第二十四話
日を跨いで日曜日。昨日は叶恵は着替えがなくて帰ったので、昨日の夜は二人と一緒に寝室のベッドで寝ることになった。
……なんかこう、この週末だけ見るとまじでハーレム主人公みたいになってるな……。作りたいと思っても作れるものじゃないし、喜ぶべきなのか、違うのか……。
ところで昨日寝る前に自分のベッドなのに緋彩の匂いがすごい強くて、「なんでここから緋彩の匂いがするんだ?」って聞いてみたらふて寝されたんだが、俺なんかしたか? 本人に聞いてまたムスッとされるのも嫌だし本人に聞くことは出来ないのだが。
んで、そんなこんなで朝起きたら葵衣と緋彩がいませんでした。
叶恵と三人でショッピングに行ってくるらしく、枕元に置き手紙があった。
正直誰かに連れてかれたかと超焦ったけど、つい先日見たばかりの丸い文字で「ショッピングモール行ってきます。帰るときには連絡します」と書いてあったから大丈夫だろう。
さて、久々に一人の時間ができた訳だが……。
「やる事ないな」
部屋は一通り綺麗にしてあるし洗濯は昨日のうちにやった。お昼は二人はショッピングモールで食べてくるだろうし、お金ないから夕食は質素になる……。さすがに緋彩の荷物に触るのは悪いし……。
「あー、何する?」
ソファーにダイブしながらもう一回考える。……ゲームでもいいけど、パーティーゲームばっかなんだよなぁ……昔は一人でCPU相手に圧倒して優越感に浸るのが好きだったんだけど、今となっては……ねぇ?
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ねぇ?とか言ってた俺だが、結局一人でめちゃくちゃパーティーゲーム楽しんでた。
「……やべぇ、すげぇ時間経ってる……」
なんか西日差してるし、あれ、始めたのまだ午前中じゃなかったっけ……?
時間忘れるってこういうこと言うのか……今度から気をつけよ。これ今日みたいに暇な日じゃないと家が荒れそう。
朝から家の中の様子なんも変わってないし……。
「あー、早く帰って来ないかな」
ゲームは楽しかったけど、こう、終わると寂しいな……。なんて言うか、虚無感みたいな?
まぁ取り敢えず腹減ったしなにか食べるか。キッチンに確かなんかお菓子あったはずだし……お、あったあった、ポテチか、悪くない。
リビングに戻って、スマホをつける。
「スマホに連絡はまだないっと」
陽斗からクソどうでもいい惚気がきてるぐらいか……未読無視でいいだろ。あ、いや違うな、今回は返してやろう。「俺も三人と添い寝したぞ」と、まぁこんな感じでいいだろ。
デート中みたいだし、返ってくるまで時間かかりそうだし、もうやることなくなったじゃん。
一人ってこんな手持ち無沙汰になる事だっけか?
まぁいいや、取り敢えず動画見よ。
──────────
「……遅いな」
結局動画もほどほどに買い物に行って帰ってきて、現在七時を回ろうとしている。まだ連絡はなく、時間だけが過ぎていく。
少し、嫌な予感がする。ただ漠然と、何かがあるような気がしてくる。
ピロンッ! と音が鳴った。読書に手を出そうとしていたのをやめてLINEを開くと、通知を鳴らした主は三人ではなく陽斗だった。
『立派なハーレム主人公で草』
「返信きたってことはデート終わったんか?」
『おう、後でたっぷり惚気させてもらうからな?』
「最悪、ブロックしとくわ笑」
『は?え?ちょっと待って?お前ならやりかねないんだけど!?』
「嘘だよ」
『嘘に聞こえねぇ笑』
「半分嘘じゃないからね」
『ちょっと!?って、こんな茶番するためにLINEしてるんじゃないんだよ』
「なんの用があったんだ?」
『千代ケ崎さん達、お前ん家にいるか?』
本題を聞いて、嫌な予感が大きくなる。
「いや、帰ってきてない。でもどうして?」
『これ見てくれ』
陽斗から写真が送られて来た写真を見て、すぐに陽斗に電話をかける。
「それいつの写真だ?」
「ちょっと前だな。連絡遅れてすまん。ったく、こんなん見たらデート切り上げて尾行するしかねーだろ」
送られてきた写真、そこに映っていたのは、黒服の男達に囲まれた葵衣達と、それを見守る浜名楓。
「……俺も行く、場所は?」
「ベッタベタのベタな感じで港の倉庫に向かってるよ……もう悪役ムーブ染み付いてきてんねぇ……」
「了解。会長はなんて?」
「怪我して帰ってきたら殺すって木刀三本渡された。二刀流なんて二人ともできねぇっての」
「予備だと思って持っとけ、じゃな」
鼻で笑いながら電話を切った。
……うちからだと走って行っても全然問題はなさそうな場所だしクソ親父を頼るほどでもないな。
にしても、迷いなく暴力に手を出す女だったし、もう手を出してこないなんてこれっぽっちも思ってなかったけど、案外早かったな……。しかも今回は完全な私怨だしなぁ……。今回も俺が打たれるだけで済んだらいいけど。




