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第三十八話

「葵衣ー? 大丈夫か?」


「だ、大丈夫だと思いますか……?」


「いや全く」


 椅子から転げ落ちてそのままの体勢で動けなくなってるやつが大丈夫だとは思えないわ。


 てか、これぐらいのことで腰抜けるってどういうことだよ。電気消された時はまだ大丈夫だったじゃん。


「電気消された時に驚いて腰抜けちゃったんですぅ……!」


 ……よく考えたら全然葵衣のこと見ないで入口に向かって走ったから分かんなかったわ。ごめんな葵衣。


 でもそのオットセイみたいな格好は面白い。


「……ニヤニヤ笑ってないで座らせてもらってもいいですか。自分じゃこれが限界なので」


「面白いんだけどダメ?」


「尚更ダメに決まってるじゃないですか!」


「はいはい」


「なんで残念そうなんですか!!」


「残念だからに決まってんだろ!!」


 パンツ見えてたからなぁ!! もうちょっと拝みたかったよ!!


「あ、起こすついでにえ、えええエッチなこともやってくれてもいいんですよ?」


「何言ってんの!?」


 まじで何も考えてなかったのになんで葵衣からそういうこと言っちゃうかなぁ! 変に意識しちゃうじゃん!


「しっかり私のパンツ見てた人が言っても説得力ないですよ」


「……その節は大変申し訳ないと思っております」


 ……バレてないと思ってたことが実はバレてた時が一番恥ずかしいと思うんだけどどうだろう。


 俺もう恥ずかしくて何も手出しできないよ……。膝の上に座ってるのに普通に何もできないよ……!


「……何もしないんですか?」


「できるテンションじゃないわ」


「ひーちゃんにはするのに?」


「……一つ誤解があると思うから説明するがあれは俺からやってる訳じゃないぞ」


「でも満更でもなさそうですよね」


「……………………」


 いや、うん。ごめんなさいしか出てこねぇわ。なんも言い返す言葉も出てこない。


 そんな俺を大きなため息をつきながら見上げる葵衣。


「……これだけ必死に好きって伝えても応えてくれないのに、何も言わないひーちゃんにはデレデレして、ひーちゃんが好きなんですか?」


「い、いや……」


「濁すってことはそういう事ですよね?」


「………………」


 いや違う……とも言いきれないかもしれないけど、待ってくれ。一旦、十秒でいいから待ってくれ。そして一言だけ言わせてくれ。


「……嫉妬?」


「そうですよ!!」


 なにか悪いことでも!? と言って葵衣プクッと頬を膨らませる。そしたら俺がそれを潰すと。この時の不満げな顔も可愛いんだよな。まぁ、言わないけど。


「嫉妬かぁ……」


「なんですか」


「いや、そんな風に思ってくれてるのかって再確認しただけだ」


「でも応えてはくれないじゃないですか」


 ……今日はいつにも増してズバズバ言ってくれますね葵衣さんや……。でもまぁ、言ってることは事実だし、何も反応を返してやれていない俺が悪いんだけどな。


「……まだ応えられないだけだよ」


「どういうことですか?」


「それはまだ言えない」


 と言うより、自分でもなんでか分からない、ていうのが正しいかもしれない。葵衣達は大切だと思える人達だ。だけど、だからこそなのかは分からないけど、その先にいこうとすると、答えが出なくなる。


 誰を取って、誰を捨てるのか。言い方は悪いが、それが決められない。決まらない。……大切なもの程、手に入れたあとが怖くなる。


「……そうですか。じゃあ待ちます」


 今度はニコニコ笑顔になった葵衣。さっきまでの嫉妬してほっぺた膨らませてた葵衣はどこへ?


「選んでくれるのは私だって信じてますから」


「あー、うん。期待に添えるように頑張るよ」


 選べないから困ってるんだけどな……。そんな眩しいぐらいの笑顔見せられても……。


「「…………………………」」


 なーにこの甘酸っぱい雰囲気ー…………。



 ──────────



「「本当にすいませんでしたー!!」」


 いや、謝って済む問題ではないよね……。葵衣がスマホ持ってなかったら俺ら一日中あそこにいる羽目になってたかもしれないし。


 私はそれでもよかったです?


 勝手に心読むなよ。あ、俺もかもしれない。でも元々家一緒だし別に大差ないからそれなら家帰ってあったかい味噌汁飲みたいかな。うん。


「ったく、イチャイチャしやがってよー、あとちょっとで学校締まるとこだったんだぞ?」


「いやまじで助かった……」


 出なきゃ行けないの思い出して陽斗に電話かけたのが七時四十五分。それから十分経って現在。目の前には平謝りする先生方。


「今回はいいんで早く帰してくれませんか? 俺もう腹減ったんで帰りたいんですよね」


 割と本気で帰りたい。正直三分も経ってないけど謝罪されるの飽きた。


「あ、あぁ……それじゃあ、この話はまた明日でいいかな? 二人の親御さんにも謝罪しなければいけないからね」


 うわめんどくさぁ……。でも学校側からしたら信用問題だしね……まぁしょうがないか。


「じゃ、さようならー」


「さ、さようなら! 先生」


 あー、やっとファミレス行ける。会長は絶対許さん。

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