「うん」
咲希「私のためだけに?」
光一「知らないことばかりでさ勉強しながらだったから2日かかっちまった」
咲希「嬉しい」
心のそこから嬉しそうな顔だ。作った甲斐があったってもんだ。ただ明日会いにくいな。こんなに喜ばれたらな。
なんていうか平和的な4
だってあれにはハッカ油が混ぜてあるんだから。あっちなみにハッカ油はメンソールの原液みたいなもんな! めっちゃスースーするぜ! もはや痛いぜ!倍返しにしなくちゃな!二段構えですたい!コブラチリってのは激辛ソースのことね。
翌日。
咲希「なんなのよもーう! 喜び損じゃない! こうちゃんのばかー!」
夜、顔に塗ったんだろうな。俺も試したがあれはヤバい。
なんていうか平和的な日常だ。こんな日がずっと続けばいいのに。そんなのは無理だってわかってる。能力のこと。ゲイシーのこと。しゃべる鳩ことピースのこと。謎の声のこと。思い出したくなんかない。でもそんなの無理だ。俺はこの能力を持って生まれてきてしまったんだから。普通なんかじゃいられない。