第10話(その2)
カイ視点
「離しやがれー!!」
俺は門に向かって開けようとするけど、アマリとサユリに抑えられてる。
アマリは俺の左腕を掴んで離そうとしない。
「ダメよカイこのバカ!!あいつ逃げろって言ったでしょ!!」
サユリは地面に寝転がりながら俺の足にしがみついてる。
「サンカルパも使えないくせに!!何がしたいのよ!?」
全力で歩きながら力を込めたけど、二人のうるさい奴らは離してくれない。
「確認したいことがあるんだぜ!!うおお!!放せえええええ!!」
どうにかして門までたどり着き、全力で開けた。
その広場のような場所を見た瞬間、三人とも口を開けたまま凍り付いた。ちょっと怖かった。
そこはめちゃくちゃに破壊されていて、壁には無数のヒビが入り、崩れかけていた。
イリウスは剣を手に立ち上がってた。体中に傷だらけで顔も切れてて、かなり疲れてる様子。
一方、守護者は壁にもたれかかるように座ってた。ナイフが手元に転がってて、片足だけ伸ばしてる姿勢。
彼も全身傷だらけだけど、フードとマスクはまだつけたまま。
三人同時に叫んだ。
「赤・赤髪!?」
こっちを見てにっこり笑った。
「ああ、心配いらないよ…終わったから」
アライグマの方を見る。
「本当は殺したくないんだ。英雄は人を殺さず救うものだ。これで勝負ありだね、俺の勝ちだ」
傷だらけなのに、アライグマは微動だにしない…息してない…?死んだ…?
「お前は何もわかっていない。本当に何もわかっていない。」
あ、生きてた…
「これで終末が近づいた。まあ、もう遅いが」
ゆっくりとナイフを手に取ると、イリウスが即座に剣を向ける。
「おい!それを捨てろ!」
「お前たちを助けようとした。世界を守ろうとした。だが、これを受け入れる。
お前たちが選んだ道だ」
特定の岩に向かってナイフを投げつけると、「カチッ」と音がした。
瞬間、全てが揺れ始め、壁や天井から岩が崩れ落ちてきた。全てが崩壊し始めた。
「エンデ・バウムガルトナー。アライグマの名だ。人類を滅ぼす者の名。出会えて光栄だった」
巨大な岩が彼の上に落ち、完全に覆い隠した。見えたのは血だけ…死んだ…死んだ…
わ、俺のせいじゃないし悪い奴だったから、悲しむ必要ないよな…でも死んだ…
よし、やるべきことはわかってる!!
イリウスは心配そうにこっちを見た。
「ここの出口は塞がれた。残ってるのは入口だけだ、急げ!俺は大丈夫!」
アマリとサユリは周りを見回し、洞窟全体が崩落してるのを確認する。
アマリは空中で岩を鎖で真っ二つにした。
「わ、わかった!行かなきゃ!!」
サユリも別の岩にビウムを撃ち込んだ。
「そうね、急いで!」
「赤髪!!!」
俺は叫んだ。
「金髪の男見なかったか!?無事か!?」
彼は少し首を傾げた。
「んー、ああ…多分大丈夫だと思う」
よし…
走り出した。
アマリが怒鳴る。
「あほか!そっちじゃない、通路は反対よ!!」
ニヤリと笑う。
「あー良かった!正解だった!」
「え?ど、どういう…はあ!?」
「待ってろ!俺は大丈夫だぜ!!」
アマリはため息をつき、心配そうにサユリを見る。サユリも同じ表情。
「ほ、ほっといていいの…?」
サユリは歯ぎしりしながら、
「う、うん…い・いや!多分ダメ!!」
「ちっ、もう!あのバカめっちゃ走ってるし!!」
二人は出口に向かって走り出し、階段を登りながら落ちてくる岩をかわす。
サユリが言う。
「カイ大丈夫かな!?」
「わかんない!絶対無理だろ!祈ってろ!!"
しばらくして、洞窟の外に出た二人はヘトヘトに疲れ切ってる。
アマリは膝に手を当てて息を整える。
「はぁ…きつかった…」
サユリも地面に倒れ込む。
「あは…無事だといいんだけど…」
「待つしかないか…はぁ…」
彼女も地面に寝転がる。
数分後、心配になり始めた頃。
「おーい!アマリ!サユリ!!」
俺は洞窟から出てきて、満面の笑み。
二人はびっくりして飛び起きる。
アマリ:
「カ、カイ!?無事だったの!?」
歩みを緩めながら近づく。
「ああ、大丈夫…」
そのまま地面に倒れる。
「アマリ、実は無事じゃないから、抱っこして」
「だから完全に治してないって言ったでしょ!!」
ため息をつきながら背負って、森に向かって歩き出す。
「もう、びっくりさせないでよ…一緒に帰る約束でしょ」
「あ、ごめん…」
サユリが首を傾げる。
「え?家?どういう…」
アマリが叫ぶ。
「な・なんでもない!重要じゃないわ!」
「あっ、ベアティトゥードの外にある家に帰りたいの!?」
「違うわよ!-」
「待って、血縁関係なの!?知らなかった-」
「違うわ!!い・いつの話か忘れなさい!!!」
俺はアマリの背中でダランと舌を出しながら、ぐったりしてた。
「ア、アマリ…治してくれない?」
「ちっ、疲労回復はできないわよ…休息は代用できないの。傷とかならまだしも」
「でも…治せる?」
「無理」
「えー!!」
でもアマリは笑ってた。森に入りながら。
サユリが俺を見る。
「あ、カイ!答えてないよ、シスの能力は!?」
「あーーー、今は話したくない…超疲れたー」
サユリが怒る。
「もう!!今すぐ知りたいのよ!なんか…表現できないくらい変な姿だったし!」
「クールって言ってた」
「言ってない」
「言った」
「言ってない」
今度は俺が怒る。
「言ったぞ!!」
「い・言ってないわ!それよりエネルギーないって言ってたじゃない! allegedly!」
「おいおい-」
言葉を続ける前に、赤髪の男、イリウスが現れた。
木々の間から歩いてきて、穏やかな笑顔で言う。
「やあ、みんな」
三人は驚きながらも嬉しそうに彼の名前を呼ぶ。
彼も重傷で、片足でやっと歩いてる状態。
アマリが言う。
「赤髪、大丈夫?治療しようか?」
「いや、平気だ。心配いらない」
「そう…あ、報酬だけど、分けようか!?」
サユリはアマリの腕を掴んで慌てる。
「え!?冗談でしょ!?これが目的だったのに!」
「でも公平でしょ!ボス倒したのはあいつだぞ!」
イリウスは淡々と言う。
「いや、結構だ。でも一つだけ頼みがある」
笑顔が消え、三人は凍り付く。何を言い出すか怖かった。
「俺をヒーローと呼べ」
三人で叫ぶ。
「無理だ!!!」
イリウスはすぐに不機嫌になる。
「はあ!?でもそれしか欲しくないんだよ!」
サユリが言う。
「で・でもそういうものじゃないでしょ!!!もっと…物質的なものを頼むべきよ!」
アマリも同意。
「意味わかんない…でも私も同意!」
イリウスは歯ぎしりして、顎に手を当てる。
「ちっ、でもそれしか…あ!-」
突然、何かを悟ったような表情になる。
「そうだ!英雄は見返りを求めず人を助けるものだ!俺の目的はヒーローに会えるだけの価値がある人間になることだ!」
突然走り出す。
「ハハハ!これこそヒーローの在り方だ!」
消える前に叫んだ。
「ありがとー…うぐ…」
叫んだ瞬間、喉に激痛が走った。
でも感謝する義務はある。彼は俺のトラウマを倒してくれたんだ。
アマリは困惑しながらイリウスが消えるのを見て、また歩き始める。
「えっと…予想外だったわ」
サユリが俺を見る。
「ねえカイ、そんなに時間かかったのは何してたの!?」
「そうそう、今さらだけど聞いてなかったわね!」
びっくりした。
「あー…どうでもいいだろ、全部解決したし」
アマリ:
「大事よ!!もう心臓止まるかと思った!!」
背中でクスクス笑い出す。
二人は顔を見合わせてから俺を見る。
「ん?カイどうしたの…大丈夫?」
「ああ、何も問題ないぜ…ただ、全部うまくいったぜから」
そう、もう心配することは何もない。
あいつは死んだし、みんなと俺は無事だ。
全てがうまくいった。
「え、えっと…まあいいか」
意味がわかってないみたいだけど、いいや。今までで一番安心した気分だ。
サユリが興奮する。
「じゃあ帰ったら盛大に祝いましょ!っていうかギルドに-」
アマリが冷静に言う。
「サユリ…もう夜だしみんなクタクタよ…カイもう寝てるし」
サユリは俺がアマリの背中で寝てるのを確認して、照れくさそうに言う。
「あ、そっか…待って!なんであいつはおんぶしてもらえて、私が頼んだ時は無視されたのよ!!」
「あー、構ってちゃんはうるさいわねロリ」
「この-」
突然、後ろから声がする。
「待てー!!俺もだー!!」
本章は全3部構成となっており、こちらはその第2部になります




