第五十九話
投稿おサボり申し訳ありません!
ヘリに乗って空港まで移動し、そこからプライベートジェットに乗り換えて多分二時間ぐらい。
ジェット機から降りて見えた景色は、一言で言えばどっかのリゾートをそのままぎゅっとまとめた感じ。
夕日が沈む砂浜はこの時間でも分かるぐらい白く、漫画なんかで見る日が沈む砂浜をそのまま切り抜いたと言っても過言じゃない。
そしてこの砂浜が見える位置にいくつものコテージやおそらく社員旅行で使われるホテルのようなものが立ち並ぶ。
「「なんだこれ……」」
ただの一般庶民である俺と陽斗からすれば完全に未知との遭遇なわけで、ジェット機の中で一通り説明はしてもらったが、にしたって現実離れし過ぎてる。
ここはあくまで、旅行のために所有された元無人島のはずなんだ。そのはずなのに……。
「なんでこんな整備されてんの……?」
新品同然のアスファルトで舗装された道路に信号機。コンビニなんかまであって最早小さな町レベルになっている。
「何言ってるんですか。さっき説明した通りです。この島の管理してる人達だっているんですから」
いや、それにしたってさぁ……。いや、これだけの規模の物維持するのは大変だろうとは思うけど……。
島には常時五百人ほど在中。
島内完全フリーWiFi。
島内施設はAIロボットで管理、使用は基本無料、買い物は自社運営の電子通貨。
等々、なんなら日本のどこより最新鋭の設備が揃ってると言っても過言じゃなさそう。
「今回は一番大きなコテージをお父様にお借りしました。ここからはちょっと離れた場所にある、千代ケ崎家の人間しか使えないものです。じゃあ行きましょう」
また、これが普通ですよね? と首を傾げる葵衣に全員で苦笑いをしながら、迎えに来た黒い高級車に乗り込んだ。
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……うん。もう驚かないわ。一般の一軒家の三、四倍ありそうな四階建ての立派な別荘ぐらいじゃ。
観音開きのドアから玄関へ、高そうな絵が飾られる廊下を抜けると白を基調とした三十畳程のリビングダイニングがお出迎え。
「ふぃー。長旅だったねー」
「えぇそうね。正直気疲れで遠慮とか出来なくなってるわ」
叶恵と会長は既に体をソファに投げ出して溶けていて、葵衣と緋彩は各種設備のチェックをしにリビングから出ていってしまった。
このまま男二人突っ立ってる訳にもいかないし……。
「俺らは荷物運びでもするか」
丁度玄関のとこに全員分の荷物置いてあったし。
「おう……と言いたいところだけどどこに運ぶんだ? まだ部屋も決まってないぞ?」
「確かに……葵衣に聞くか」
探しに行こうとしたタイミングで丁度よく帰ってきた葵衣を呼び止めると、トコトコ歩いてこっちにやってくる。
「はい。どうしましたか? 詩乃」
……なんか近くね? 思わず抱きとめちゃったけど、こんな密着して見上げてくる必要あった?
……まぁいいけどさ。
「荷物運ぼうと思ったんだけど、部屋どうする?」
「「「…………!」」」
いつの間にか戻ってきていた緋彩と葵衣、叶恵の雰囲気が一瞬ピリついた。ような気がしたあと、何故かいつにもなく真剣な顔で口を開く。
「……一応部屋は人数分ありますけど、どうします?」
「いや、任せるけど……選び方は」
流石にここで葵衣が「じゃあ私とずっと一緒に寝ましょう!」とか言ったら戦争が起こりかねない。じゃあ一人一部屋にすればいいじゃないかと思うだろうが、それはそれでなんか違う。
きっと会長と陽斗は同じ部屋にするだろうし、羨ましがって三人が押しかけて来てもおかしくない。
「俺と和香奈は同じ部屋にしてくれると助かる。部活忙しくてバイトとか出来なくて旅行とか連れてってやれないから」
さっきまで溶けていたのに今は目を潤ませて陽斗を見つめている会長はスルー。
「分かりました。えーと、二回の階段登って突き当たりの部屋使ってください。……じゃああとは私達四人ですね」
「そうだな……」
主に君ら三人だけど。
「……私、うたのんとがいい」
「じゃああたしもー」
「もちろん私も詩乃と寝たいです」
「「「むむむ……!」」」
嬉しいけど毎回こんなことやらなくても……って思うんだよなぁ……なんとか平和に終わってくれるといいけど。
「……二人とも」
しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは緋彩。
「何ー?」
「なんですか?」
「……最初あおちん、次私、最後かなかな。で、回していったら平和」
「「…………」」
緋彩の意見に二人は無言。俺としてはいい案だと思うんだけど、どこかダメなところでもあるんだろうか。
「ならこうしましょう。ひーちゃんの案にプラスで、詩乃の所に行けないふたりは前の日に詩乃と寝た時何があったか報告する」
「あと抜け駆けは私達からしない、も追加でー。詩乃が選んだらその時はその時ー」
「この三つ以外で何か意見がある人いますか?」
二人は首を横に振って話し合いは終了。……なんかこうもあっさり決まると逆に不気味だな。まぁ普通に嬉しいことだけども。
「てことになったんですけど大丈夫ですか?」
「俺は別に三人が仲良くしてくれるなら問題ないよ」
「「「よしっ」」」
ん? よし?
「事前に何時間も話し合った甲斐ありましたね!」
「……あおちんそれ言わない約束」
「ああああああああああ!!!!」
結局いつも通りの三人だったことにちょっとだけ安心感を覚えつつ、俺は葵衣に言われた部屋に荷物を運びに動き出した。




