9話
「今日はオフだから行けるよ」
蓮太が放課後になると同時にウキウキしながら俺に言ってきた。
「私も今日行けるよ」
詩織も少しいつもよりもテンションが高いように見えた。
「じゃあ行くか…」
今日はあまり元気が無かった。
昼に昨日会った栗原くんが虐められているのを見てしまったからだ…
いや見てしまったんじゃなくて今まで目に入れようとしていなかったことを栗原くんに会ったせいで妙に意識してしまった。
「ゴミ原ジュース買ってこいよ」
「クズ原宿題貰うねー」
「えちょwww栗原臭いんだけどwww」
こんな言葉が日常的にクラスを飛び回っていたのに今日に至るまで聞こうとしていなかった。
でも…せっかく蓮太と詩織が行ける日だから行こうと思う…
重い気持ちを軽い言葉で吹き飛ばす。
「よし…頑張ろー」
ギルドへ向かって歩いている時に詩織が意外なことを言い出した。
「翔太って栗原くんと何かあったの?」
「え…まぁ昨日少し喋っただけだよ…」
「ふーん…」
詩織が鋭いことを言ってきてびっくりした。
「なんで?」
純粋になんで詩織がそんなことを聞くのか疑問に思った。
「いやなんか翔太がいつもは栗原くんが虐められてても気にしてなかったけど今日はチラチラずっと見てたからね」
そんなに見てたか…
「詩織もよく翔太のこと見てるだな」
「べ、別に少し視界入っただけだよ…」
蓮太の質問に動揺しながら歯切れの悪い返しを詩織がする頃にはもうギルドの前に着いていた。
「とりあえずなんか依頼受けよう」
そう言って俺は迷わずユーリさんのいるところに向かった。
「3人でやれる以来ありますか?」
「少々お待ちください」
裏にユーリさんが依頼を探しに行っている間に蓮太と詩織はスキルを幾つかとった。
俺はスキルを持っていたが昨日来ていたことはあまり知られたくなかったからスキルをとってる振りをした。
3人で行動してる中1人でもやっていける事が分かったらこの後も3人で行動できるか分からないからだ…
「こちらの依頼なんてどうでしょう」
裏から持ってきた依頼は【たるふ草】という薬草を20束以上採取する物だった。ちなみに報酬は20束までは1束200knでそこから1束100knだった。
「一応この薬草はこちらのような形をしています」
ユーリさんはカウンターにどしっと厚くて大きい薬草図鑑と書いてある本を置いて【たるふ草】と書いてあるページを開けて見してくれた。
たふる草はたんぽぽの黄色の部分が深い青色になったような外見だった。
「依頼はスライムなどの魔物いる森に入らなければならないのですが剣などをレンタルなさいますか?」
確かに薬草採取だからといって魔物と合わないわけではないから剣は借りた方がいいだろう…
でも…お金が…3人で蓮太と俺が件を借りると1本1500kn で詩織が借りるであろう弓も1500knだとすると3人で4500knかかってしまう。そうなるとたるふ草を25束取ってきてやっとレンタル料が払える額だ…
「剣と弓は後払いで1500knでお貸ししております」
「あの…knってなんですか?」
昨日の俺と同じような反応を詩織と蓮太がするが丁寧に優しくユーリさんは昨日と同じ説明をもう1回してくれた。
「どうする…?」
説明をしてもらった後に蓮太が俺と詩織聞いてきた。
「やっぱり魔物がいるなら武器は持っておいた方がいいよね」
「そうだな…魔物がどんなのか分からないしね」
詩織と蓮太は借りたいらしい。
3人で考えていると詩織がいい案が思いついたと言った。
「剣を1本だけ借りて2人で交互に周りを警戒しながら採取すれば1500knだけですむよ!」
「なるほど…そうしよう」
いい案が出たから俺は興奮気味になってしまった。
「では剣を1本だけ後払いでお貸しするでよろしいですか?」
「はい、それでお願いします」
ユーリさんは俺たちが話し終わった瞬間に話しかけてきた…やっぱりユーリさんはすごく仕事ができる。
「じゃあ最初は蓮太が剣を持ってよ」
「分かった」
俺はそう言って受け取った剣を蓮太に渡す。
「お…意外と重いんだな…」
蓮太は人生初の剣だから重く感じるのだろう。俺もそうだった…
頑張って毎日出来れば投稿しようと思っています。
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