酒の席の進め方
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
ほんのり恋愛が入っている気がします。
でもあまりにもほんのりなので、ジャンルはその他にしてます。
飲みの席。同僚の彼女は何時もよりも羽目を外していた。寡黙に事務的作業に当たるが、今日は別。好きな事に着いて語り合い、声をワントーン落としてはしゃぐ。酔っている様だった。酒の力と場の力を借りて、子供の様に無邪気に。
意外な側面を見て驚くと同時に楽しくもあった。人間、一遍だけの性格は有り得ない。……ほんの少し、興味を持った。
そんな帰り道、電車が一緒になった。他の者たちは番線が違うという事で、分かれ道にてお別れ。二人きり。共通の話題が無くてお互いに無言を貫いていた。先に沈黙を破ったのは彼女だった。
「楽しかったね。知らないこと沢山知れた」
「あぁ。まぁ」
まだ酒の席の名残なせいか、無邪気な笑顔を浮かべている。仕事から離れると、結構友好的なんだな……。なんと言うか、その、また貴方と飲みたいと思った。
「あ、私この駅で降りるから。また来週。宜しくね」
酒の席は好きだ。皆気が緩んで、沢山の話題を提供してくれるから。普段は言えない様なことも、酒と空気を借りて、ぽろりと本音が転げ堕ちる。その瞬間を虎視眈々と眺めながら、私は酒を嗜んだ。
完全に酔うまで飲まない。これ鉄則。相手の本心を目に焼き付けても、自分の本心は晒さない。絶対に。そうやって少しづつ情報を集めて次の駒を進める。相手が何が好きで、どんなもの話題をされるのが良いか。話をするのが苦手な私はそうする事でしか勝てない。
そうやって今日もほんのりと酔った振りをして、酒を嗜む。声をワントーン下げて、ちょっと砕けた口調を使って、あたかも素で接してる様に見せかける。
「何時も頑張ってるね。見てるよ」
「……っ。有難う御座います」
そう言うのは、思い切り打算的にお酒を嗜んでいる私にとって、反則だと思うんですよ……。貴方方に楽しい話題を提供する為の情報源として、私はこの場を使ってます。だってそうしないと話せないから。そんな私にとって、それはとっても……反則だと思うんですよ。
「なぁ、君もそう思うだろ?」
「はい。とっても。見習わなければと思ってます。真面目で早い」
無表情な彼は黙って同意して、また酒を煽った。もう何杯目か分からない程に、空いたグラスがテーブルの上に広がっている。
他の人達は皆本音でとろとろと話しているのに、彼だけは別だった。自分を律し、場に流されない様に言葉を選んでいる。こんなにも飲んでいるのに。これが彼の本音なのか。
故にちょっと興味を持った。この人の本音は一体何時出るのだろうと。
そしてそんな中、帰りの電車が一緒になった。他の皆は番線が異なる為、此処でお別れ。寡黙な彼と二人で取り残された私は、一人冷や汗をかいていた。何を話せば良いんだろう。好きも嫌いも、何も分からない。
「楽しかったね。知らないこと沢山知れた」
「あぁ。まぁ」
やっぱり寡黙だった。目の焦点は合っていたし、千鳥足でもない。故にきっと今の私の話題には乗ってこない。やりにくいと思う。
顔を見る。表情は見えない。うーん……何度かこうして飲みに来れば、本音で話してくれるかな……。まぁ、気を遣うのもあと少し。次の駅で降りるし。
口を閉ざして長々数分。電車が止まった。私は足早に荷物を纏めて彼に挨拶。
「あ、私この駅で降りるから。また来週。宜しくね」
気まずい雰囲気からはさっさと逃げる。私と話しても楽しくないだろうし、他の話の上手い人かいる時にでも。
そう思って足早にその場を去ろうとした時だった。鞄を持っている腕を掴まれた。自動ドアの空く音、ゴールは目前。それなのに、彼は今その時を止めにかかる。
「また、飲みに行きましょう。楽しかったので」
「……」
僅か数秒の会話時間。それでも私にとっては本日の業務一日分の時間よりも長く感じた。手が離されると同時に思い切り駆け下りる。彼の手が届かない所まで。
熱は冷めない。
女の子
ビジネスライクな子。全ては仕事の為。
職場先でもある程度友好的な方が、仕事が回り易いと言うことで、飲みには必ず参加する。
雑談苦手なコミュ障。
男の子
寡黙な仕事人。
人に興味があり、ギャップのある所を見るのが好き。
だから飲みには必ず参加する。
話すことが無いなら話さないだけ。
究極のマイペース。
読まなくて良い感想。ただ私の趣味の暴露です。
悪い打算じゃなくて、コミュ障治す為の必死の行動です。関係が築けてないと、聞くに聞けないとかあると思いますし……。
打算的な子がストレートに好意をぶつけられて、悶える様が大好きです。
お互いがお互いに興味持ってるので、恋愛に発展しそうだな。とか思いながら書きました。