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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

実録。バレンタインのトラウマと悲しみと幸せと愛

作者: 天海帝海
掲載日:2026/02/19

心の準備をしてください

俺の子供の頃の、他の人が見たらトラウマ級の思い出と罪の告白とこれからをここに残そう

詳細を知ってるやつが見たら俺が誰だかすぐに分かるやつを…


今から約15年前

当時中学2年のバレンタインデー

若くて綺麗な斎藤先生に俺特製のチョコ風味のパウンドケーキを渡した

それを斎藤先生はめっちゃ笑顔でみんなに自慢してたんだが、それが気に食わなかった数人の同級生がいた


そいつらは給食の時間に空き教室側のトイレへと向かい、ボヤ騒ぎを起こした

火事が起きた際の緊急事態のスイッチを押し、犯人のうちの1人が「火事だー!」と叫ぶ

煙に気づいた他の教室の教師が内線や全校放送で先生や生徒を、教室棟から少し離れたところにある体育館へと避難させた


犯人らはその隙に職員室へと侵入し、その先生のカバンを漁りパウンドケーキと財布から金を抜き取った

それだけでは飽き足らず、他の教師のカバンも漁り、同じく財布から金を抜いた


そいつらは元々学校内で不良のようなグループだったため、避難に遅れてきてもちょっと叱られるくらいで済んだ


その後消防車が来て2階のトイレの窓から火が出てるのを発見、直ちに消化活動へとあたった


火はさほど広がっておらず30分かからないほどで鎮火した

最初のボヤの時点で火事に気付いたとして緊急事態ボタンを押した犯人の1人が表彰され、その日は全員帰らされた


土日を挟んで3日後の月曜日

全校朝礼が執り行われ、この前の火事の件だろうと皆が思い、体育館へと向かった

だが、そこには大人数の警察がいた


生徒が全員集まり、なんだなんだとザワザワし始める

校長が壇上に上がり話し始める


「まずは生徒の皆さん、全員怪我もなく避難出来たことを心から嬉しく思います。しかしながら先日の火事で、あろうことか校内で火事場泥棒が発生しました」

館内のざわめきが増す


校長は続ける

「それであの日何があったのかを調べるため、校内の防犯カメラを警察の協力のもと、徹底的に調べました。そして犯人が分かりました。」


それが聞こえた直後にクラスの男子が数名、その場から逃げ出す

しかし出入り口には警察が待機していてそいつらは確保された

中にはあの日緊急事態ボタンを押した奴もいる


校長は冷静に話続ける


「その犯人というのが、今逃げ出した4名の男子生徒と、本日学校に来ていない2名の男子生徒です。その2名の生徒はこの後警察の方と共にこの場に出頭してきます。」


そして10分もせずに2名が到着する


「この6名は自ら火事を起こし、避難の隙を見計らい職員室へと侵入し、教職員たちのカバンからお金を盗みました。それと○○先生のカバンからは、ある男子生徒からもらったパウンドケーキも盗まれました。6名の犯人のクラスメートである帝海君(作者本人)が一生懸命作り渡したものです。これについて盗みを働いた6名のうちの誰でもいいです、何か答えられますか?」


そして犯人の1人が話し出す


「あいつが作ったやつなんて絶対汚くて不味いのに、○○先生はそれですごい喜んでたのが気に入らなかった。ケーキはゴミ処理場のゴミ箱に捨てた。」


それを聞いた直後斎藤先生が声を出して泣き始めた


実はあのパウンドケーキは少し特別で、ただの手作りというものではなかったからだ

そもそもとしてあれは先生にあげたものではなく、先生の妹さん(自分よりも年下)へ作ってあげたやつだ


その妹さんは若くして癌を患い総合病院に入院している

俺は当時その子と部活の先輩後輩関係で、それ以上に恋人同士であった

彼女は「入院してるからバレンタインにはお菓子を渡せない」と悲しんでいたので、じゃあ俺が本場アメリカのバレンタインのやり方として「男から女に花束を渡す」というプロポーズに近い告白目的で作ったものだったからだ


バレンタインデー当日、俺は忘れないようにと姉である斎藤先生に預かってもらっていたんだ…そしたらあの事件が起きた


犯人たちは俺が斎藤先生に贈ったものだと勘違いし嫉妬して犯行に及んだ

斎藤先生は自分が自慢なんてしなければこんなことにはならなかったんだ、と後悔していたが…違う

そもそも俺が忘れない為にと学校になんて持っていかなければ良かったんだ


入院している彼女には火事当日のお見舞いで、今日は学校で火事が起きたとを伝え、ケーキは○○先生に預けてあるから安心してと言い、その子が寝るまでの間ずっと隣で手を握り、寝静まってからほっぺにキスをして優しくハグをして病院を後にした


しかし斎藤先生はその日、校内で火事と泥棒が同時に発生したことで緊急集会があり、病院へと足を運べなかった


そして最悪の結果を迎えてしまったんだ…


日曜日の夜…彼女が亡くなった


俺は彼女が亡くなったことを先生から伝えられていなかったので

「捨てられたのはムカつくけど、材料は余ってるからまたすぐに作って持っていくね!」

と…

そして先生から、実は昨日妹が亡くなったと、言われた


俺はショックのあまりその場で気を失い倒れてしまったらしく、目が覚めたら病院だった


偶然にも彼女が入院していた病室の、隣のベッドだった


俺はそこに居ない彼女を信じることができず、大声をあげて咽び泣いた

いっそのこと死んでしまいたい

彼女の後を追いたい

あの日俺が学校に持っていかなければ

直接渡しに行っていれば

せめて…食べさせてあげたかった…


そこに斎藤先生が来て、さらに追い打ちをかけられた…

警察沙汰になってしまったせいで土曜日もお見舞いに行けなかったこと

突然容態が悪化して、最期に間に合わなかったこと

それを聞いた時俺は真実に気づき、声にならない声を出して泣いた


彼女は、俺の作ったバレンタインデーの特製ケーキを、俺のやらかしで勘違いされて捨てられてしまったあの特別なケーキを、彼女はずっと、ずっとこの広くて狭い病室で、信じて楽しみに待ち続けていたんだと…ずっと…

今思い出しても涙が出てしまう…


そして俺は葬式に出て、彼女の遺体を前にしてまた涙が流れた


もう会えなくなる彼女に伝えた

ひとりにしてしまってごめんね

怖かったよね

もうどこにもいかないから

今日はずっとそばにいるからね

大好きだよ

その間もその後も涙は止まらなかった


棺桶の中の彼女が、少し笑った気がした



あれから約15年

あのパウンドケーキの何が特別なのかを最後に伝えよう


彼女の誕生日が


バレンタインデーと同じ2月14日なのだ


年に一度の誕生日ケーキでもある、それも当時付き合っていた恋人が作った、始めて貰うはずだったバレンタインデーの特製誕生日ケーキという特別


彼女は、最後の誕生日ケーキを食べることが出来ずに…寂しさと悲しみの中で逝ってしまったんだ



そして何故俺が突然ここにこの記録を残したか


実はあの頃の6人の犯人の、最後の1人が自ら命を絶ったという知らせが届いたんだ


あいつらはあの日警察に逮捕され、放火と火事場泥棒という日本では極刑しか存在しない罪で、裁判により15年の懲役が執行猶予無しで実刑で下された


当時14歳

誰1人未満ではなく全員が14歳

つまり全員が少年院に入れられ、その後刑務所へと移った


そして最近、やっと面会の許可が降りたんだ

面会で6人全員にあの日の真実と事の顛末を伝えた

全員泣きながら謝ってきたが、俺は絶対に許さない

もちろん俺は俺自身も許さない

だから俺はこれからも死ぬまで罪を償う


もう俺しか残っていない


実は先生は彼女の葬式の後から完全に病んでしまい、精神が狂い、学校の屋上から飛び降り、妹の後を追った


もう、あとは俺だけなんだ


だが勘違いしないでほしい、俺はまだ彼女の後は追わない

彼女の元へ行くのは毎年2月14日に彼女の元で、俺特製のチョコ風味のパウンドケーキをお供えして一緒に食べ、寿命を迎えてからだ

毎年必ずね


俺が逝く時は

誕生日でもバレンタインでもない

特別なんでもない、俺特製の平凡で特別なチョコ風味のパウンドケーキを作って持っていくからね、楽しみにしててね


だからもう無理に待っていてくれとは言わない

これ以上君を長い時間待たせたくない

もう2度とあんな悲しみの底に沈ませない


俺は今でも君を忘れない

これが俺の償いだ


生まれてきてくれてありがとう

先に逝かせてしまい寂しい思いをさせてごめん

俺と付き合ってくれてありがとう

酷いミスを犯して泣かせてしまってごめん

俺を信じて待っていてくれてありがとう

最後に会えなくて本当にごめん


そして、愛してくれてありがとう

俺も愛してるよ

これまでも

これからも


愛してるよ、柚紀

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― 新着の感想 ―
作者様、初めまして。 こちらの作品(実録とありますが)を読んでコメントを投稿したいと思い、書かせていただきます。 人の価値観はそれぞれだと思うけれど、私は病気で亡くなった『柚紀』さんは今は肉体は無い…
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