第3章 タスク
驚きのあまり一瞬固まった蛭間キュウタロウは、深く息を吐き出し、どうにか心を落ち着けようとしていた。
彼は余計な会話を避け、ひたすら沈黙を貫こうとする。
その一方で、天花アミヤは彼をじっと見つめ続けていたが……蛭間はまるで気に留めなかった。
やがて視線は別の方向へと移る。
――研究・開発学科の代表学生二名が会場に現れたのだ。
さらに時間を置かず、各学科の担当教授たちも入室し、場は一気に緊張感を帯びていった。
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### 研究・開発学科 教授
「初めまして。私は**朝久藤ハルト**と申します。
研究・開発学科を代表し、このプロジェクトに学生を送り出す役目を担いました。
それでは、私の学生を紹介しましょう。」
* **望月アザミ**
学科:研究・開発学科
学年:4回生
性別:男
* **夢川ユミノ**
学科:研究・開発学科
学年:4回生
性別:女
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### ビジネス・マーケティング学科 教授
「私は**羽佐野ユミ**と申します。
我が学科から選ばれた学生たちを紹介いたします。」
* **天花アミヤ**(4回生/女)
* **咲琉キナロ**(4回生/女)
* **火垂アルマ**(4回生/男)
* **海龍カイ**(4回生/男)
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### 応用・プログラミング学科 教授
「私は**羽刈シュウコ**。
応用・プログラミング学科を代表し、ここに参りました。
それでは学生を紹介します。」
* **蛭間キュウタロウ**(4回生/男)
* **藤宮カイマ**(4回生/男)
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学生たちの紹介が終わると、教授たちはそれぞれの役割を語り始めた。
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### 朝久藤
「今回のプロジェクトで研究・開発学科が担うのは――
ジョンソン・センター社が発売予定のゲームをリサーチすること。
さらに市場で人気のあるゲームを分析し、そこから新たな発想を生み出していただきたい。」
### 羽佐野
「ビジネス・マーケティング学科の役割は、ゲームの市場価値を算出すること。
販売予測や利益・損失を計算し、開発側にとっての“市場の指針”を示すのです。」
### 羽刈
「そして応用・プログラミング学科。
君たちの役割は、ゲームデータの検証、セキュリティ管理、システム解析。
バグや不具合を洗い出し、アプリケーションとして“プレイ可能な品質”へと導くことだ。」
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一通りの説明を終えると、朝久藤が問いかける。
### 朝久藤
「質問はありますか?」
学生たちはしばらく沈黙したまま。
蛭間は胸の奥で疑問を抱えていたが、結局口には出せなかった。
すると羽刈が口を開く。
### 羽刈
「質問がないのであれば、我々はここで退席します。
この講堂は、君たちが自由に議論し、ジョンソン・センターへの計画を練る場として使ってください。」
教授たちはそう言い残し、会場を後にした。
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その瞬間から、アミヤの視線が再び蛭間に注がれる。
じっと見つめられることに居心地の悪さを感じた蛭間。
隣の藤宮が小声で囁く。
### 藤宮
「おい蛭間……あの女と何かあったのか?」
### 蛭間
「……別に、何もない。」
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その時――望月アザミが立ち上がった。
### アザミ
「さて、兄弟諸君!」
蛭間
(……兄弟?)
### アザミ
「このチームを率いるリーダーを決めたいと思うのだが、どうだろう?」
場が一気に静まり返る。
すると、アミヤが口を開いた。
### アミヤ
「それなら……投票で決めるのはどう?」
### ユミノ
「いい案ね。紙に“信頼できる人の名前”を書いて、多数決で。」
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こうして投票が行われ、十五分後。
結果は――**望月アザミ**の圧勝だった。
アザミはすぐにチームの役職を決め始める。
### アザミ
「副リーダーは夢川ユミノに任せる。」
### ユミノ
「光栄だわ。」
### アザミ
「書記は……蛭間キュウタロウ、頼む。」
蛭間
「えっ……」
(プログラマーとしての作業だけでも手一杯なのに……書記まで?)
藤宮が横から励ます。
### 藤宮
「やっとけ、蛭間。問題があれば俺も手伝う。」
蛭間は小さくため息をつき、渋々頷いた。
### 蛭間
「……分かった。」
### アザミ
「そして会計は……天花アミヤにお願いする。」
### アミヤ
「ええ、全力でやってみせます。」
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こうしてジョンソン・センタープロジェクトのチーム編成が始まった。
果たして、このチームに待ち受けるのは栄光か、それとも破滅か――
物語は、さらに波乱へと進んでいく。
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✦ 作者コメント ✦
このチームに訪れる未来は、成功か失敗か。
そして蛭間キュウタロウが選ぶ道とは――。
次章をお楽しみに。
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