7話
学校に着いた時には5時30分を超えていた。
もうクラスに残っている人たちはいなかった。
好都合だ…
静かにそっと扉を開けて向こうの世界へ行く。
とりあえずギルドへ向かおうと決めてドアを開ける。
また体が作り変えられる感じがした。
「いらっしゃいませ…今日のご要件は?」
ギルドへ入りユーリさんの元へ行った。
「すみません…手頃な依頼ありませんか?」
よく分からないから手頃と言って向こうに丸投げする。
「こちらなんてどうですか?」
ユーリさんが見せてきたのはスライムを5匹討伐するものだった。
報酬は5000knと書いてある…
「すみません…お金の単位ってどうなってます?」
かなり非常識なことを聞いているつもりだったがユーリさんは驚いた顔1つせず説明を始めてくれた。
「一般的にこの国で使われるのはkn【ケン】という単位です。例えば…街中で売っている焼き鳥などは100knで買えます」
…まぁ大体日本円と変わらないだろう…
「じゃあこの依頼お願いします…あとボード借りますね」
「かしこまりました…スライムの核が討伐証明ですのでお忘れなく…ではお気をつけて」
そう言ってお辞儀をしたユーリさんを横目にボードに手を置いた俺は獲得可能スキルを確認する。
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平井翔太 E級冒険者
SP4
スキル
経験値5倍
剣術 E級
獲得可能スキル
水魔法 気配察知 気配遮断 身体強化 超加速 限界突破 魔法付与 ……
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とりあえず気配察知と気配遮断は1人で依頼をこなす上で必要だと感じ獲得しとく。
あとは…身体強化と水魔法を獲得してちょうどSPが0になった。
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平井翔太 lv 1
HP 100/100
MP 10/10
筋力 5
俊敏 7
魔攻 3
スキル
経験値5倍
E級
剣術 気配遮断 気配察知 身体強化 水魔法
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とりあえずできるだけの準備をして気づいた…俺剣持ってないじゃん!
どうしよう…お金も持ってないし…やばい…
とりあえずユーリさんに相談することにした。
さっき別れた矢先でだいぶ恥ずかしけど背に腹はかえられない…
「すみません…剣って貸して貰えてたりしませんか?」
「剣なら使用料が後払いのレンタルと前払いのレンタルがございますがどうなさいますか?」
「じゃあ後払いでよろしくお願いします」
「かしこまりました…では依頼完遂時に1500kn引かせていただきますね。ではこちらどうぞ」
渡された剣いわゆるロングソードと言われている在りきたりなものだった。がこれまで現実で持った金属類よりも冷たく重たいように感じた…
腰に帯刀してやっと冒険者らしくなった俺は街から出てスライムを倒しに行く。
「お気をつけて」
もう恥ずかしいからやめて欲しかった…
街の城壁に衛兵がいるが何もしていない。
その横を素通りしてこの世界で初めて街を出た。
広大な草原と奥に広がる森はこの世のものとは思えないほど大きくゆったりしていた…この世のものじゃないからか…
「依頼はスライムの5匹討伐だから…」
周りを確認してギルドで見せてもらったスライムと呼ばれている魔物を探す…
スライムは流動体の水色の魔物で中心の核が弱点らしい。
「…いた!」
目の前に1匹スライムがいる。
ギルドで見た時は可愛いと思ったがいざ目の前に現れると少し恐怖を感じた…
呼吸を整えてスキルを使ってみる。
「身体強化」
体が一瞬で綿毛のように軽くなった。
いける…そう思った俺は思いっきり地面を蹴ると同時に抜剣して一気にスライムの核を目指して突き刺す。
「!!!」
こちらにスライムが気づいた時にはもうスライムに剣が届く範囲に届いていた。
そのままスライムを一突きにする…
「…よし」
スライムの核が割れて身体が煙を上げて無くなるのを見て倒したと実感した…
「やった…やった!やった!!!」
言葉には表せられないほどの達成感がした。
割れたスライムの核を地面から拾い上げる。
「これをギルドに出すんだな…」
ポケットにしまい次のスライムを探す。
次はスライムが2匹でいる所を見つけた。
「よし…」
草陰に隠れながらスライムの動向を伺う。
その時後ろから気配がした…5m程後ろにスライムがいた。
まだ向こうからはバレていない。
きっと気配察知のスキルのおかげで気づくことができたと思う。
一旦2匹いたスライムは後回しにして後ろのスライムに狙いを定める。
「身体強化」
腰を屈めてゆっくりとスライムに気づかれる寸前まで近づき核に向かって一突きした。
倒したスライムは煙となったがさっき後回しにしていた2匹のスライムに気づかれてしまった。
「pipipi」
スライムの声を初めて聞いたが案外かわいらしかった。
1匹のスライムが1歩前に出てくる。
もう1匹は後ろでじっとしている…舐められているのか?
前に出てきたスライムは俺の胸に向かって一直線に突っ込んできた。
「ここだ!!」
突っ込んでくるスライムの核をめがけて振り下ろした剣は核のやや右を通り過ぎてスライムの体を切った。
俺にかわされて後ろで着地したスライムを振り返って見るとさっき切ったはずの体はいつもの流動体の体に戻っていた。
「pipi」
「pipipi」
何かスライム同士で会話をすると2匹のスライムが俺を挟むように左右に別れた。
戦いが初心者の俺でも分かるが挟まれるのはやばい…
右に行ったスライムめがけて走ると左に行ったスライムが走ってきている。
「かかったな…」
右のスライムは俺を迎え撃つらしくじっと待っているが俺はすぐさま急停止をして一気に後ろを振り返った。
左から走ってきたスライムは俺が振り返ったのに気づいていただろうにスピードを出していたから止まることが出来ず、無防備のまま俺の前にやってきた。そのまま核を破壊し、残っているスライムに目をつける。
「ちょうどいいや…水魔法」
俺がそう唱えると水魔法の使い方が頭の中に流れてきた。
「…なるほどな」
E級の水魔法だと少しの魔力で少しの水が出せるらしい。
「くらえ」
剣を左に持ち、右手のひらをスライムに向けて水魔法を発動する。
すると…1L程の水が現れた…だけだった…つかえない…
水が地面に落ちていくのを確認した俺は両手で剣を持ち振り下ろす。
「チャンチャン」
レベルアップの音だったらしい。
レベルが上がりMPは全回復した。
依頼完遂まであと1匹だ。
最近は寒くなってきたので家から出るのが辛いです。
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