表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケイオス・イーラ  作者: アメジスト
6/11

ケイオス・イーラ 6

通常の私のお仕事の事書いてみました。まあ、殆ど毎日こんなものですよ。

出撃

 まあね。過去の事を振り返ると、あの時とか、こうしていれば、なんて思い出ばかりです。一旦出撃から帰った私達には、最低14時間の休息時間が、与えられます。私だって、8時間は、寝ちゃいますしね。それと、古参下士官達が、上手に基地要塞に帰る途中で、無事だった者の、昼食タイム、又は、小休止タイムで調整して、何処の中隊でも、出撃時間は、10時間と暗黙の了解事項となっています。

 無論、後方部隊は、全く別です。彼らは、時間との競争なのですから。負傷者は、彼らの中で、最も早く戻るグループと共に、移送されます。抵抗感有りますけど、戦死した者も含まれます。要塞内の工場+研究所では、彼らは、大切なサンプル、原材料なのですからね。

 などと、愚痴っていても、仕方有りません。最近は、ネット放送も、1チャンネルになってしまって、基地内の図書室で借りられる。本や、DVD観たほうが、リラックスできますしね。まっ寝るのが一番ですよ。と言う事で、おやすみなさい。

 普通の自衛隊では、朝6時起床で、全員ビシバシ鍛えられております。しかし、対魔師団、第一線部隊要員の内、出撃から無事帰った者は、完全例外扱いなのです。ただし、出撃の1時間前までには、起床ですけどね。

私の中隊ですと、8時出撃、18時着隊なのですよね。ですから、無事だった下士官兵士は、1時間だけ、ゆっくりと寝ていられます。たかが1時間と思うでしょう。ところが、これが彼らにとって、物凄いステータスなのです。しかも、お代わり自由の朝食を平らげ、特製弁当と、水筒。整備の済んだ武器を持って、電動装甲車と言う名前の、かなり強化された、装甲トラックで出撃します。これらは、常に死と背中合わせの、実戦部隊員の特権なのです。

 私の中隊は、比較的近場での戦闘が多いのですよね。これは、近場まで妖魔が出没している事、中隊長の私が、女性、しかも見た目女子高生のせいなのか、少々悩みますねえ。部下の、第1、第2、第3、第4小隊の、猛者級下士官と、古参兵士のメンバーは、殆ど替わりません。例のお風呂で、耐性力と、回復力を持っていますからね。ただ、ドジをしたメンバーの補充兵と、4名の小隊長は、一期一会と言えば聞こえは良いのですが、まず、半分以上は、戦死確定なのです。今の主力メンバーも、こうした、新米から生き残った連中なのです。ですから、あるときから、私は、決して小隊長の名前を意識的に知らない様に、努めています。インスタント、強化特訓修了生で、新品の三尉が彼らなのですから。私の処で生き残ったら、一発で二尉として、別の中隊の小隊長に転属、50名・・・100名に1名、中隊長になる・・・らしい。彼らは、刀神の宿った刀を持って居るはずなのです。ちなみに、最近では、この士官には、志願すれば、剣道か居合道の有段者であれば、簡単になれます。形式的に、10日間の研修だけ。段位の無い者、無経験者、でも、30日間の、殆ど日本刀の素振り練習中心の特訓とインスタント士官教育を詰め込まれて、実に簡単になれます。

 今回も、何とか生き残ってくれれば・・・

「妖魔反応! 黄百足猿。中位種。数10匹以上。」

「こりゃかなり楽な敵だ。奴らは遅い。普通の人間と変わらん速さだが、凄く硬いからね。ボウガンは、殆ど効かないよ。各自、スピアライフルの射出力を最大にセット。何時も通り慎重にやれ。私は、出る。小隊長は、続け。」

私は、小隊長たちから見ると、まさに神速のスピードで、手前の6匹をかたずけました。しかし、百足は、中々しぶとい奴らで、頭を切り落としても、体の方がまだ、暫くの間かなり確りと動いて居ると言う、困った性格をしています。この為、内の連中が、単発ながら、人が投げつける十数倍のバネ仕掛けのスピアライフルを打ち込みます。でないと、危険な為、後方部隊の体液回収班が、仕事出来ません。などと、よゆうで、更に後方の4匹も、倒しましたが、不味い。2匹見落としたか。それが、4名の小隊長を襲って、間に合うか。2匹とも、頭は切り離しましたが、3名重体、1名戦死。頭食われております。失敗でした。4名がかりで、速さとしては、さして変わらない2匹に、手も足も出ないとは、最近特に、小隊長の質が落ちています。重体の3名が助かる確率は、以前より少し上がって、10%。

 補充兵士7名が、まだ動いて居る妖魔に近付きすぎて、体液をあびて、重体ですね。私なんて、もう、ずぶぬれですけどね。慣れた連中は、へまはしません。後方部隊の回収班、最近は、妖魔の死体まで、運んでおりますが、これがまた、危険な作業なのですよね。にしても、人に戦わせておいて、素早い事ですねえ。無論理由は、在るのですから、仕方有りませんねえ。

「妖魔反応は?」

「在りません。全滅させたようです。」

「よーし、全員、後方部隊援護警戒態勢」

 これ、実は、全員素早く、やれる事をやれ。の意味なのです。個人装備の強化は、やり過ぎる事はありません。流れ落ちた体液までは、回収不能ですしね。基地要塞から、荒れ果てた道を約3時間。実質的戦闘は、私ひとりで、まあ、数分ですか、その後の作業が、1時間弱でしたかねえ。これ以上の長居は危険です。だいたいですが、戦闘を開始して、60分が安全の目安なのです。これを越えますと、別の妖魔が出現する危険性が、増加します。無論出現しない方が、圧倒的に多いのですが、とりあえず、任務完了ですしね。安全第一です。

「撤収。」

 で基地要塞に向かって、一目散ですねえ。で、途中のまあ、此れまでの経験で、ここなら安全と言う場所で、昼食です。全員のお楽しみタイム。ふう、今日は、海苔巻きですか。この弁当、今のご時勢では、凄い贅沢なのです。ただ、私だけは、食べるのに一苦労なのですよね。手では、決して触れません。食べる前に腐ります。ですから、コーティングされた箸で、本当に一口ずつ。パク、パクっと口に入れます。慣れましたけどね。基地到着は、予定通り18時でした。

しかし、たまに、計算外の出来事もあります。次回は、その困ったお話の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ