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こんな夢を観た

こんな夢を観た「UFO襲来っ!」

作者: 夢野彼方
掲載日:2014/08/05

 寝室の窓越しに強烈な光が射し込んできて、目が醒めた。

「こんな時間に、外でフラッシュなんか焚いてるのは誰だろう」わたしは寝ぼけまなこでカーテンを開ける。

 目の前の空き地に、タンク・ローリーくらいの丸っこい乗り物が駐車していた。デコトラも顔負けの、ギラギラど派手な電飾を瞬かせている。

「あんなに明かりを付けちゃって。ただでさえ、省エネだって騒いでいる、このご時世に、いったい何を考えてるんだか」


 まぶしさに目を細め、様子を見ていると、中から人影が3つ、4つ降りてきた。

 窓のすぐそばまでやって来ると、全員そろって、平手で喉仏をとんとんと叩きながら言う。

「ワ・レ・ワ・レ・ハ、ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ」

 宇宙人だっ! ということは、あの乗り物は宇宙船なのかっ。


「ち、地球を侵略しに来たんだねっ?!」わたしはうわずった声で叫んだ。

 宇宙人達はきょとん、と首を傾げる。別の1人が、iPadそっくりの端末で何か操作して、わたしに表示画面を見せた。


 〔はぁ?! なにそれ。つまんないっ!〕


 日本語でそう書かれている。

「えっ、違うの?」わたしは拍子抜けしてしまった。


〔我々は、惑星・リーバイスから来た、宇宙文化生命学の研究者です〕

「ああ、調査団の方達ですか」わたしはうなずいた。「つかぬ事をお伺いしますが、わりとちょくちょく地球上空を飛び回ったりしてません? 最近、目撃情報が多いんですが」

〔ははは、そうかもしれませんね。なんせ、上期の締めが近いもんで、それまでにはレポートを提出しなければならないんですよ〕

「どこも、大変なんですね」心から同情する。


〔ところで、今日は君に後協力を願いたいんですが〕宇宙人が改まって言う。

「はい、何でしょう?」

〔人体実験の被験者になってもらえないでしょうか〕

「それはちょっと……」わたしは困った。

〔あ、いや。何も、切ったり改造したりと言うんじゃないんです。昔はやっていましたが、近頃では宇宙人権協会がやかましくて〕

「そうなんですか。どういうことをすればいいんです?」

〔ここじゃ何ですので、どうぞ、あちらへ――〕

 そう言うと、UFOの方を指し示す。

「お邪魔します」わたしは彼らについていった。


 UFOの中は、ゆったりとした応接間になっている。革張りのソファーがドーナツ状に作られ、中央には丸いテーブルが置かれていた。

「なかなか居心地のよさそうな船内ですね」わたしは感心する。

〔夜は、テーブルを端に寄せて、布団を敷いて寝るんです〕

「へえー」どこか、所帯じみているなあ。

〔料理が運ばれてきました。さあ、召し上がってみて下さい〕

 テーブルの上に、次々と食べ物が載せられていく。冷や奴、納豆、ハンバーグ、すき焼き、スクランブル・エッグ……。

「てっきり、エイリアン料理が出てくると思いましたけど」

〔今、銀河系じゃ、地球のメニューが流行なんですよ。スシなども大人気で、アンドロメダ・ロールだとか、宇宙軍艦巻きなど、独自の物まで作られていましてね〕


 促されて、わたしは料理に箸をつけ始めた。

 冷や奴を箸で挟んで切り分け、そっと口に運ぶ。

〔おお、ああして小さくし、強すぎず、弱すぎず、計算しつくして持ち上げるのか〕宇宙人達は、身を乗り出すようにしてわたしを観察する。

 パスタをフォークにクルクルッと巻きつけると、

〔地球からの電波で観たことがあるが、本当にああして摂取するんだなあ!〕などと、大いに湧くのだった。


「あのう、いちいち評価されると、とっても食べづらいんですけど」わたしが苦言を呈すると、

〔ああ、すみません。ですが、これが人体実験なんですよ。年末に「地球グルメ」という本を出版する予定でして〕

「ああ、そういうことでしたか」わたしはようやく理解した。「えー、納豆は、こうしてつまみます。つるんっと滑りやすいので大変ですが、力加減と勘で、えいやっ、おっとっと、そらっ!」

〔なるほどっ! 我々は、わざわざ専用のコンピューターまで開発して研究に当たったんですが、結局、実現できずにいました。……えっと、「力加減と勘」……っと〕


 すっかり満腹になったわたしは、宇宙人達にいとまを告げてUFOを後にした。

 帰る間際、

「2冊目の刊行が決まったら、また呼んで下さい。今度は、ステーキとかフグ鍋なんかいいと思いますよ」

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