好きな人がいるのに、別の人と結婚させられました
名前を借りました
フィクションです
好きな人がいた。
図書館で出会った。
偶然、同じ本を取ろうとして、お互いに譲り合ったのだ。
私 レイア・リオハートは、その本を譲り、別の本を取った。相手から、そちらの本の事を聞かれ、説明した。
それから、話をするようになった。
彼はエディと名乗った。
金髪に紫の瞳をした顔が良い男の人。
身なりが良いから、どこかの貴族の子息なのかもしれない。
でも、とても気さくで話しやすいし、「あの本に書いてあった」とよく言うので、かなりの本を読破している事が伺える。
趣味が合うから話してて楽しい。たぶん、好き…なんだと思う。
向こうはただの趣味が合う友人と思っているんだろうけど。
名前だけは知ってるけど、家の名前は知らない。
それでも、顔を合わせると、話に夢中になった。とても楽しくて充実していた。
ずっと、こんな日が続くと思っていた。
突然、婚約者ができたと父に言われた。
キルヒホッフ侯爵家からの申し込みらしい。何故、縁もゆかりも無い私に婚約が?
我が家は男爵家。身分も下だ。
でも、貴族の娘として生まれたからには、政略結婚は当たり前の事だった。
上位貴族からの申し込みは、よほどの事がないと断れない。
しかも、婚約なんて儀礼的なもので、1ヶ月後には結婚式をするらしい。
結婚するのはエドワード・キルヒホッフという知らない男だった。
だから、嫌だと思って抵抗していた。
しかも、結婚式の準備や、侯爵家の嫁になる為の勉強が忙しくて、図書館には行けなかった。
エディにせめて、お礼とお別れを言いたかった。
婚約中は理由をつけて会わなかったし、結婚式の時も、夫の顔は見ていない。ずっと視線をそらしていた。
だが。
初夜である。逃げられない。
侯爵家だから、とても広い部屋に豪華な調度品。
天蓋付きベッドも大きい。
誰もいない時にふかふかのベッドに飛び込みたい。
それはさておき。
『お前を愛するつもりは無い!』とか言わないかな?
そんな事を考えていたら…
夫が部屋に入ってきた。
相変わらず、夫の顔は見ない。
「レイア、私の顔を見て」
夫が声を掛けてきた。
ん?どこかで聞いたような声…?
夫の顔を見た。
「……?エディ!?」
そこにはエディがいた。
「そうだよ」
エディはニコリと笑った。
「どうして!?」
エディが何故いるのか?夫はどこ行った?
「君と結婚したかったから、無理矢理結婚しちゃった」
「…え?」
今、何と言った?
「きみの夫だよ」
夫?
「え?」
「これで遠慮なくレイアと一緒にいられる」
エディが抱きしめてきた。
「え?え?」
ちょっと待って…夫!?どゆこと!?
「ずっとこうしたかったんだ」
ちょっ待てよ。マジでどういうこと?
「図書館で出会って、話をするうちに惹かれていって…」
そうだったの!?
「君は、ただの趣味の合う友人だと思っていただろうけど」
「そんな事無い!」
つい叫んでしまった。
エディがビックリしている。
「私も…」
「え!?」
「知らない人と結婚するんだと思ってたから…まさか、エディだったなんて…」
エドワードだから、愛称はエディ。なるほど。
「私が侯爵家の子息だと知ると、擦り寄って来る令嬢が多くて…騙したみたいでごめん」
「良いの!侯爵子息って知ったら、私、逃げちゃうと思う」
「逃げられなくて良かった」
ホッとした顔をするエディ。
それから、甘い初夜と共に、新婚生活が始まったのだった。
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