3話
カーテンの隙間から入ってくる朝日に目を覚ました。
まだ少し寝ていても間に合う時間帯だが今日はワクワクしていてもう一度夢の中へ入ることは難しかった。
昨日のことを思い出す…
あんなに惹かれるものと出会えたのはいつ以来か…
もしかしたらもう永遠にあんなに惹かれるものとは出会えないかもしれない。
そう思うと今すぐにもあの扉の中を探検したくなる。
色々考えていたら時間になった。
妹が作ってくれた朝ごはんを食べて一応親がまだ寝ているか確認する…ベットにいなかった。
携帯を確認すると親から昨日の3時に仕事場に泊まってくると来ていた。
別に寂しい訳では無いが少し家が俺ひとりには大きすぎるから足早に家を出て学校に向かう。
いつもより早く家を出たせいで誰にも合わないと思った時に後ろから肩を叩かれた。
「翔太おはよー」
「おー蓮太おはよー」
「翔太今日早くない?」
「なんかワクワクして早く起きちゃってさ…蓮太も早くない?」
「俺もワクワクしちゃって」
蓮太もワクワクしてたと聞いて自分の考えが正常だと知り安心する…
いつもならこの辺りで詩織を見る頃合いだが今日はクラスに着いてからも詩織はいなかった。
「すみません…遅刻しました」
一限が始まる時にクラスに入ってきたのは詩織だ。
普段遅刻などを全くしない詩織らしくない。
「どうしたの?」
「昨日あの扉のことを考えてたら寝れなくて…」
詩織もやっぱりあの扉のことを気にしていたことに安心した。
その日の授業はクラスが全体的に集中できていなかった。新しいクラスなのもあるがそんなことよりもあの扉のことを気にしている人が大半だ。
帰りのホームルームが終わると大島を筆頭にしたオタクグループがまず扉に入った。
三村のグループは部活に入っている人が多いらしく部活が終わってからクラスに集まるそうだ。昼休みに大声で話していた。
部活に入っていない人達はそれぞれ入るか話し合っている。しかし誰も帰っていないのを見るとみんな扉に興味があるようだ。
「じゃあ私は部活に行っくるから」
「俺も行くわ…翔太部活が終わったら連絡するか教室来いよ」
「あぁ…分かった頑張って来いよ」
詩織と蓮太はそう言って各々クラスを出ていった。
詩織は弓道部に入っている。この前聞いた話だと上手くなく下手でもないらしい…
蓮太は野球部に入っている。この学校の野球部はあまり強くないから練習時間も少なくちょうどいいと言っていた。
俺?…俺は中学まで剣道をやっていたがまぁ色々あって高校からはやっていない。
そんなことは置いておいて2人が終わるまで3~4時間ある。何をして時間を潰そうか考えていると、不意に声をかけられた。
「ねぇ…今から暇でしょ?」
「え…まぁ暇だけどどうしたの?」
声をかけてきたのは今年から一緒のクラスになった女子2人組だ。
「私たちあの扉には興味があるんだけど扉以上に外に行くのは怖いから扉のことだけ調べたいから手伝ってくれない?」
それで暇をしてる俺を誘ったのか…
まぁする事もなかったしちょうどいいからやることにした。
「いいよ…俺は平井翔太よろしく」
「私は安藤桃子でこっちが富永香美」
富永が安藤の後ろで会釈をしている…さっきから1度も喋ってないけど大丈夫か?
「早速だけど時間がないから早く始ましょ」
「何をするんだ?」
また安藤としか会話をできていない。
「まずは向こうとこっちで時間の流れが一緒か調べるよ」
「??…どういうこと?」
「まぁいいからとりあえず携帯電話のタイマー出して」
俺は言われるがままに携帯のタイマー出した。
「じゃあ私のタイミングでタイマーをスタートしてね」
「???…うん」
隣を見るといつの間にか携帯を手にした富永が立っていた。
「よーいスタート」
俺と富永同時にタイマースタートさせた。
「じゃあそのまま平井くんは扉の中に行ってタイマーで1分したら戻ってきて」
「???…分かった」
終始よく分からないがとりあえず言われた通りに行動する。
扉に入るのは2度目だが開けるのは初めてだ。
緊張する…
取っ手に手をかけると見た目よりも重く驚いたがそれ以外は普通の扉だった。
ガチャと開けるとクラスのにまだ残っている人達から注目されるのがわかる。
もう半分くらいの人は扉の中を探検しに行っている…
扉の中に入ると昨日と変わらない家に繋がっている。
家の中に足を踏み入れて扉を閉めてそこから1分したらすぐにクラスに戻った。
「おーおかえり」
「…でこれなんなんだ?」
「まぁまぁとりあえずタイマー見して」
「はい」
「おー予想どうり」
俺の使ったタイマーは1分14秒だったのに対して富永のタイマーは1分15秒を示していた。
「どういうことだ?」
俺の質問にニヤニヤしながら安藤が答える。
「向こうとこっちで時間の進み方が少し違うんだよ」
「???」
「だから…向こうで60秒測った時にはこっちでは61秒経っていたってこと」
「お、おう…分かった…ような気がする」
「意外と誤差が少なかったけどね」
そう言った安藤は考えたような動作をした後に
「手出して」
「???次は何すんだ?」
また教えてくれないがこれは為になると思った…
「ちょっとチクッとするよ」
安藤はどこから持ち出したのか分からないが裁縫の針のようなもので俺の人差し指を軽く刺した。
「イテッ…何すんだよ?」
「まぁまぁいいからいいからこれで扉に入って見てよ」
またよく分からないが再び扉に入って指の怪我を見ると怪我が治っている!??
「な、なんだ?」
「あ、やっぱり治った?」
いつの間にか安藤も扉をくぐってきている
「どういうことだ?」
「扉を境に怪我が無くなるのかな?」
安藤もしっかりと分かっていないらしい。
「じゃあこっちでも刺すよ」
そっと手を差し出すと次は薬指に刺してきた。
「じゃあクラスに戻ろうか」
クラスに戻ると案の定薬指の怪我は消えたが人差し指の怪我はもう一度現れた…
「うーん…体が違うのかな??」
ボソボソと1人で考え事を呟いている…
「よし!」
いきなり大声を出したと思うと俺の方にクルっと回って
「筋力いくつ?」
と聞いてきた。
「筋力?」
「うん…扉の中に入ると現れる手のマークから出てくるのに書かれてるやつの筋力」
「あーあれね…確か5だったよ」
「ならちょうどいいや」
そう言った安藤は近くの椅子に座り手招きをしている。
「こっちの椅子に座って」
机を挟むように案内された席に座ると机に安藤が肩肘を着いて俺を見てきた…腕相撲をやれってことか??
俺も肘をつき安藤の手を握るといつの間にか近くに立っていた富永が
「よーいスタート」
と言った…初めて富永の声を聞いた。
結果は俺の圧勝…当たり前だ向こうは女で俺が男なのだから…でも安藤は普通に強かった。
「おっけーおっけーじゃあ次は扉の中でやるよ」
そう言って慣れた手つきで扉を開け、そこに置いてあった手前の椅子に座った。俺はまた机を挟むように奥の椅子に座り腕相撲をした。
また俺が勝った。普通のことだが安藤は動揺していた。
「あ、あれ?」
「どういうことなんだ?」
「私の筋力が8だから翔太くんより高いから勝てると思ったんだけど…??」
確かにゲームとかだとステータスが絶対だ…
なんで俺が勝ったのだろう?
謎が多い…
「とりあえずクラスで考えようか…」
扉もう一度潜りクラスに戻る…
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