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第5話 : ヒルマの過去

物語は過去へと遡る。


???

「おい、ヒルマ!」


ヒルマ

「……?(声のする方へ振り返る)」


???

「最近、全然姿を見せないじゃないか。まさか、またあの子とイチャついてるんじゃないだろうな?」


ヒルマ

「……もしそうだったら、どうする?」


その時、別の仲間が慌てた様子で駆け込んできた。


???

「ヒルマぁぁぁ!!!」


ヒルマ

「どうした!?」


???

「アミヤが――…!」


ヒルマ

「……!!!」


ヒルマは言葉を待たずに走り出した。

廃墟のようなビルの一角――そこにアミヤは縛られ、数人の不良たちに囲まれていた。


ヒルマ

「てめぇら……!」


躊躇はなかった。ヒルマは一歩踏み出し、不良たちを次々と叩きのめしていく。その動きは迷いがなく、怒りと焦燥が力に変わっていた。


やがて不良たちは倒れ、アミヤを助け出そうとしたその時――遠くから警察のサイレンが鳴り響く。

動揺した不良の一人が、勢い余ってアミヤとヒルマに体当たりした。


ヒルマは地面に叩きつけられ、顔を上げると――そこには血を流して倒れているアミヤの姿。


ヒルマ

「アミヤぁぁぁぁぁ!!!」


――そして。


ヒルマはベッドの上で飛び起きた。

汗で濡れた顔を洗い、水を飲み、椅子に腰を下ろして深く息を吐く。


ヒルマ

「……また、あの悪夢か。

どうして今さら……。俺は、アミヤにどう向き合えばいい?

もしあの子が真実を知ったら……俺は……。」


携帯の画面を見て、授業の時間が迫っていることに気づく。慌てて身支度を済ませ、自転車を全力で漕いだ。

そして、なんとか講義開始2分前に教室へ滑り込む。


藤宮

「おい、ヒルマ」


ヒルマ

「……ん? 藤宮か。どうした?」


藤宮

「珍しいな。お前が遅刻ギリギリなんて。何か悩んでるのか?」


ヒルマ

「……ちょっとな」


藤宮

「ふぅん、らしくないな」


ヒルマ

「そんな話より、腹が減った。飯に行こうぜ」


藤宮(内心)

(……誤魔化すのうまいな、こいつ)

「わかったよ」


二人は学食で食事をとることにした。注文を終え、席に着こうとしたその時――。


アミヤ

「――キュウタロウ!」


その声に、ヒルマの身体は石のように固まった。


藤宮

「やぁ、君は天華アミヤさんだね。一緒に食べる?」


だが、ヒルマの脳裏には過去の記憶がフラッシュバックしていた。

罪悪感、後悔、そして救えなかった無力さ――。


アミヤ

「……キュウタロウ?」


ヒルマは深呼吸し、無理やり平静を装う。


ヒルマ

「……ああ」


アミヤ

「この前、父があなたに会ったみたいだけど……。一体、何を話したの?」


ヒルマ

「……別に。君を送ってくれたことに礼を言われただけだ」


彼は笑顔を作ったが、その裏でこめかみを押さえていた。頭の痛みが昨日から消えない。

だが、アミヤに余計な不安を与えたくなくて、言葉を飲み込んだ。


食事を終えた後、アミヤは言う。


アミヤ

「このあと予定は?」


ヒルマ

「午後は講義だ。……教室で待つつもりだ」


アミヤ

「そっか。あ、そうだ。忘れないでね。今日、ジョンソンセンターのプロジェクト会議があるんだから」


ヒルマ & 藤宮

「わかった」


――その後、別れた。


だが教室に戻った時、ヒルマは藤宮に小さく告げた。


ヒルマ

「……藤宮」


藤宮

「なんだ?」


ヒルマ

「……今日の会議、俺は行かない。体調が悪いから帰る」


藤宮

「はぁ? お前……」


ヒルマ

「それと。もしアミヤに聞かれたら、"俺は体調不良で帰った"とだけ答えろ。余計なことは言うな」


藤宮

「……やっぱりな。お前、何か隠してるだろ。教えろ、ヒルマ!」


ヒルマ

「黙れ。――従え」


冷たい眼差し。

それは藤宮が今まで見たことのない、異質なヒルマの表情だった。


藤宮(内心)

(……誰だ、こいつは。本当に、ヒルマか?)


その時――ヒルマの拳が藤宮の顔すれすれで止まる。


ヒルマ

「……すまん。だが理解してくれ」


藤宮は無言で頷くしかなかった。


――講義が終わり、ヒルマは真っ直ぐ帰宅。

藤宮は会議に出席し、アミヤに問われる。


アミヤ

「藤宮くん、キュウタロウは?」


藤宮

「……体調が悪いらしい。今日は帰った。報告は俺から伝えるよ」


アミヤ

「……そう。わかったわ」


――その頃、アパートの一室。


ヒルマは頭の包帯を外し、鏡を見つめる。

そこには父・天華から受けた拳の痕。


ヒルマ

「……クソッ……」


薬を手に取り、眠りを促すように天井を仰ぐ。窓の外には無数の星々。


ヒルマ

「……ごめん、アミヤ。

俺は……君を守れなかった」


そして静かに目を閉じた。


---


### 作者あとがき


ヒルマの心に刻まれた深い傷と、アミヤの失われた記憶。

彼は過去という牢獄から抜け出せるのか。

それとも、永遠に嘘と罪悪感に縛られ続けるのか――。


次回をお楽しみに。


---

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