第十八話
行き当たりばったりで、あとのことを考えられないお前が悪いと言われたら、ぐうの音も出ないが、割と困った状況になった。悪い意味で天国。
そう、全ては一番最初にお風呂を入れたことが悪かった。何が困ったことになってるかって?
三人とも、部屋着が際どいんだよ!!
普段と違い俺が一番風呂を貰い、葵衣達は三人で風呂に入ることになった。三人が風呂で騒いでいる声でちょっと変な気持ちになったのはここだけの秘密だ。
まず一番最初にあがってきたのは叶恵だった。叶恵は長袖の黒のTシャツに下は通気性が売りの生地でできた黒のホットパンツ。上は別に問題ない、問題は下。
めっちゃね、透けるんだよ。何とは言わないけど、白いのが。まぁ通気性がいいってことはそれだけ生地に隙間が開きやすいって訳で、叶恵のそれは多分普段から着てるんだろうし、もうスケスケレベルなんだよ。
悲しい男の性かな、無意識にそれを目で追ってしまった。
次に上がったのは葵衣、まぁ、これは見なれてきたんだけどブラトップ?とか言うやつの上に俺のTシャツを着るだけ。パジャマもショッピングモールで買ってきたのだが、それは着ないらしい。
そして、これで気づいた人もいると思うが、葵衣は下はパンツだけ。でもそこじゃない。本当に気になるのは首周り。ゆるゆるで、背中が見えたり胸チラしそうになったり……。割とやばい、あと嘘ついたわ、慣れてない。
そして最後、皆さんおわかり緋彩である。端的に言おう。純白のネグリジェ一枚。大きな胸に持ち上げられたネグリジェは、膝丈から太ももの半分ぐらいの丈まで短くなっていて、真っ白な太ももが惜しげも無く晒されていた。
見慣れているのか葵衣と叶恵は何も言わない。でも俺からしたら刺激が強すぎる。……その、谷間とか、あとこれ言っていいのか分かんないけど、大きな膨らみの丁度一番突き出しているところに、桜色の何かが見えてるんだよ。確信はないし、キッチンから髪を乾かしてる三人を見ている俺の妄想かもしれないけど。
目が合って、顔が赤くなった。
あ、腕で隠された。
(……えっち)
「うぐっ……」
二人が自分の髪に注目してることをいいことに、口の動きで伝えてきた。この距離じゃ弁明したら逆に他の二人にも気づかれるから呻くしかできん……。
「へくちっ」
揺れた。いや跳ねた?
違う緋彩がくしゃみをした。でもこれは服を着てもらうチャンス! 流石にあのままいられるのは無理!
「葵衣ー! 緋彩が風邪ひくと悪いから上だけでいいからなんか着るもの出してやってくれー!」
「わかりました! それじゃついてきてひーちゃん!」
「……ん」
ちょっと不満げにこっちを見て、葵衣と一緒に寝室に入っていった。
数分後、涙目の葵衣と満足げに俺のジャージを着る緋彩が戻ってきた。
「胸でボタンが閉まらなくて着れないなんてぇ……」
うん、まぁ、どんまい、葵衣!
それはそうと、夕食の支度も整ってきた。あとは味噌汁とご飯をよそって出来上がりだ。
「葵衣ー、ご飯と味噌汁持ってってくれー」
「分かりました! すぐ行きます!」
なんという変わり身……やっぱりご飯大好きだな葵衣。葵衣が落ち込んでる時は豪華なご飯用意すればなんでも復活するんじゃないだろうか。
俺がご飯と味噌汁をよそっている間、飼い主を見つめる犬みたいな顔で葵衣がこっちを見てくる。庇護欲駆られるんだよな、これ見ると。
「はい、じゃあ頼むぞ? 短い距離だけど気をつけてな?」
「分かりました! お任せ下さい!」
……なんかこういうの見てるとほんとに妹みたいなんだよなぁ……。まぁそっちの方が意識しないで済むからいいんだけど、他がなぁ……。
今日のメニューは刺身と白米、味噌汁、付け合せはきゅうりとわかめの酢の物。まだちょっと夏には早いがさっぱりかつバランスも取れてて、刺身は盛り付けさえ考えれば豪華になる。さらに手間もそんなにかからない。最強だろ。
「「「おおおお!!」」」
三人が目を輝かせてくれる。いやー、やっぱり喜んでくれると嬉しい。
「葵衣には毎回言ってるけど、三人が自分らの家で食べてるものほどいいものは使えない。お金もないしな? だけど、美味しく食べてくれると嬉しい──それじゃ、いただきます!」
「「「いただきます!!」」」
楽しい食事が始まった。




