聞いてはいけないラジオ(閲覧にはご注意下さい。閲覧後の責任は問えません。御了承下さい。)
短編を書くのって難しいですね。
下記方法は昔霊感の強い知り合いから聞いた方法です。
夏の真夜中の深夜2時くらいにラジオが流れていた。
その時流れていたのはどっかのお笑い芸人担当の夏の深夜ラジオ特有のホラー特集だ。
まあ、何もすることもなくただ明日の仕事もないニートの俺にとってはただの暇つぶしってくらいの気分で聞いていたんだ。
聞いていたのは親父が昔使ってたカセットテープとラジオが聞けるラジカセって言うアナログで古臭い、カセットテープなんて今どき見やしないよって言う今じゃラジオ専用で聞いてるオンボロな古いタイプのプレイヤー。
チャンネル合わせもシビアでチューニングなんかも少し外れると「オゥオゥオゥオゥピーガーガー」ってな夜中にゃ恐怖な音を立てて異音を出すからチューニングも大変だ。
だが、味があり死んだ親父の形見ってこともあり未だに愛用している。
今日もさっき言っていたホラー特集中に「ピーガー」言い出すもんだから、びくってしながらチューニングし直した。
チューニングをし直すとはっきりした声でまた番組が始まった。
「あの世とこの世のスキマへようこそ。これが出来るようになるとあの世側の世界の物が見えたり聞こえたりすると言う、いうなればあの世とこの世のチューニングの方法です。」
………………さっきの番組の芸人とは違う声。
恐ろしく冷徹な声にビクッとした。
番組もなかなか手の混んだことをするもんだとその時は思っていた。
「この先、この方法を知ってしまうと普段でも見えてはいけない物が見えたりする可能性もあるので、そういうのを望まない方はこのままラジオをお切り下さい。」
恐ろしく手の混んだことをしてくれるラジオじゃないか………。
普通なら番組を切れとは言わない。
よっぽど自信があるのだろう。
面白い、試してやろう。
「………忠告は致しました。まずは入門的に部屋の電気を切りテレビを付けてください。テレビの音は切りテレビ番組はなんでも良いです。」
言われた通りにする。
「後は部屋を良く見てください。……じっくりと…。部屋のどこかにテレビの光が均等に通り抜けない箇所がないですか?」
言ってる意味がわからないが、部屋の中をじっと見て見る。
……………テレビの光が部屋全体を薄暗く照らしている。
じっと見て見る、光の透き通らない暗闇が一箇所、光を遮りテレビの光が透き通らない少し白くなっている空間が一箇所ある。
良く見ると動いている様に見える。
「その箇所にあちら側の方がいます。気づいたらもうこのことを覚えていれば無意識に見えてしまうので後ははっきり見えるのは時間の問題でしょう。これがテレビを使ったチューニング方法です。」
………このラジオは何を言っているんだ。
光の通らない部分と暗闇の部分はゆらゆらと蠢いている。
この二箇所にあちら側の者がいるのか。
聞くんじゃなかった。
忘れようにも聞いて知ってしまうと嫌でも目についてしまう。
「あの世とこの世には隙間があります。光と闇その相反する曖昧な隙間があちら側を繋ぐ扉となっております。」
「黒い箱の中に録音器を置いて先程覚えた違和感のする所に置いておくのも構いません。質問等投げかけておけば質問の答えは別としてあちら側の方との会話が聞こえるかもしれません。外と内として黒い箱の中は曖昧な物として認識されるからです。」
「鏡の中に良く心霊写真が映るのもその曖昧な定義に含まれます。鏡の世界と現実の世界、曖昧だと思いませんか?」
自分は部屋から動けない。
ラジオに釘付けだ。
まるで、ラジオは俺に話かけている様である。
「扉の隙間や廃墟となってしまった建物、まるで生と死という相反する曖昧がそこにあるからそこに集まりあちら側にチューニングが合って見えたり聞こえたりするのです。」
「良くある怖い話をするとおばけがでると言いますね。理由は簡単。生と死の曖昧な話をするからです。ラジオのチューニング、これも曖昧だとおもいませんか?」
息が詰まる、そこになにかある違和感を感じる。
「最初の怖い話…チューニング……あなたの思った通り私はこちら側の者ではありません。あちら側の者とチューニングがあったと言った方が良いでしょう。今日のことは夢だと考えても構いません。しかし一度合わせたチューニングは完全に忘れない限りまたあなたに曖昧な者を見せるでしょう。」
「それでは私はそろそろ帰るとしますね。…………もう気付いてからでは遅い。それではいずれあなたに私が見える様になることを祈って。」
……………はっと目が覚める。
気が付く真夜中の4時とさっき聞いていた芸人のラジオは終わっている様だった。
今日は散々な夢だった。
もう寝るとしよう。
寝る為についていたテレビを消し、布団に入り微睡みに落ちるのであった。
感想等あれば嬉しいです。
感想後訂正する可能性がありますので御了承下さい。