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好きな人がいるのに、別の人と結婚させられました

作者: 井上さん
掲載日:2026/09/09

名前を借りました


フィクションです

 好きな人がいた。


図書館で出会った。

偶然、同じ本を取ろうとして、お互いに譲り合ったのだ。


 私 レイア・リオハートは、その本を譲り、別の本を取った。相手から、そちらの本の事を聞かれ、説明した。


それから、話をするようになった。


 彼はエディと名乗った。

金髪に紫の瞳をした顔が良い男の人。

身なりが良いから、どこかの貴族の子息なのかもしれない。

 でも、とても気さくで話しやすいし、「あの本に書いてあった」とよく言うので、かなりの本を読破している事が伺える。


 趣味が合うから話してて楽しい。たぶん、好き…なんだと思う。

向こうはただの趣味が合う友人と思っているんだろうけど。

 名前だけは知ってるけど、家の名前は知らない。


 それでも、顔を合わせると、話に夢中になった。とても楽しくて充実していた。


ずっと、こんな日が続くと思っていた。




 突然、婚約者ができたと父に言われた。


キルヒホッフ侯爵家からの申し込みらしい。何故、縁もゆかりも無い私に婚約が?


我が家は男爵家。身分も下だ。


 でも、貴族の娘として生まれたからには、政略結婚は当たり前の事だった。

上位貴族からの申し込みは、よほどの事がないと断れない。


 しかも、婚約なんて儀礼的なもので、1ヶ月後には結婚式をするらしい。


 結婚するのはエドワード・キルヒホッフという知らない男だった。

だから、嫌だと思って抵抗していた。


 しかも、結婚式の準備や、侯爵家の嫁になる為の勉強が忙しくて、図書館には行けなかった。


 エディにせめて、お礼とお別れを言いたかった。






 婚約中は理由をつけて会わなかったし、結婚式の時も、夫の顔は見ていない。ずっと視線をそらしていた。




 だが。

初夜である。逃げられない。


 侯爵家だから、とても広い部屋に豪華な調度品。

天蓋付きベッドも大きい。


 誰もいない時にふかふかのベッドに飛び込みたい。




それはさておき。




『お前を愛するつもりは無い!』とか言わないかな?


そんな事を考えていたら…


 夫が部屋に入ってきた。

相変わらず、夫の顔は見ない。


「レイア、私の顔を見て」


 夫が声を掛けてきた。


ん?どこかで聞いたような声…?

夫の顔を見た。


「……?エディ!?」


 そこにはエディがいた。


「そうだよ」


 エディはニコリと笑った。


「どうして!?」


 エディが何故いるのか?夫はどこ行った?


「君と結婚したかったから、無理矢理結婚しちゃった」


「…え?」 


 今、何と言った?


「きみの夫だよ」


 夫?


「え?」


「これで遠慮なくレイアと一緒にいられる」


 エディが抱きしめてきた。


「え?え?」


 ちょっと待って…夫!?どゆこと!?


「ずっとこうしたかったんだ」


 ちょっ待てよ。マジでどういうこと?


「図書館で出会って、話をするうちに惹かれていって…」


 そうだったの!?


「君は、ただの趣味の合う友人だと思っていただろうけど」


「そんな事無い!」


 つい叫んでしまった。

エディがビックリしている。


「私も…」


「え!?」


「知らない人と結婚するんだと思ってたから…まさか、エディだったなんて…」


 エドワードだから、愛称はエディ。なるほど。


「私が侯爵家の子息だと知ると、擦り寄って来る令嬢が多くて…騙したみたいでごめん」


「良いの!侯爵子息って知ったら、私、逃げちゃうと思う」


「逃げられなくて良かった」


 ホッとした顔をするエディ。




 それから、甘い初夜と共に、新婚生活が始まったのだった。



読んでいただきありがとうございます

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