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酔いは合わせた唇だけが知る

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

恋愛です。雰囲気がR15です。

苦手な方はご注意下さい。


「ただいま」

夜分に彼女が帰ってきた。表情は何時も通りの素面。目には理性。とても飲み会帰りの風貌とは思えない姿で笑顔を浮かべた。しかし、くたびれた衣類を見ると、少し場の空気に酔ってしまったのかも知れない。

俺はその様を見て、彼女の体に腕を巻き付けた。肩口に顔を埋めて息を吸い込む。香るのは汗の匂い。夏場の蒸した熱気。酒の匂いは欠片もしなかった。

「理性的だな」

「人前で飲むお酒はあまり得意じゃないの。君となら付き合うけど、その他大勢多数は御遠慮しておくよ」

そう言って、彼女も俺の体に腕を回した。抱き締め合った格好の跡、背中を軽く叩かれた。離して欲しいらしい。内心不本意ながらも離すと、彼女は乱雑に靴を投げ捨てて颯爽とリビングへと向かった。

「立食形式のオードブルだった。料理はどれも美味しかったけど、やっぱりキュウリだけは受け入れられないかな。あと終盤、酔った女の子達が可愛かった。やっぱり無邪気な子は皆可愛いね」

ソファに脚を伸ばして軽く振るうと、伸びを一つ行う。やはり……周りが酔っていく最中、それなりに気を使って反応を分析していたのだろう。あぁ見えて、場に酔って、流されて、空気を楽しむ体質だから。

そうして俺の顔を見ると、スルスルと自らの脹脛を擦り寄せてきた。

「……冷蔵庫の中にチューハイあるぞ」

「あ、本当に? 君も飲んでくれる?」

「別に。それはいいけど」

彼女は目を光らせると、チューハイを二つ持ってきた。悪戯心を刺激されたのか、持ってきた拍子に冷えきった缶を顔に押し付ける。静かに飛び上がる反応を見て、肩を震わせた。

「本当は酒飲んで来たんじゃないか? あと飲むなら風呂入れよ」

「ソファで寝るからいーの。翌朝纏めて入る」

俺の苦情をサラリと受け流すと、早速蓋を開けて、煽り始めた。口の端からアルコールが垂れるのも気にせず、喉仏を動かしながら流し込む。いい飲みっぷり。とはこの事を言うのだろう。

俺はまだ缶を開けてない。これからの自体に備えて開けるわけにはいかない。

「んっ……」

缶が口から離れた途端、体の後ろに手が回される。そのまましっかり甘え落ちすると、首周りの露出した肌に唇を寄せ始めた。途端、焦点の定まらない双眸。先程までの理性的な光はなく、あるのは蕩けた瞳孔のみ。頬に触れると熱かった。

その様を見て、俺から彼女の唇に口付ける。どうせ酔って忘れてしまうのなら、覚えてる俺からした方が良い。

酔いは合わせた唇だけが知る。酔うとキス魔になる、その唇だけが知る。

飲み会の空気は好きですよ。

段々と空気が柔らかくなって、盛り上がっていく様が。


この子が理性的なのは、どうやって接するか、話をするか。

そうして反省しながら帰っているからだと思います。

ずっと考えて、駒を進めているので、全く酔えません。

でも、彼女のそんな計算高さを見抜いてか、嫌いな人は嫌いなんだろうな。

愛する前に、愛される方法を打算で摘出して行動するので。

でも一重に愛ですよ。一生懸命の彼女の求愛です。


故、帰ってきてからが本番です。

全てのしがらみを排して、酔いに任せて甘えてます。

キス魔になっても許してくれる。

「仕方がないな」と甘やかしてくれる。

そんな人が彼女には必要なのだと思います。


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