第5話(その2)
俺はもうそこにはいなかった
奴らが気づかないうちに、俺は既にネズミたちの方向へ走り出していた。
「よし、聞くべきことは全部聞いたぞ!このクエストをクリアするのはこの俺だ!!」
女の子たちが俺の走り出す姿を見て、アマリがすぐに慌てた。
「か、カイこのバカ!!ちょっ──」
彼女は追いかけようとしたが、さゆりが少しイラつきながらも落ち着いた声で言った。
「心配しないで。あのネズミたちは本当に、本当に弱いから……」
アマリは背を向けて落ち着きを取り戻した。
「本当に?」
「うん、あいつらじゃカイにほとんど傷をつけられないわ。むしろ戦わせた方がいいわ。インビューアとして、殴ることでサンカルパの感覚を掴めるから」
「待って、私も今はインビューアだから同じことした方がいいの?それとも……」
「んー、まあそうなんだけど……武器を選んだ時点でサンカルパの使い道も変わるから、今拳で鍛えても後で無駄になるかも。ちょっと説明難しいけど」
「あー、なるほど」
俺は走り続け、ついに巨大ネズミの近くまで来た。
まだ気づかれていない背後から、目の前のモンスターを睨みながらニヤリとする。
「へへ、ずっとやりたかったんだよな!」
拳にサンカルパを込めると、黒い稲妻のようなものが走り始めた。
右拳を固めて、打撃の準備をする。
「行くぜ、ネズミ野郎!!スーパーパンチ!!!」
さゆりが遠くから叫んだ。
「あんた私の魔法名がダサいって言ったくせに!?」
そして、渾身の一撃をネズミに叩き込んだ。
拳はあっさりとその体を貫通。
「へへへ!まだ終わってねえぞ!ス──」
次の瞬間、辺りは真っ暗。
俺はネズミの口の中にいた。
「ああ!?な、なんで!?さゆり、アマリ助けて!!!」
二人は呆れたようにこっちを見ている。
「なんでシッポを殴るのよ!?」
しばらくして、びしょ濡れで地面に座り込む俺。
膝に手をつき、頭を下げて息を切らしていた。
「はぁ……なんでやられたんだ?舐めたり噛んだりしてきやがって……幸い牙は鋭くなかったけど」
さゆりが「ビウム」を放つと、ネズミは一瞬で倒れた。
二人はこっちをじっと見据えて、少し怒っていた。
さゆりは歯ぎしりしながら言った。
「なんでシッポを殴るのよ!?そりゃ倒せないに決まってるでしょ!」
「あー……その時は考えずに、目に入ったところを殴っちゃった」
アマリも頷く。
「うんうん、私もさゆりに同意……で、あの……お前……弱っ!」
「なんでお前が先生面してんだ!?」
さゆりが杖を振りかざして怒鳴った。
「ちょっとちょっと、二人とも黙って!偉大なる師匠、さゆり様は──」
俺が遮る。
「俺より背の低いやつを師匠なんて呼べるかよ!」
アマリは冷静にさゆりを見て、ゆっくりと言った。
「ロリが教えるなんて──」
「カッチャ──」
「ごめんなさい!!!」
なんとか止めることができた。
少しして、落ち着いたさゆりが威張った口調で話し始めた。
「よし!カイ、次は顔か胸を狙うのよ……それと!両手にサンカルパを溜めておきながら片手でしか攻撃しないなんて意味ないでしょ?ダブルパンチとかならわかるけど」
俺は首を傾げた。
「え?どういうこと」
「片手に全部集中すればもっと強いパンチが打てたのに、半分ずつに分散しちゃったから威力が落ちたのよ」
「おー……そっか」
「まあ、サンカルパ半分でネズミを貫通できるなんて、新人にしてはすごいけど……つまり、かなり運動神経いいか、意志が強いか、その両方ってことね。……で、カイ」
にっこり笑って親指を立てる。
「よくやった!」
俺はくすくす笑った。
「ははは、100%だったらどうなってたかな!」
「だから、次はちゃんとやってね!」
「了解!」
俺は再びネズミに向かって走り出す。
「今度は頭を狙うぞー!!!」
さゆりは小さく微笑み、俺を見送る。
アマリは腕組みをしたまま無表情でこちらを見ていた。
さゆりはなんだか気まずくなり、言った。
「えーと、アマリには関係ない話ばかりだから……別に行かなくてもいいわよ?」
アマリはさゆりを見た。
「うん?いや、見てるのが面白いから」
にっこり笑いながら俺の方へ目を戻す。
「でもさゆり、質問があるんだけど……カイはそろそろシスを覚えるんじゃないの?」
「ああ、それは本人が決めればいいの。今日じゃなくてもいいし、慎重に考えた方がいいわ。シスは基本的に一度決めたら変えられないんだから……でも今教えてることはインビューアとして超重要だから、問題ないわ」
「ふーん……それで、クラウンのシスって知ってる?」
さゆりは予想外の質問に動揺した。
「き、クラウン!?な、なんで急に!?」
「別に、気になったから」
さゆりは深呼吸して落ち着きを取り戻す。
「クラウンは……マニピュレーター──」
「そりゃそうだ!!」
さゆりは俯く。
「えっと……マニピュレーターのサンカルパは基本的に『脳』なの。文字通り頭を使って戦うから……」
「え?よくわかんない」
「説明難しいわ……インビューアやコンジャラーみたいな直接攻撃じゃなくて、相手を操ったりするのがメイン……」
「あー……で、クラウンのシスは?」
さゆりは頭を掻いた。
「実は知らないんだけど……例えば、『幻覚を作り出す』とか。要は、周囲や人に影響を与えるための精神的な力全般ね」
アマリは眉を上げて興味深そうに聞く。
「じゃあ……直接戦うんじゃなくて、他人を操ったりするってこと?」
「そういうこと……だからクラウンのシスも多分そんな感じ」
アマリは一瞬黙ってから顔を曇らせた。
「それって……ちょっと怖いな。気づいた時にはもう手遅れとか」
「そうなのよ。対抗するには頭を使うしかないわ」
「じゃあ、今までずっとシス使ってた可能性も?」
さゆりは呆れた顔をする。
「いや、それはないでしょ……何かおかしいなって気づくわ。だって私は──」
杖を掲げてドラマチックなポーズを取る。
「我、さゆりは世界一の魔法使いになる──」
「スーパーパンチ!!!」
遠くで、俺の叫び声が響く。
100%のサンカルパを込めたパンチがネズミの顔を直撃。
次の瞬間、その頭部が爆発した。
地面に着地し、満面の笑みで二人に手を振る俺。
「おーい!やったぜ!!!ネズミ倒したぞー!!!」
アマリは軽く拍手する。
「わあ、すごいねカイ」
さゆりはしょんぼりしていた。
「もう、なんで最後まで言わせてくれないのよ!!」
怒りが爆発する。
「私はさゆり!世界一の魔法使いになるんだから──」
少し後、二人の前に立つ俺。
「へへへ、超カッコよかったぜ!!」
さゆリは杖で地面を叩き、真剣な表情で言った。
「よし!次はサンカルパの分散を練習しましょう。例えば、インビューアの技で、足にサンカルパを集中させて高くジャンプする──」
「スーパージャンプ!!!うぉ──」
言いながら、めちゃくちゃ高く跳び上がる。
「うぉー!飛んでるぜ!見てろよ!浮いてるみたいだぜ!」
アマリは呆れた目で見る。
「別にそんな高くないじゃん……」
さゆりは顔を手で覆う。
「浮いてなんかないし……」
「うわああ──」
急降下し始める。
しまった!ジャンプしたら落ちるって忘れてた!!
「さ、さゆり!死んじゃうよ!!!」
さゆりが叫ぶ。
「着地する部分にサンカルパを集中させるの!」
「わかった!」
手にサンカルパを集中させ、着地。
そのまましゃがみ込んで体制を整える。
「ふー、危なかったぜ……」
アマリは首を傾げる。
「最初から足に集中させれば──」
さゆりが俺を指さす。
「よし!残りのネズミも倒しなさい!」
自信満々に笑う俺。
「任せとけ!行くぞ──」
さゆりが遮る。
「待って、新しい技も試してみて。例えば足にサンカルパを集中させてキックとか」
「了解!」
再び走り出す。
二人は黙ってそれを見守る。
アマリがふと質問する。
「私のシスは武器次第だよね?杖以外だとどんなのがあるんだろう……」
さゆりは彼女を見る。
「例えば剣なら、サイズを変えたり、斬撃を飛ばしたり……創造力次第で何でもありよ」
「待って、剣ならサンカルパで強くするだけじゃダメなの?」
「い、いや、それでもいいわよ……コンジャラーが剣を使う場合、サンカルパで強化するのはカイが今やってるのと同じ感じ。強くしたり速くしたり。見た目的にはインビューアの拳や足みたいになるわ」
アマリは頷く。
一方、俺はまた別の巨大ネズミの前に到着。
顔を見合わせ、ネズミが変な声を上げる。
「ははは、行くぜ!スーパージャンプ!!」
高く跳び上がり、ネズミと目線を合わせる。
拳を固め、黒い稲妻をまとわせる。
「スーパーパンチ!!!」
正確に顔面を直撃。
バン!と頭が爆発し、倒れる。
足にサンカルパを移し、着地。
「あ!今度は足を使うんだった!よし、やってみるぞ!」
その後は、いろんな攻撃パターンを試して慣れることにした。どれも一撃必殺だったから。
「スーパーキック!」
単純に足に100%のサンカルパを込めたキック。
「スーパーダブルパンチ!」
両拳に50%ずつ。片手ずつ連続でパンチ。
「スーパーダブルキック!」
両足に50%ずつ。片足ずつ連続でキック。
「スーパーダブルスマッシュパンチ!」
両拳同時にパンチ。相手を吹き飛ばす感じ。
「スーパーダブルスマッシュキック!」
両足同時にキック。これも吹き飛ばし系。
「スーパーパンチキック!」
片手片足に50%ずつ。パンチの後キック。
「スーパーダブルパンチキック!」
四肢に25%ずつ。連続で攻撃。
「スーパースマッシュパンチキック」(手足同時攻撃)や、究極奥義の「スーパースマッシュダブルパンチキック」(四肢同時攻撃)も試してみたけど、うまくいかなかった。まあ、やってみるもんだよな!
外国人(日本語、マジでゼロ。)が書きました。誤字・不自然な表現があったら教えてください!
英語版の第1巻、ついに完成!翻訳はもっとスピードアップします!
本章は全3部構成となっており、こちらはその第2部になります




