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プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ

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本作品の内容はフィクションです。

登場する人物・団体・地名等は架空のものであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。


また本作品には過激な表現が含まれておりますが、犯罪にあたる行為など実際に行われますと、刑法により厳重に処罰されますので絶対に真似しないでください。


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光一「オラオラ! どうしたぁ!」


悠愛「パパがいじめてくるぅー! もっといじめてぇー!」


ユウト「僕はカッコいい男になるんだ! そのために先輩を越える!」


仕事が終わって今は悠愛とユウトを鍛えていた。異形種の行動が活発化している。知り合いがボコられるのは嫌だからな。こうして戦えるようにしてるわけだ。


大剣を振り回しながらユウトに語る。


光一「落ち着け、そしてよく狙え。お前はこれから一人の男を倒すんだろ?」


ユウト「はい!」


光一「苦しいこともあるかもしれない。

云い度いこともあるかもしれない。

不満なこともあるかもしれない。

腹の立つこともあるさ。

泣きごということもあるさ。


これらをじつとこらえてゆくのが男の修行なんだよ!」


大剣の風圧でユウトと悠愛を吹き飛ばす。二人には能力を切らすなと言ってある。模擬戦でも能力の加護無しでこの大剣を食らうとそりゃもう惨劇だ。全長6メートル超で博士の研究により以前より重さも増している。


光一「男は生涯において、一事を成せばいいんだ! 守る対象を見つけろ! そして守り通せ! なんでもいい。だがな! 男なら女を守ってみせろ! ユウト! 隣に悠愛がいるだろ! 俺から守ってみせろよ!」


ユウト「はい! 独りの先輩に負けるわけには、いきません!」


悠愛「今どき女の子も守られてるだけじゃダメなんだよ! 男女平等社会? これからは女時代なんだよ! パパを守れるようにならなきゃ!」


光一「そのいきだ! ユウトォォォォ! 独りは余計なんだよ!」


手元が狂って音速を使う。


ユウト「あああああああ!」


悠愛「きゃぁぁぁぁぁぁ!」


博士の剣は、切れ味が上がっている。アニメの世界ならよく斬撃が正面に飛ぶ。だがそんなことは起こらない。実際では超音速で振ったところで飛ばない。その代わり振る際に音速の壁を破壊した衝撃がまわりに破壊をもたらす。斬撃を飛ばしたいなら己がそれになるしかない。


俺は真っ直ぐ上に跳躍きた。雲より上に。落ちる。規格外の重さの大剣を持って。


光一「地面を斬る!」


有言実行。俺は落ちたと同時に地面を斬った。ジャックとの戦いで無力さを知った。ジャックは、ほとんど能力に頼った動きをしなかった。それは武器に頼らない変わった傭兵だったからだろう。だが俺は武術なんて知らない。出来るのは能力を生かすことだけだ。


光一「そのために命を捧げようという何かを持っていない男は、生きるのに値しないんじゃないか! ユウトォォォォ!」


柄にもないことを言いまくる。せっかく尊敬してくれてるんだ。教職者だからな俺は。




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ2




ユウト「ここって川沿いだったんですよね?」


光一「やり過ぎたな。てか能力者増えたら星がもたねぇな。割りとガチで」


川沿いでの特訓だったのだが気づくと跡形もない。警察が来そうなのでとんずらしよう。公共の場所が荒れ地になっちまった。


光一「逃げよう」


悠愛「恋の逃避行!?」


光一「ちげぇわ!」


川沿いを後にした。てかどうやってこいつら強くすればいいんだよ。剣は、博士の指示する方向に投げつけた。空でロボットでも使って回収するんだろう。




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ3




カフェにきた。ユウトとカフェに来たことはあるが今度は女もいる。


光一「男二人よりは女いたほうがいいよな」


ユウト「悠愛ちゃんって先輩の女ですか? あの……未成年はやめておいたほうが……」


悠愛「悠愛は、パパの女だよ?」


ユウト「先輩……そりゃないっすわ。パパって呼ばせるとか……。ドン引きです。先輩は咲希ねぇ一筋かと思ってました!」


悠愛の眉がピクッてつり上がる。


悠愛「その咲希っていうのが泥棒猫ね! 生まれてきたことを後悔させてやるわ」


ヒスりそうである。ヤベェ。それと誤解を解かないとな。


光一「悠愛は、20歳な? それと俺の彼女なんかじゃない。パパってのは悠愛が勝手に呼んでるだけな。理由は内緒だぜ」


ユウト「ハタチ!?」


そらびっくりするわな。まぁいい。


光一「ユウト。お前とあってからまぁ数日たった。お前が慕ってくれるのは素直に嬉しいんだ。だから誕生日聞いてもいいか?」


ユウト「明後日です。てか連絡先に付属させてますが?」


光一「違ったら恥ずかしいだろうが」


ユウト「なんかくれるんですか!?」


光一「秘密だ。後輩のために肌を脱ぐのが先輩だ」


買わないわけがないだろう。


悠愛「そして私のために肌を脱ぐのがパパなんだよね」


こいつは無視。それにしても何を買おうか。咲希にでも聞くか。一応幼なじみらしいし。


悠愛「私スッゴく上手いんだよ! こういろんな角度から攻めてね?けどパパもすっごく上手くてね……」


ユウト「いや僕も少し前は毎日ヤってたよ。激しいのがいいんだよね……」


にしてもユウトが喜びそうなのってなんだ? わかんねぇーなぁー。


悠愛「けどパパね。すぐに疲れたとかいって寝ようとするんだよー。そろそろイカなきゃならんだろ? とか言ってくるの」


ユウト「イケイケとか言ってくる男って嫌だよね」


まぁ少し金かけてあげてもいいか。それにしてもこいつら。


悠愛「せっかく盛り上がってるのに飽きたって言うんだよ!」


ユウト「すぐ飽きるとか……うわぁ……」


光一「てめぇら公共の場でなんつー話してんだ! 18禁ども!」


悠愛「えっ? 昨日のゲームの話だよ? 疲れたとかはよ帰れとか言うじゃん。すぐ飽きるし」


えっ?


ユウト「先輩まさか……」


光一「お前ら! そんな目でみるな!」


恥ずかしい。


悠愛「パパぁ~。やっぱり私とそういうことした」


言おうとしたが中断させた。俺が悠愛の顎を人差し指と親指で挟んでくいっと少し上に上げたのだ。顔を近づける。


光一「それ以上言うな」


ドスの効いた小声を使う。


悠愛「なら口でふさいで?」


あっれぇー?


ユウト「先輩……流石です。少ない言葉で口説き落とす。極意……見せていただきました」


何でこうなる。


光一「もうすぐ梅雨か。雨は嫌いだな」




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ4




朝になった。今は保育園に向かう。今日は何して遊ぼうかな~? 今日は何を教えようか。そんなことを考えながら歩く。


光一「厳密には俺は教職者じゃないんだがな。本当に教員免許がいるのは幼稚園だ」


声「そうだな。なのになぜ保育園を選んだ?」


光一「幼稚園は、学校の仲間だ。遊びから教えてあげたかったんだ。いきなり勉強だと笑わない子になっちゃうかもだろ? 笑わせてあげるために俺は保育園を選んだんだ。幼稚園のほうが学校の仲間ってことで給料は多くもらえるらしいが詳しくは知らん」


声「最近はその区別が曖昧らしいが?」


光一「保育児童待機問題があるからな。足りないんだよ。それでもやっぱ幼稚園の私立と県立の金額差は、凄いけどな。それと今じゃこども園なるものがあるらしい。幼児園だっけか? なんか幼稚園と保育園のいいとこ取りらしいがこちらも詳しくは知らない。保母さんになってから勉強が疎かだな」


声「いや光一は、勉強熱心だ。その熱意は、園児にも伝わるさ」


光一「嬉しいこといってくれるねー」


声「俺も伝えれることはすぐにでも伝えておかないとな。もう残された時間もそう多くない」


光一「えっ?」


それっきり声が聞こえなくなった。


光一「いなくなるなんていうなよ。お前が消えちまうなんて嫌だよ」


「おはよ! また独り言?」


気づくと咲希が目の前にいた。


光一「おはよう。あっいいところにきたな!」


咲希「どしたの?」


光一「今日……付き合ってくれ!」


咲希「えええええええええええ!」




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ5




光一「痛い。あー痛いなぁー」


仕事が終わった。


咲希「びっくりさせるからだよ」


朝、なぜか右フックを食らった。


光一「なかなかいいパンチだったぜ。俺も油断してたからクリーンヒットだぜ。あー痛かったなぁー。今でも痛い」


いや油断大敵だな。それでトラックにひかれたんだし。どこに危険が潜んでるかわかったもんじゃない。


咲希「痛いってねー。ぐちぐち言う男は、モテないんだから!」


光一「俺には咲希いれば十分だよ」


咲希「もう!」


光一「オーケーでいいんだな?」


咲希「いいよ。仕方ないじゃない。こうちゃんを独りにさせると心配でならないんだから」


おしっ!




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ6




咲希「これなんかいいんじゃない?」


光一「かわいすぎだろ……」


となり街のオシャレな雑貨屋にきた。てか女もんばっかで客も店員も女ばかり。場違いだ。


咲希「ユウトにプレゼント買いたいって言ったのこうちゃんじゃん!」


人にプレゼントをあげる習慣ってのがないからな。んまぁ喜ばないプレゼントなら自信あるけど。


光一「あいつがなにほしいとかわかんねぇからさ」


咲希「心がこもってればなんでもいいんだよ」


良いこと言ったって顔してやがる。こんな顔も、笑った顔も、泣いた顔も、俺はさ。


光一「コブラチリとかハッカ油でも?」


下手はこかないさ。


咲希「せっかく忘れてあげようって思ってるのに!」


怒った顔も、俺はさ。


光一「悪かった。素晴らしいもの買っていってやろうぜ!」


咲希「うん!」


俺のことなのに自分のことのように手伝ってくれるその性格が俺はさ。




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ7




結局買ったのは、スリッパとブランケットとハンカチと香水だ。奮発しすぎな……。


光一「可愛すぎるだろうが! ちょっとこい!」


咲希「えっ! ちょっ! 強引だって!」


咲希の手を引いて次の店に入る。ここは通販以外で俺の好きな店だ。オシャレではないがネタに使えるものが売ってる。俺は目を凝らしながら良いものがないか見る。咲希はうつ向いて無言になっている。


光一「あった!」


咲希「……」


手に取ったのは大きな一升瓶。『八回戦』と書いてある。きっと『八海山』をもじったのだろう。この代物はエナジードリンクだ。


光一「この注意書きを読んでみてくれ!」


顔が赤くなっている。無理もない。


咲希「え~とご都合により八回戦戦えない場合があります。ご了承下さい」


光一「ウケるだろ?」


咲希「ウケない。てか何と戦うの?」


なぜだ……?


光一「咲希さんや。これはエナジードリンクだ。マムシも配合されている。何と戦う? はっ! 決まってるじゃねぇか! ベットの上でおん……」


咲希「きゃぁぁぁぁぁぁ! 変態! セクハラ! 痴漢! 誰か助けてぇぇぇぇ!」


おおい! マジかよ!


「ふっ。こんな変態なんぞ俺だけで十分だ」


「変態相手に一人は危険だ」


「フルボッコにしてやる」


「正義を俺達にある」


屈強な男達が群がりだした。まずい! 能力持ちがいたら!


光一「お前はバカか! ええい!」


咲希をお姫様抱っこする。


咲希「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


状況悪化ですたい。


光一「黙ってろ。舌を噛むぞ」


耳元にささやく。


咲希「……」


咲希はなにも喋らない。好都合だ。


光一「逃避行じゃあぁぁぁぁぁぁ!」


全力疾走である。男どもを華麗にかわす。


光一「遅いわ! ボケが!」


なんか楽しくなってきた。騒がしい毎日は、退屈しなくていいぜ!


光一「俺を追うなら地獄までついてくる気概が必要だぜ!」




プレゼントをあげる。もう後戻りは出来ないんだ8




ようやく逃げ切れたようだ。気づくと辺りは、真っ暗……じゃない。


ここはこの街で一番イルミネーションのきれいな場所。俺の後ろにはキラキラしたジャンボツリーが立っている。周りからしたらツリーのしたで男が女をお姫様抱っこしている。ってかなり絵になるんじゃねぇか?


光一「この木もクリスマスじゃねぇのにな。一年中光ってるつもりかよ。まぁ夜だけか」


咲希「そろそろ……降ろしてよ……」


この恥ずかしがる仕草も俺はさ。


光一「悪かったよ。ほら」


下ろす俺。


光一「軽くて助かった。でも店内で叫ぶんじゃねぇよ」


咲希「こうちゃんが悪いんだから」


確かにな。だから許してくれよな。


もう後戻りの出来ないところに行くよ。


光一「良いこと言ったって顔も、笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も、俺のことなのに自分のことのように手伝ってくれるその性格も恥ずかしそうにしてるその仕草もさ俺は、大好きだ」


ごめん。ずっと友達なんて無理だよ。


光一「付き合ってほしい。咲希じゃなきゃダメなんだ」


咲希は、うつむいている。顔が見えない。でも涙が流れているのはわかる。


ポタ。


ポタリ。


どうして。


嬉しいのか?


悲しいのか?


俺にはわからない。


それでも俺は、俺には言えないと思っていたことを言ったんだ。答えを権利があるんじゃないか?


幸せな時間がずっと続けばいい。願うなら咲希 の隣でさ。


光一「なんで泣いてるんだよ。泣くことないだろ」


不思議でならない。


先の小さい拳が震えてる。いや全身が震えている。


どうした?


なんで?


寒いの?


光一「寒いのか? どうして震えてるんだよ……」


俺の発言がこんな状況を作り出したのか? 当たり前だ。俺のせいだ。また女の子を泣かせた。どうしろっていうんだ!


光一「ごめん。俺の発言が咲希を泣かせたんだと思う。でも撤回は出来ないよ。冗談でこんなことは言ったりしない。本気だ」


俺は……。


光一「本気で咲希のことが好きなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


気づくと俺も泣いている。どうして。まだ答えを聞いていないのに。聞きたい? 聞きたくない? もうわかんなくなってきたよ。


永遠とも思える時のなか咲希が顔を上げた。


その顔にうつっていたのは。そして咲希の唇が動く。ゆっくりと。俺の好きな声で。


































































咲希「ごめん……ごめん……ごめんね! 私はこうちゃんとは付き合えない…付き合えないんだよぉぉぉぉぉぉぉ!」


涙のこぼれる速度が増す。


俺の好きな顔で、好きな声で、目の前の女の子は、俺を拒絶した。ずっと続いてほしいと願っていた。世の中の平和なんかどうでもいい。ただ咲希がいる。いてほしい人がいる。そんな平和は、瓦解した。音を立てて崩れ去った。俺の表現力じゃこの絶望は、表せない。ただ俺は……。




光一「あぁ……ぁぁ……」


声にならないの叫びを上げた。こういう時、涙は止まってくれない。

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