第7話 : 不器用さ
アミヤ
「えぇぇ……ご乗車ありがとうございます~。こちらはお客様の目的地でよろしいでしょうか?」
ヒルマ
(……いや、そのジョーク寒すぎだろ)
「えぇっと、アミヤ。君、一体何をしてるんだ?」
アミヤ
「え、えっと……あのね……ふ、藤宮の代わりに迎えに来ただけ……かな」
ヒルマ
(明らかに嘘だな……)
「……まぁいい、さっさと行こう。今は頭が痛くなるだけだ」
アミヤ
「う、うんっ!」
ヒルマ
(なんでそんなに元気に返事するんだ……)
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車内は気まずい沈黙に包まれ、会話もほとんどなかった。
アパートに到着すると、ヒルマは車から降り、歩き出そうとしたその時――
ヒルマ
「うっ……!」
急な頭痛に襲われ、よろめきそうになる。
それを見たアミヤは慌てて駆け寄り、彼の体を支えた。
ヒルマ
「だ、大丈夫だ……自分で歩け――」
アミヤ
「無理しないで!!」
強い口調に思わず言葉を失い、ヒルマは大人しく彼女に身を預けた。
ヒルマ
(……初めて見た。アミヤが本気で怒ったところ)
「……頼む」
アミヤ
「え、あ……うん……」
頬を赤らめながらも、アミヤはヒルマを支え、アパートへと歩みを進めた。
部屋のドアを開けると――そこには藤宮が待っていた。
藤宮
「おっ、ヒルマ。もう帰ってきたのか……」
そしてアミヤに支えられている彼を見て、にやりと笑う。
藤宮
「へぇ……なんかいい雰囲気だな」
ヒルマ
「勝手なこと言うな! ちょっと手伝え!」
アミヤは恥ずかしそうに顔を逸らした。
藤宮は苦笑しながら彼を椅子に座らせる。
アミヤ
「……それじゃ、私はもう帰るね」
藤宮
「待てよ。少しくらいいいだろ? なぁ、ヒルマ?」
ヒルマ
「……別に構わない」
アミヤは一瞬驚いたが、静かに席に戻った。
三人は簡単な食事を共にし、しばし談笑した。
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食後、ヒルマは藤宮に問いかける。
ヒルマ
「なぁ、藤宮」
藤宮
「ん?」
ヒルマ
「どうしてアミヤが迎えに来たんだ? 本来ならお前の役目だろ?」
藤宮
「えっと……それがさ……」
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### 数時間前 ― 駐車場
背後から肩を叩かれ、藤宮は凍りついた。
??
「藤宮?」
藤宮
(終わった……!)
恐る恐る振り返ると――アミヤだった。
藤宮
「な、なんで俺だって分かったんだ……?」
アミヤ
「最初は分からなかったけど……トイレに出入りしてるのを見て、怪しいと思って……」
藤宮
「くっ……じゃあ頼みがある!」
アミヤ
「え?」
藤宮
「この車、運転できるよな?」
アミヤ
「……できるけど」
藤宮
「よし、じゃあ代わりに運転してくれ! 俺が囮になる!」
――そうしてアミヤが車を走らせ、藤宮は人混みを引きつけながら別ルートで脱出したのだった。
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### 現在
藤宮
「……ってわけだ」
ヒルマ
「そうか……迷惑かけたな」
藤宮
「いやいや。むしろ良いもの見せてもらったよ」
ヒルマ
「……は? 何のことだ」
アミヤ
「そ、それは言わないでぇぇぇ!!」
突然の叫びで部屋が一瞬静まり返る。
空気を変えるように、ヒルマはカードを取り出した。
ヒルマ
「……よし、UNOをやろう。勝った奴は負けた奴に質問一つできる、どうだ?」
藤宮
「いいね、面白そうだ」
ヒルマ
「アミヤ、お前は?」
アミヤ
「……負けないから!」
ヒルマ
(気合入りすぎだろ)
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しばらくして結果は――
* ヒルマ:勝利
* アミヤ:勝利
* 藤宮:敗北
ヒルマ
「藤宮、お前に質問だ」
藤宮
「……何でも聞けよ」
ヒルマ
「“良いものを見た”って……どういう意味だ?」
アミヤ
「っ!! やめてぇぇぇ!!」
藤宮はにやけながら答える。
藤宮
「アミヤが俺のランボルギーニで“関西ドリフト”を決めたんだよ。
あれはマジでカッコよかった。俺ですらできないのにさ」
ヒルマ
「……はぁ!?」
想像を超えた光景にヒルマは固まる。
アミヤは真っ赤になって俯くしかなかった。
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アミヤ
「じゃあ、次は私の番ね……質問するわ」
ヒルマに視線を向けながら、彼女は静かに微笑んだ。
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### 作者より
なぜアミヤは「ヒルマ」という名前を聞いただけで微笑んだのか?
そして彼女の質問は、ヒルマの過去を暴くものなのか……?
次回をお楽しみに――(作者のやる気次第で)
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