第1話: サッカーしたかっただけなのに、この世界おもしろそう!
異世界転移したカイだけど、ハーレムよりもサッカーが欲しい!? ちょっと変わった異世界コメディが始まる。
「サッカー!サッカー!俺、サッカーが大好きなんだ!友達とサッカーするのが最高だぜ!」
俺は街を一人で歩きながら、ご機嫌で鼻歌を歌っていた。
「今日もいい天気だ!早く友達とサッカーしたいな!超楽しいし、俺、絶対勝つからな!!」
白いTシャツに真っ黒なハーフパンツ、白いスニーカー、そして黒いネックウォーマーを着て歩いている。
「ラララ~...あーもうマジで最高!母ちゃんはもっと食えってうるさいけど、友達と遊んでる方が楽しいんだもん!」
ふと、通りすがりの小さなカフェから中年女性が出てきた。すぐにわかった。
「おーい!Rさん!」
このカフェの店主で、会うたびに飴をくれる優しい人だ。大好きだぜ。
遠くから手を振ると、彼女もすぐに気づいてにっこり笑った。
「おはようカイ!またサッカーに行くの?」
「もちろんさ!Rさん、今日の飴は?」
彼女は呆れながらも笑顔を崩さない。
「もうカイ...子供じゃないんだから...」
「はは、でもあるんでしょ?」
「ええ、あるわよ」
「やったー!!」
俺はカフェに向かってダッシュした。
彼女は中に入り、俺も続く。
「飴飴...俺から奪おうなんて100年早いぜ!」
「欲張っちゃだめよカイ...」
「はは、冗談だよ...」
カフェはいつも通り、客はまばら。田舎町だから当たり前だけど、祭りの日はすごい混むんだ!
周りを見渡すと、顔見知りがいた。
「おーい!バルサーさん!スミスさん!リリーさん!」
この町の老若男女、ほぼ全員知ってる気がする。
バルサーさんは大きな笑顔で応えてくれた。
「おおカイ、元気か?」
「サッカー場に行くんだ!今日も絶対勝つっつーの!」
彼は呆れながら笑った。
「ははは!お前の下手さを見てみたいもんだ!」
ちょっとムカついた発言だ。
「うるさい!俺、将来プロになるんだぞ!」
「そうかい」
リリーさんは優しい笑顔で俺を見た。
「カイ、今日は暑いのに、その首巻き取らないの?」
「ひひ、取らないよ!」
「いつも付けてるわね...」
「お前には目標があるんだ」
突然、銃弾のようにその言葉が頭を貫いた。激しい頭痛が走る。
「わ...なに?...」
頭を押さえ、目を見開く。Rさんが心配そうにカウンターから覗き込む。
「カイ?どうしたの──」
「助けが必要だ」
再び声が響く。痛みが増す。
「あぐっ...だ、誰かが...呼んでる?...」
Rさんが額に手を当てる。
「カイ?大丈夫...?」
立ち上がって平静を装おうとする。
「だ、大丈夫...ちょっと気分が──」
「お前は選ばれし者だ。ただの人間ではない」
声の一言一言が頭を締め付ける。床にしゃがみ込み、震える手で頭を抱える。
「カイ?大丈夫?...お母さんを呼ぼうか?調子悪そうよ...」
痛みに耐えながら立ち上がる。
「い、いや!!友達とサッカーする約束してるんだ!絶対行くから!!」
「私を見つけてくれ」
カウンターに頭を預け、歯を食いしばる。
「カイ...本当に大丈夫?」
頭痛が少しずつ和らぎ、楽になってきた。
「う、うん...大丈夫だよRさん...」
彼女はまだ心配そうに額に手を当てる。
「熱はないわね...でも調子悪そうよ」
「大丈夫だって。飴もらっていい?」
「ええ...」
彼女は袋いっぱいの飴を取って渡してくれた。
「ほらカイ。でも調子が悪かったらすぐ帰るのよ」
受け取って感謝する。
「はいはい...ありがと!」
伸びをする。あの声は何だったんだ?男の声で、低くて響いてた...まあいいや!
にっこり笑ってドアに向かう。
「あ、Rさん...いつか絶対お礼するから!」
彼女はくすくす笑う。
「気にしないでいいわよ」
本当に優しい人だ。飴代を請求したことなんて一度もない。
「Rさん、俺が金持ちになったら、飴代全部返すよ!」
「はは、楽しみにしてるわ」
「ありがとう!」
ドアを開けて──
「な...なに...」
ここは確実に入った場所じゃない。
人で溢れる通り。皆「昔風」の服や派手な衣装を着ている。中世みたいな木造建築、屋台、馬に乗った人たち...どうなってる!?
「な、なんだこれ!?」
よし、こういう時は...分析モード、スタート!
「お、おい!どこだここ!?」
落ち着け、考える時間が必要だ。
顎に手をやり、分析モードに入る。
「よし...カフェを出たら変な世界に来た...超クール!!魔法とか超能力とかあるのかな!?俺も使える!?ずっと欲しかったんだ!...いや待て!友達とサッカーする約束してるんだ、帰らなきゃ!」
だが、にんまり笑う。
「でもなあ...これ超楽しそうじゃん!ちょっと探検してから帰ろう!」
再び周りを見渡し、途方に暮れる。
「えーと...誰かに聞くか...あ、少なくとも飴は...」
手を見るが、何もない。
「あ!消えた!Rさんに怒られる...待て、盗られた!?」
振り向くと、フードを被った小柄な人物が白い袋を持って逃げていく。
「ああ!!アイツが泥棒だ!!待てー!!」
追いかける。スポーツ漬けの俺はかなり速い。
相手も速いが、俺には敵わない。
だが追いかける途中、何人も人にぶつかり、謝りながらスピードが落ちる。
速さは上だが、相手の方が機敏で人をかわしていく。
「ちっ、すまん...待てよー!!!」
このままでは逃げられると判断し、奥の手を出す。
「スーパージャンプ!!」
ドカン! 飛びかかり、相手の上に着地。二人とも地面に転がる。
「ぎゃああああ!!」
振り向くと、小さな少女だった。アライグマの仮面をしている。
激怒して腕を押さえつける。
少女はすぐに叫び始めた。
「助けて!!痴漢です!!襲われてます!!」
周囲の視線が一気に集まる。まるで俺が悪者のようだ。
何言ってるかわからないが、一つだけはっきりしてる──キャンディを渡すものか!
素早く袋を奪い、全力で飴をガバガバ食べ始める。
多いが、必死だ。Rさんからのプレゼントを渡せるか!
少女の上に乗り、口いっぱいに飴を詰め込む。
彼女は呆然と口を開けたまま見ている。
「な...なにしてるの...?」
構わない。誰にも飴はやらん!
ついに全て食べ終える。
バンザイして笑う。
「イェーイ!!全部食べた!!ごめんね、今日は分けられないや──」
突然、Tシャツの襟首をつかまれ、持ち上げられる。
片手で俺を持ち上げる巨漢だ。
痩せてるから簡単だろう。
「この野郎!何をしてるんだ!?」
ぶら下がったままもがく。
「放せ!あのバカが俺の飴盗んだんだ!!」
そして男の頭に強烈なパンチを叩き込む。地面に倒れる。
見た目に反して俺も強いんだぜ。
最初は怒ってたが、地面の少女を見て笑い出す。
「ははは!全部俺のものだぞバカ!!飴なんて絶対やらねー!!」
緑髪の少女は混乱しきり。どう反応していいかわからない様子。
「あんた...頭おかしいんじゃない...」
「おいコラァ!!!」
男たちの怒声で笑いが止まる。
見ると30人近い男たちが殺気立っている。
どうやら俺が泥棒だと誤解されたらしい。違うのに!
一歩ずつ後退し、もう一つの奥の手を決意する。
「逃げるぞーーー!!!」
背を向けて全力疾走。
「待てコラァ!!」
大追跡の始まりだ。
最悪だ、何も悪いことしてないのに!だが今は逃げるしかない!
路地に飛び込む。
商店街で屋台が並んでいる。大きな建物もあり、高級そうな街のようだ。
必死に走りながら振り返ると、怒りの集団が迫る。
実はちょっと面白い。大勢で追いかけてくるなんて警察ごっこみたいで楽しいぜ!
走るのって最高!
人にぶつかりながら、なぜか楽しくなって笑っちゃう。
「おっ、これは!?」
果物屋の屋台だ。
「いらっしゃい!新鮮な果物野菜どうぞ!わああ!」
通り過ぎながらリンゴを掴み、かじる。
「うまい!!真っ赤で甘い!」
店主がパニックで追いかけてくる。
「あ、今のは完全に窃盗だ...まあいいか」
次々と屋台から食べ物を失敬する。
バナナ、肉、魚...何でも売ってる。
そして変わった物を発見。
「時計かな?...どうでもいいや」
地面に投げ捨てて走り続ける。
よく考えたら金の装飾がしてあったから高かったかも。まあいいや。
肉の骨を捨て、腹をさする。
「あー、うまかった...あ、そうだ!町中に追われてるんだった!!」
振り返ると、ものすごい人数が迫っている。
さっきよりはるかに多い。何百人単位か。
「わあああ!!ごめんなさい!!二度としませんから!!」
「クソガキ!!捕まえてぶっ殺せ!!」
やべえ、こんなに追いかけられるなんて...!
必死に逃げる。
「やばいやばい...隠れ場所が必要だ!おっちゃんすまん!」
屋台の上に登り、小さな家の屋根へ腕を伸ばす。
「おっ、屋根伝いで逃げるぞ!!」
さらに高い屋根へ。建物の屋根が連なっている。
下を見ると、屋台の主人が登ろうとする群衆を止めようとするが、怒り狂って聞かない。
「ははは!警察と泥棒ごっこみたいだ!...いやマジでやばい!!」
追いつかれそうになり、屋根の上を走り回る。
ふと、屋根と屋根の間に隙間がある。
「おっ、ここはパルクールが必要か...ずっとやりたかったんだ!いくぞ!!」
ジャンプして着地。簡単だった。
「すげえ!もう一回やりたい!」
振り返ると、すでに屋根に登られ始めている。
年寄りばかりだから遅いが。
走り続け、また隙間が。
「はは、まただ!いけ──」
ジャンプの瞬間、誰かが足を引っ張った気がした。
「わあ!?落ちる!!」
地面に落下する直前、階段の上に銀髪の少女が見えた。
そして意識が遠のく。
外国人(日本語、マジでゼロ。)が書きました。誤字・不自然な表現があったら教えてください!
正直なところ、日本語に訳すより英語で第一巻(5万字)を完成させる方が優先なんです。なので、新しい章の公開には少し時間がかかるかもしれません……。