第9話: アライグマたちのアジトを襲撃するぞ!
カイ視点
アライグマ…アライグマ…俺はこいつをぶっ倒してやる。
クラウンは俺を見て、次に敵を見て、ただニヤリと笑いながら壁際に歩いていった。
「じゃあ、頑張ってねダーリン♡ 私はここで見てるから」
壁にもたれかかるクラウン。
待て…こいつ、ただ見てるだけ?
「ク、クラウン?…てっきり助けてくれるのかと…」
「行きなさい坊や、全部見せてもらうから」
敵が立ち上がった。あの日と同じ姿だ。こいつからは何も感じない。あるいは、感じられないだけか。
「不誠実だな」
ポケットからナイフを取り出すアライグマ野郎。
「アライグマはいない」
わけのわからんことを言いやがる。誰も聞いてねえぞ!
「よーし!ここらでケリをつけるぜ!!いよいよ俺のシスを使うぜぇえぇ!!!」
クラウンがニヤリと笑う。
「ムオホホホ、とっても楽しみだわ…」
で、守護者のシスはどんなもんか見せてもらうぜ♡」
急に三人称で話し始めた…
「いっくぞーーー!!!」
アマリ視点
今度は私、アマリが主人公よ。えへへ。。
目の前に立つ女。この狭くて長い廊下で向き合っている。
仮面で表情は読めないが、自信たっぷりな雰囲気だ。
「緑髪の君、能力を教えてくれない?」
「はっ!教えるわけないじゃない!でも教えてやるよ、俺たち三人は同じ能力持ちなんだ!」
「ああ、そう。じゃあ『盗む』能力か、さゆりみたいに『複数の技を覚えられる』タイプか」
「わ、違う!そ、そんなわけないだろ!絶対に二つ目の方じゃねえ!」
…。
「二つ目ね」
「ちがーーーう!ちっ…」
こりゃ頭良くないし、強そうでもないわね…
「じゃあね…」
左手の薬指以外の3本の指(普通の指)から鎖を伸ばす。
「始めましょう」
サッと鎖を伸ばし不意打ちをかけるが、相手は後方へ跳んで回避。
速い…
「は!そんなんで捕まえられると思った?」
「そうかな…」
3本の鎖で連続攻撃。掴もうとするが、毎回左右や後ろに巧みに避けられる。
しばらく攻防を繰り返し、数メートル進んだところで一旦停止。
仮面の女が冷たい声で言う。
「のろいのろいのろい…鎖の先が私を掴もうと曲がる瞬間を見逃さないからね」
「ああ、気づいてた…でも君は一つ気づいてないようだ」
手を構え、再び攻撃姿勢に。
「曲がる必要なんてないんだよ!」
バシン!と鎖を鞭のように振るう。女は後退しようとするが、鎖がさらに伸び追いつく。
「鞭として使えるんだよ!!!」
1本、2本、3本と体に命中。女は苦悶の声を上げる。
「き、きさま…」
明らかにダメージを受けたようだ。
「さて、私の真の能力を見せてやるよ!…なんだと思う?」
「だいたい察しはついてる」
「ちっ、違う。まあ近いけど二つ目じゃない…じゃあもう一度聞くよ、なんだと思う?」
私はただ頷く。
「え…あの…他人を治せるの!」!」
…。
「他人を治せる?」
「そう。今のところそれだけだけど、上達中だ」
いま本気で言ってるの?それだけなんて?
「ちょっと教えてあげる…君を絶望させる事実を」
腕を組み、仮面越しに高慢そうに見下す女。
「な、なに…?」
「私も人を治せるのよ」
…。
「今なんて言った?」
「私も治せるって言ったわよ」
「そう…」
…
「ど、誰からアライグマの共有シスを教わったんだ!?」
めちゃくちゃ怒ってる。
「何言ってるかわからないけど、私の能力の一部よ。で、その能力でどうやって私を倒すつもりだったの?私を治しながら?」
現実を突きつけられたようだ。
「あ…」
呆然と立ち尽くす女。
「そっか…」
「で…降参する?」
さゆり視点
さあ、主人公は私、さゆり、世界一の魔法使いになる者――ッ――
突然、ナイフが飛んでくる。咄嗟に避けた。
「きゃあああ!せめて台詞くらい言わせなさいよ!」
「独り言だろ!」
茶髪の男と対峙中…あ、この人…
「あら、覚えてるわ…あなた私の…」
「そ、その件はすまなかった…本当に…」
「本当に!?」
話題を変えようとする男。
「えーと…魔法使いなの?」
「当たり前でしょ…」
気づかないの?この格好、杖…
「へえ…で、その…調子どう?」
時間稼ぎ?
無言で杖を向ける。
「び――」
「お喋りはおしまい」
ん?何か回転音が…後ろから?
ブーメランのように空中を旋回するナイフが迫る。
後ろからナイフだって?誰が投げたの!?…あ、そうか!この男のナイフ、ブーメランみたいに飛ぶのね!すごい!
間一髪で回避。腕にかすっただけですんだが、血が出ている。
傷口をじっと見つめる。
「あの…私の服、破れたわよ」
男がゆっくり近づいてくる。まだ距離はある。
「ああ…生きてて良かったな。お前を殺すつもりだったんだが――」
「ビウム!!」
素早く杖を振り、背後へビウム(小さなレーザー)を放つ。
ビウムがブーメランナイフを粉砕。
男、足を止める。表情は見えないが驚いてるだろうな!
「ま、まさか…どうしてわかったの!?」
にやりと笑う。勝ち確。
「偉大な魔法使いは鋭敏な感覚を持ってるのよ…それとも、この閉所を選んだ時点であなたが仕掛けを用意してたのは明白だったわ。ただ、こんな単純な仕掛けとはね」
杖を男に向ける。
「つまり、ナイフを空中で無限に旋回させるシスなのね?必ずしも円運動じゃないみたいだけど」
声からしてかなり動揺してるようだ。
「た、たぶん…違うかも…でも――」
「きゃあああ!茶髪助けてえええ!」
突然、中央通路から叫び声。私たちは右通路、中央は最初の場所、左にはアマリが…
「ビウム!」
もう一本のナイフを破壊。
「もう、ほんと――」
「茶髪!助けて!」
ドアが開き、緑髪のアライグマ少女が慌てて入ってくる。
「殺されちゃう!助けて!」
茶髪の男が彼女を見る。
「ロ…ラ、アライグマの子!?どうした!?」
「あの子が私を殺そうとしてるの!きゃああ!」
私たちの横を通り抜け、行き止まりの廊下へ走っていく。
「おい待て!逃げられ――あ、さゆり」
アマリが現れた。かなり怒ってる。緑髪を追ってたんだな。
「ビウム」
茶髪の男にビウムを命中。アマリたちに気を取られてたから簡単に当たった。
緑髪の女、前が私で後ろがアマリだと気づき停止。
私とアマリを交互に見て、震える声で言う。
「ね、ねえ…話し合いとか…」
はい、私たちの勝ちね。
カイ視点
クラウンが壁にもたれながらニヤリと笑っている。
「やっとかしら?さあ、みんな待ってるわよ」
深く息を吸う。
「よし…」
両手を横に広げ、足も開く。
「スーパースタンス!」
すると、ねばねばした液体のような物質が手足を覆い始め、あっという間に鎧のように固まる。
完全に固まった後、左手を開いてアライグマ野郎を指さし、右手は矢のように後ろに引く。
「この恨み、晴らすぜ!!!」
本章は全3部構成となっており、こちらはその第1部になります




