ケイオス・イーラ 5
日本でも、出来る事は・・・出来ない事も、やりつくし、生き残るのに必死な、努力はしてたのです。ただ、妖魔の方が、強かっただけでした。
対魔師団・日本防衛計画の破綻
日本では、本当に混乱の極みだったのです。当初、陸上自衛隊対魔師団は、札幌、青森、盛岡、仙台、新潟、舞鶴、東京、名古屋、大阪、広島、高知、福岡の12ヵ所に拠点を構え、各師団とも、実戦兵力1万名、後方予備兵力2万名、更に、特訓大量育成中の、神官を結界強化の為の防衛要員として1万名。と言う、総兵力48万名に及ぶ、大戦力によって、日本を守りきるという、大構想を計画していたのでした。
それが、私と母さんが入院していた3週間の間に、大幅な計画の縮小と、北海道からの撤退計画が、極めて不完全な朝令暮改の元に、実行されたのでした。更に、米軍が守備して、豊富な武器弾薬で、守っていた沖縄とは、連絡が途絶えたのでした。内海を除く島への、音信も途絶えていたのです。
当初、中位種、下位種が局所的に出現。対抗できたのが、本物の日本刀、薙刀、槍などで武装した、各流派の指導者と門下生が活躍。過半数を全滅に成功。え~・・・その中には、母さんと私も入ってましたよね~ ただ、その結果全員が、重体で入院でした。また、実弾を装備した、自衛隊が残りを概ね全滅に成功。
ならばと、腕に覚えの在る者に、博物館から刀剣商、あらゆる日本刀、薙刀、槍・・・弓矢を支給して、湧き出る妖魔を次々に全滅。そして、これまた、次々に入院。一部弓矢も通用した為、兵器関連部門では、日本刀の大量生産に加えて、全金属製の槍、スピアや、全金属製の矢を射出するボウガンが、開発されていました。理由は、薙刀、槍は、一撃で、木製部分が、腐ってしまったからでした。矢もまったく同じ理由でした。
何故か? 日本には火薬が、決定的に不足していたからでした。この時点で、既に日本全土を守る計画は、大きく揺らいでいたのです。実戦兵力、後方予備兵力の銃器の弾の生産が、計画の1割に満たなかったのでした。
更に愕然とさせる、現実が突きつけられたのでした。入院した重体の、第一線主力兵力予定者は、極めて回復の早い者が、5%居ましたが、他の全員が、最新医学でも手当ての手段が無く、無残に腐り、息絶えたのでした。当時その理由は、全く解っていませんでした。
そして、輸入の途絶が、日本の息の根を止めたのでした。石油、天然ガスは、日本でも、ほんの少し採れるのですねえ。しかし、備蓄分では、1年いえ、半年持たない事は、直に分りました。食料もまた同じ、多少マシではありますが、寒冷地での防衛を放棄するしか無かったのでした。
電気だけは、過去の失態から回復した原子力発電、水力発電、風力発電、ソーラー発電などで、必要電力の60%は、確保可能でした。などと言っても、如何しようも無い状態だったのです。
人が、この状態の中で、生き残る為には、武器、食料、防護衣料、治療、エネルギーが必要でした。そして、情報部の資料によって、これらの内、武器に関しては、妖魔の体液に、一定時間以内に、下位種から順に上のレベルの体液に、計画的に浸すことにより、妖魔に通用する、武器としての、強度を上げる事が、分って大騒動と、多数の犠牲者が、出てしまったのでした。妖魔の体液に触れる=死。ただし、平均12時間で、効力は、殆ど無くなります。そのタイミングで、防護服、靴手袋を短時間浸すと、若干抵抗力が上がります。ただ、この場合、1回限りで、体液の効果は、失われます。そこで、試行錯誤の結果、第一線で戦い、重体となった、者の軍服から下着まで、研究対象となり、ついに、下位種にならば、ある程度の効力を発揮する。防護服の製造に成功したのでした。
武器の方が、早く下位種にまで、対抗出来る、槍、ボウガンと矢の量産体制に入る事ができました。無論、刀にも、同様の処置がとられて、少なくとも、下士官、兵士に支給出来る体制を整えたのでした。しかし、人間のスピードと、妖魔のスピードには、差が在りすぎ、戦果より犠牲の方が多い。下手をすると、全滅させられる新部隊が、出る始末でした。
そこで、数少ない、妖魔に平気な者を、正式に一尉とした、今の部隊編成が、出来上がったのでした。この時点で、首都機能をより結界の強力な、京都に移したのです。対魔師団の主要拠点は、東京、名古屋、大阪、福岡の4ヵ所とされ、静岡、舞鶴、広島、徳島には、大隊以上規模の拠点が、守る結果になっていたのでした。
過去の話ばかりで、私(真琴)も、憂鬱になってしまいました。次回は、明日のお話です。・・・多分