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第四十八話

 二日目もメインイベントの時間がやってきた。恐らく何人かの生徒に人が殺到するだろう人借り競走だ。


 スタートから二十メートルの所にあるお題カードを確認して、そのお題にあった人を連れてゴールするだけ。一回五人ずつで、お題カードは足が遅い人も選択肢ができるように七枚。


 ちなみにこの競技の準備係もやっていたので、カードのお題がどんなものかも知っている。


『自分と同じ部活所属の人』


『生徒会役員』


『自分と同じ委員会の人』


 などまともなものが七枚、そして、


『好きな人』


『一番可愛いorかっこいいと思っている人』


『幼馴染み(証明は小学校の校歌)』


 などふざけてるだろと思われても不思議じゃないのが七枚。これがレース毎にシャッフルされて配置される。


「競技としてはまともだけどお題がまともじゃねぇんだよな」


 別にまともなお題だけでもいいじゃん。ふざけたお題の方だいたいどこに人が流れるかわかるじゃん。


 ちなみにお題は自分の上に掲げてなんのお題かわかるようにしなければいけない。いくつかのお題がでたら公開告白みたいなものだ。


 それを利用して本番で告白とか指輪でプロポーズしようとしてるやつとかもいたがそっと見て見ぬ振りをしておいた。だってその相手が葵衣とかだったんだもの。


 まぁそれはいいとして、問題は葵衣達三人がそのとんでもカードを引かないか、だよなぁ……。


 いや別に引いてもいいけど、そしたら間違いなく俺のとこ来るじゃん。今日まで目立ちたくないよ……!


『さぁ二日目も折り返し! メインイベントの時間が来た!! 人借り競走の時間だぁぁぁぁぁぁ!!』


「「「「うぉぉおおおおおおおお!!!!」」」」


 昨日も思ったけど副会長めちゃくちゃ実況うまいな、煽り方とか盛り上げ方とか。なんなら生徒会の仕事してる時よりいきいきして見える。


 ……まぁ、あの会長の下にいるわけだし、ストレスが溜まるのも──


「何か言った?」


「ひゃあっ!? ……と、何も言ってないですよ、会長」


「そう、ならいいのだけど」


 言葉に出さなかっただけだけどな。てかなんでこっちも出場する会長がここにいるんだよ。


「詩乃ちゃんにちょっと伝えたいことがあっただけよ」


 わざわざ列抜けてこっちに言いに来てる時点で嫌な予感しかしないんだけど……。それ以前にこの人が俺に親切に何かやってくれるはずがないとまで思うけどな!


「待機列の方で、女子の中だと和希、ハルくん、詩乃ちゃんの名前が多く聞こえてたから、気をつけておきなさい。一レースにつき二人って考えておいた方がいいわ」


 思ったよりまともだった!


 ……てか凄い有益なんだが槍でも降るのか? この脳内真っピンクで陽斗の事しか考えてないような生徒会長が陽斗以外にそんなこと言いに来るなんて……。でもまぁ、すごい助かったしちゃんとお礼は言わなきゃな。


「情報ありがとうございます会長。会長もがんばってくださいね。会長も綺麗ですし、彼氏がいても人気は衰えていないですから」


「ぐ……そんな風に返されると調子狂うわ」


「……? あの、何か言いました?」


「なんでもないわよ! あなたのところに来たのだってハルくんのところに行く通り道に詩乃ちゃんがいたからだし勘違いしないでちょうだい!!」


「は、はぁ……」


 凄い渋い顔したと思ったら突然怒り出して走ってどっか行くって……なんだったんだ?


 しかも陽斗がいるの俺がいる方と逆だし……まぁいいか、伝えてくれただけで感謝しかないんだし。まぁ槍とか降ってきたりしなければだけど。



『第一走、横一列のままカードの元へ!』


 てか始まってんじゃん競技。第一走者の男女比率は男子二、女子三で同じぐらいか……、あ、先頭の男子がカード拾って……ガッツポーズ?


『先頭の選手が出したカードは『好きな人』カードだ! 二位は『救護係』カード、三位からも続いていくー!』


 ……五人中三人救護スペースに走ってくるってどういうことだよ……。しかも出たカードは一位から順に『好きな人』『救護係』『かっこいいor可愛い異性』『生徒会長』『同じ部活の人』


 んで『生徒会長』と『同じ部活の人』のカードの人はへ持つの所に行ったから、こっちに来てるのは残り三つを持っている人。


 ちなみに救護スペースで待機している救護係は俺だけ。


『先頭の選手が救護スペースに入り、おっとこれは!?』


 先頭の男子が向かい合っているのはさっき俺が運んできた女子の先輩。意を決したように手をしっかり握ってまっすぐに彼女を見る。


「好きだ! 結愛! 俺と──」


「付き合うのは無理かな、ごめんね白雪先輩」


「何故だぁぁぁぁぁぁ!!」


「え、えっとそれは……」


 こっちチラチラ見て顔赤くしないでくれよ! てかさっさと走ってってくれ!! ほら男子の白雪先輩も! 泣き崩れてないで立って!!


 っと、俺の方にも人来るんだった……!


「あ、あの! 救護係の小野寺詩乃さん……で合ってますか?」


 The清楚って感じの子が来た。まっすぐに伸びた長い黒髪と幼いけど整った顔。名前も知らないけど、世界線が違えばヒロインになっててもおかしくなさそう。


 上目遣いで見上げてくるのとかヒロイン力高いし。


「はい、合ってますよ」


「よ、良かった……わざわざ救護スペースまできた甲斐がありました。それじゃあ、私と一緒に──」


「ちょっと待ちなさい! 小野寺くんは私と走るのよ!!」


「え、えぇ……?」


 三位の人……そういえばこの人もそっち系のカード持ってた人か……。


「喧嘩はしないでね?」


「「もちろんです!! 見苦しいところは見せたくないので!!」」


 ならいいけど……。てかそもそも同じ人を連れていくのがダメなんて言われてないんだから二人仲良く俺を分け合ってくれれば早いんだけどな……。


 あ、白雪先輩泣きながら出てった。


『ここで一位の選手が救護スペースを飛び出してきた!! しっかりと手を繋いでいるが、その目からは大粒の涙が流れている! 振られたか!? 振られたのか白雪ー!!』


 もうやめて副会長……。白雪先輩のライフはもうゼロよ!!


『一位はもう決まりと言ってもいいかもしれないので、後方の実況に移ります! 二位と三位の二人は面白いことになっている!! 小野寺詩乃を奪い合って争っている!! この光景は何度見れるのか! 今日も小野寺詩乃劇場が始まるぞぉぉぉぉぉぉ!!』


 ………………………………会長、忠告感謝します。それじゃなきゃこの状況に俺は耐えれなかったと思います。

一身上の都合により明日から投稿時間が20時になります。ご理解くださいませ!

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