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第10話 カッコいい男になりたかったんだ

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本作品の内容はフィクションです。

登場する人物・団体・地名等は架空のものであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。

また本作品には過激な表現が含まれておりますが、犯罪にあたる行為など実際に行われますと、刑法により厳重に処罰されますので絶対に真似しないでください。

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足が浮いて俺は数メートルが吹き飛んだ。地面に背中がついてもズザザザザザザザーっと音をたてて俺が滑る。

光一「ごほっ! お前……なんだそのバカみたいな力は!」

起き上がり様に俺は言う。

ユウト「あーこれね。最近光に包まれてさ。力を授かったんだ。神からも愛されてるのかもね。僕さ」

光に包まれた? 状況が上手く把握出来ないな。でも俺の能力よりは弱いな。

ユウト「はぁはぁ。あれを食らって起き上がるなんてね」

息が上がっている。許容限界が近いのか? 俺と同じ? まぁいいみぞうち狙いの今のパンチが全力なら遅すぎるにもほどがある。もういいだろう。

光一「少し詳しく聞く必要がありそうだな。すぐに終わらせる」

俺は地面を高速で蹴ってユウトに急接近する。音速はまずいな。俺の同じなら能力覚醒が最近ならキャパシティ(許容範囲)もそれほど大きくないだろう。赤子も同然だ。

ユウト「なっ!」

驚くのも当然だろう。俺のスピードは尋常じゃない。ユウトの近くまできた俺は前のめりに低空ジャンプした。そのまま音速を越えない程度に足に力を入れユウトの腹に蹴りを入れた。

光一「お返しだ」

ユウト「あああああああああああ!」

ユウトは俺が吹き飛んだ比にならないほど大きく吹き飛んだ。死んでないよな?

ユウトが起き上がった。杞憂だったようだ。

ユウト「おおおおお前! 本当ににににに人間かよ!」

盛大に怯えてくれちゃってるな。好都合だ。

光一「まだやるのか? 1割も力出してないんだが? 少し本気を見せてやるよ」

煽りってのは大事だよな。全身に力を入れ全開をイメージする。即座に俺は目の前の何もない空間。空気に右ストレートをかました。

バァァァァァァァァン! っと轟音を響かせ回りに破壊をもたらした。少なからずユウトも吹き飛んでくれたようだ。素手で音速はあれから練習したおかげでキャパは越えなく打てるようになった。それとわかったのは能力は服にも影響があるらしい。ビリビリになって爆散しないのが何よりの証拠だ。博士に特製の靴なんて用意して貰わなくてもよかったわけだ。だけど効果範囲はあの大剣には及ばなかった。粉々になったし。

ここまでやれば話す気にもなるだろう。

光一「で? お前は何がしたかったんだ? 朝っぱらから嫌なもん見せやがってなぁ~」

俺はユウトの元にゆっくりと近寄る。

ユウト「ヒィ! 僕はなりたかっただけなんなだ!」

光一「なにに?」

ユウト「カッコいい男にさ!」

光一「なんで?」

行動のどこにそんな要素があったというのだろうか? あえて突っ込まず問いを続ける。

ユウト「咲希にフラれてずっと考えていたんだ。モテる男は更にモテる。だからモテる努力をした。本命に振り向いてもらうために! 朝の演出はそのためだ! 今は咲希の隣にいるやつより俺のほうがカッコいいぞって知らしめるためにお前と戦った! カッコいい男になりたくて何が悪い!」

光一「言っとくけどな。俺からみてもお前はまったくかっこよくなんかねぇぞ? モテるからカッコいい? あまりバカにするなよ。咲希はそんなやつに向き向かない。安く見るんじゃねぇぞ」

何様なんだろうか俺は。

光一「モテるから女を泣かせてもいいのか? 違うだろうが! カッコいい男なら惚れた女を幸せにすることだけを考えろよ! 見た目がカッコいい? オシャレ? 可愛い女連れてる? ふざけてるのか! カッコいいは外見だけじゃねぇだろうが! お前の朝した行動はカッコいい行動か? そんなわけない。人として最低だ。全くもってカッコいい生き様なんかじゃない 」

言うこと言って俺は立ち去る。本当に口だけだよな。俺ってさ。


夜になった。俺はいつも通り異形種薙ぎ倒してまわっている。博士の巡回カメラのバックアップは本当に助かる。ピースは戦闘時は家で待機だ。ユウトとの戦闘ではバッグの中にピースを入れっぱなしだったので正直危なかった。

光一「あー自己嫌悪だわー」

声「カッコいい男を力説したからな」

思い出しても恥ずかしい。

光一「カッコいい男ってなんなんだろうな」

声「俺もわからねぇけど男なら一度は追い求めるんじゃないか?」

光一「だよな。俺も追い求めてるから力説出来るのか」

声「光一は教職者だからな。しっかりと教えないとな」

光一「すでに正解がわかってることなら簡単だよ。未だに答えが出てないこと曖昧に教えるなんて先生としてもっとしっかりしないとな」

声「なら大学いって教員免許でも取得すればよかったんじゃ」

光一「俺は子供の成長の第一歩辺りの背中を押したかったんだよ」

声「そっか。カッコいい男かどうか明日咲希にでも聞いてみたらどうだ?」

光一「いいなそれ! 聞いてみるか!」

明日が楽しみだ。


カッコいい男になりたかったんだ2


光一「俺ってカッコいい?」

朝である。出勤する途中、咲希にあったのでいきなり聞いてみた。

咲希「ブサイク」

光一「えっイケメン?」

咲希「ぶさ……少しカッコいいかも」

光一「えっ超かっこいい?」

咲希「調子にのらない」

いつもこんな感じだから冗談なんだか本気なんだかわからないな。まぁいいか。すると目の前からユウトが一人で歩いてきた。なんか俺を見つけると走って近寄ってきた。やっべぇー報復は唐突ですなー。

ユウトが俺めがけて大声で言った。

ユウト「弟子にしてください! 先輩!」

光一「へっ?」

咲希「ふぇ?」


カッコいい男になりたかったんだ3


お昼寝の時間である。もちろん園児の。

光一「ユウトが年下なんて聞いてねぇぞ!」

咲希「言ってないからね~。あはははははは」

朝聞いた話によると、咲希とユウトはいわゆら幼なじみというやつらしい。最初は年が一つ離れているのでユウトも最初は咲希ねぇなどと呼んでいたという。ユウトが思春期をこじらせて咲希に告白して今のような感じに。心底どうでもいいなこりゃ。

光一「それにしてもさ」

咲希「弟子にしてってさ! 爆笑だねー」

光一「めんどくさいのは嫌いだ! これ俺に限った話じゃないだろ!」

咲希「こうちゃんはなんだかんだ言って面倒見いいじゃん? 遊びだと思ってさ?」

光一「遊びで師匠? おかしいだろ?」

咲希「てかなにやったの?」

正直に答えたくねぇ~。

光一「カッコいい男について力説した」

咲希「あははははははははは!」

爆笑である。つらっ。

光一「男ってのは一度は憧れるもんなんだよ。女にはわからん」

女心は俺達にはわからんけども男には男にしかわからんこともあるんだぜ?


カッコいい男になりたかったんだ4


仕事が終わった。今はユウトとカフェナウである。ナウってのは今ってことな。

光一「なんで俺が男とカフェらなあかんねん」

切ないねー。俺の人生こんなんばっかかよ。

ユウト「あの先輩もっと能力について教えて下さいよ!」

光一「お前が悪い使い方するともわからん。断る」

ユウト「先輩が近くにいれば大丈夫ですよ。僕ですね。女遊びやめたんですよ。かっこよくないなって思って」

光一「そっか別に女の子と付き合うことに俺はとやかく言うつもりはない。けどな泣かせるのは良くないな」

ユウト「はい!」

光一「しょうがないな。少し教えてやる。能力についてわかっているのは許容範囲があることだ。それを越えると立ちくらみみたいなのが起きる。最悪の場合は倒れる。毎日コツコツ使うことによってそれが広がる。ユウトも知ってると主な効果は身体強化だな。まぁ能力が同じともわからんから参考にな」

ユウト「詳しいんですね! いつ頃覚醒しました?」

覚醒とか中二臭い表現するんだな。

光一「最初からだ。だからユウトが光に包まれたのは初耳だ」

ユウト「最初からって!? 僕が勝てるはずないじゃないですか!」

光一「そういうことだ。能力についてはまだまだ知らないことばかりだがな。なんでこんな平和な世の中なのに……」

不思議に思わないわけじゃない。殲滅兵器がない世の中なんて昔の人間にとっては願ってもないことなんだろう。でも俺には圧倒的な破壊の力が生まれながらある。これって世界が破壊を欲している? そんなわけない。絶対理由があるはずだ。

光一「今日の夜時間あるか? 世界の異変もついでに教えてやる」

ユウト「世界の異変? ああでしたら連絡先交換しましょう」


カッコいい男になりたかったんだ5


ユウト「なんなんですか!? こいつらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

いつもの深夜徘徊にユウトも連れ出してみた。異形種はこちらが手を出すと途端に襲いかかってくる。こいつらがいつ一般市民を襲うかもわからないので駆除してるわけだ。

ユウト「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」

ユウトが駆除されそうなので助け船を出した。もちろん愛剣でだ。横に一閃。

とたんに爆風が吹き荒れる。

ユウト「なんなんですか!? その鉄の塊は!?」

光一「秘密だ。それとな絶対に咲希には能力の事とこいつらのことは内緒にしろ。知って特することなんかじゃない」

ユウト「わかりました……。非現実の連続で頭がついていきません」

光一「そのほうがいいだろ」

俺だって普通がいいんだよ。本当はさ。


カッコいい男になりたかったんだ6


駆除が終わってユウトはうなだれて帰っていった。

ピース「人間って力持ちっぴねー」

最近、ゲイシーも現れないしピースも連れてきている。人間見たいというのに人間みせてないけど。

光一「普通の人間はこんな力でねぇよ」

声「不思議だな」

光一「お前もな」

声「照れる」

褒めてねぇし。

光一「帰るか」

その時、携帯が鳴った。

博士からだ。

「助けてくれ! 光一! 研究所が襲われておる!」

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