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第四十五話

 競技説明が終わり、競技が始まる。実は第一走に俺と緋彩ペアがあったりする。あと会長と陽斗のペアもだな。


「……私、勝ちたい」


「じゃあ俺は緋彩に合わせるよ」


 ペア競技だと勝ちを急ぐと逆に噛み合わなくて負けるからな。緋彩の運動神経がいいか悪いかは分からないけど、身長差的に俺に合わせるのは大変だろうしな。


「位置について!」


 まず目指すのは五メートル先のバット。ここをどれだけ早く抜けられるかが勝負かも知れない……!


「よーい、ドン!!」


 よし! 俺らが先頭!


 ぐるぐるバットも終わった、次は足結んで二人三脚!!


 緋彩は──もうフラフラなんだけど大丈夫か!?


「……うたのん、支えながら走って」


「……了解」


 実はあんまり目が回らなかったりする俺。緋彩の目が回りやすいぐらいじゃ負けない。


「俺に抱きつきながら走れ、そしたら俺がまっすぐ走る」


「……わかった」


 横乳が当たってるんだけど……今はそんなこと気にしてる暇なさそうだな。ていうか俺が言ったことだし。でも別に狙ったわけじゃないからな! 


 ……ってか周りも足縛り始めてるし……。やべぇ会長ガチだ。目が血走ってる……!


『さぁ各選手、足を結んで! 一番に駆け出したのは──小野寺、橘ペア! 続いて赤坂、柊ペア! その他ペアの選手達はまだ足を結んでいるぞぉー!』


 まじか……予想はしてたけど、一騎打ちになるのか。


 差はどのぐらいだ……?


「イチャイチャしちゃって〜愛されてんなぁウタ!!」


「別に勝てれば問題ないから! 羨ましくなんかないから!!」


 真隣にニヤつく陽斗と涙流して真面目に走ってる会長がいた。見る感じこっちは会長が引っ張ってるっぽい。


『さぁ、先頭の二ペアが第二障害、肩車パン食いに入っていくぅぅぅぅ!!』


 平行線のまま俺達はパン食いへ。


「飛べ、和香奈!!」


「「!?」」


 飛──んでる!? いや、頭挟んでるからギリギリ肩車か……?


 そのままパンを咥えてこっちに向かってドヤ顔をする会長と、「おっさき〜」とまだニヤニヤしている陽斗。やばいめっちゃ腹立つ……!


「緋彩」


「……わかってる。頭の上に乗っけてくれれば届くかも」


「了解」


『おぉーっと! ジャンプの勢いでパンを咥えるというとんでもない技で単独トップに躍り出た赤坂、柊ペアに続き、ここで小野寺、橘ペアも頭の上に乗せるという荒業に出たが!? ……届かなぁーい! 橘選手の小柄さが仇になっているー!!』


 まじか……これでも届かないならあと俺が飛び跳ねるぐらいしかやれることないぞ。でもそれ上にいる緋彩が頭に尻強打することになるからやばい!


『どうした小野寺、橘ペア! 動きが止まっているぞ!? この隙に前方との差は開き、広報との差は縮まっていくぅー!!』


 やばいやばいやばい負けるのは屈辱的すぎる……! 後でまた陽斗達に煽られるのも嫌だ!!


「……うたのん跳んで。あとキャッチして」


「わかった……いくぞ!」


『小野寺、橘ペアも飛んだぁー! そして──!? パンを咥えて空中に投げ出された橘選手を小野寺選手がお姫様抱っこでキャッチしたぁー! すごい、すごいぞ小野寺詩乃! 黄色い声援を独り占めだぁー!!』


 あっぶねぇぇぇぇぇ!! すげぇ怖かった! 落としたらマットあるとはいえ痛いだろうしキャッチ出来て良かったぁぁぁ!


『小野寺選手のスーパープレイに目を奪われていましたが、以前先頭は赤坂、柊ペア! がしかし、柊選手が平均台で苦戦している! 柊選手の汗が、息遣いが、潤んだ瞳が大きく大型モニターに映されているー!!』


 言ってることやばいけど大丈夫かこの人!? 一応保護者いないけどさ! 周り公園とかだから家もあんまりないけどさ! 結構ギリギリなこと言ってるよ!?


『さぁここでもう一度トップに並んできたのが小野寺、橘ペア! 小野寺選手が靴を受け取り平均台の先まで走る! そして橘選手は!?』


「いや、まじかよ……」


 それは強すぎっていうか、反則レベルじゃないか?


『な、なななんと! 足つぼを諸共せず平均台を走り切って、小野寺選手にダーイブ!! 羨ましいぞ小野寺詩乃ー!!』


「……健康には気をつけてる」


「そんなレベルじゃないだろ……」


 足つぼ効かないって俺の中じゃもはや人間じゃない説まであるんだけど……。


 でもまぁ、これでリードは取れ……てない!?


『柊選手も気合いで行ったー!! 涙目なんてものじゃない、号泣しながら走り切ったー!!』


「えぐっ……ひぐっ、痛いぃぃ……」


「よしよし、よく頑張ったな和香奈。でも勝ちたいんだろ? もうちょっと頑張れるか?」


「うん、後でご褒美くれる?」


「もちろん」


 ちょっと後ろからすっごい甘ったるい会話聞こえるのしんどいんだけど。砂糖吐きそう。あと会長キャラ崩壊してるけど大丈夫?


『日頃の生徒会での活動の三分の一をひとりで担い、体を壊すギリギリでいつも生きている柊選手に拍手を!! そして先頭二ペアは最終競技、目隠しレースに入ったー!!』


 これ女子が目隠しして走るってとこだけ注目されるけど、スタートが男子がゴール地点に着いた瞬間スタートだから、こっちもこっちで大変なんだよな……。


 で、案の定陽斗に抜かされて、会長の方が早くスタートしちゃったと……。


 俺がゴール地点に着くと同時に振り向くと、まっすぐこっちに走ってくる、緋彩。


 ……待て待てこの競技男が叫んで誘導するんだよな? 会長も足気にしながらだけどまっすぐ走ってるし……え、俺間違ってるか?


『ど、どういうことなんだ!? 何が起こっているんだ!? 先頭ペア二つの赤坂選手と小野寺選手は声を出していない!! だと言うのに、柊選手と橘選手はまっすぐ ペアの元へ走っていく!!』


 いや、間違ってないっぽいな。陽斗は……お前もよく分からない感じか。じゃああの二人がおかしいのか。


『さぁ、リードは橘選手だが、このレースはどうなるんだァー!!』

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