25話
1話目から読んで頂きたいです。
「俺ってずっと腕ないのかな?」
昼に食堂で2人で食べているといきなり蓮太がそう言った。
「確かに…俺と栗原の怪我はまだ自然治癒力で治る範囲だからもう治ったけど蓮太のは治らないのかな?」
「うーん…今日入って確かめてみよう」
「うん」
多分蓮太の腕は治らないと思う。
さすがに切り離された腕が生えてきたら気持ちが悪いし、明らかに現実と別のものになってしまうから俺はそうなって欲しくないと思っている。あの世界は現実と近くにあるからいいんだ…もう1つ現実よりもワクワクする現実だから行きたくなる。
「入るか…」
放課後になり蓮太と俺は扉の前に立っていた。
詩織は今日も部活で来れないらしい。
「よし!行くぞ!」
気合いを入れた蓮太は右手で扉を開けて向こうの世界へ足を踏み入れる。
いつも様に体が作り替えられ、来ているものも制服から冒険者の服装に変わる。
左腕はやはり切られている。
血は止まっているが、腕はない…
「やっぱり…そうか…」
「蓮太…」
あまりに悲しそうな蓮太に俺は声がかけられなかった。
「俺…今日はいいや…」
そう言った蓮太はそのまま今くぐった扉をもう一度くぐってクラスへ帰っていった。
蓮太が俺を庇って腕を無くしてしまったから俺は責任を感じている。これが責任なのか蓮太が可哀想なのを見て感じた同情なのかは分からないが蓮太を助けたいのは確かだ。
ここは現実であって現実じゃない…だからきっと切り落とされた腕をもう一度治す方法もあるはずだ…きっと…
「切り落とされた腕を治す方法ですか!?」
今の俺に蓮太の腕を治すのは無理だからきっと方法があると思ってギルドへ聞きにきた。
ユーリさんは俺が腕を治す方法聞くや驚いたがしっかりと書類から探してきてくれている。
「ーん…過去に切り落とされた腕が治った事例は無いですね…でもこれならありましたよ」
ユーリさんは1枚の報告書を見せてくれた。
その報告書に書かれていたのはある泉の水を飲んだところたちまち古傷も含めて体中の全ての傷が治ったというものだ…
この泉の水を蓮太に飲ませればもしかするともしかするかもしれない。
「この泉ってどこにありますか?」
「この泉はセチア泉だから…ここから1日くらい北に歩いてある山の山頂付近です」
1日…学生の俺には無理だ。
いや…いける往復2日で金曜日の放課後に出発して向こうに土曜日の放課後についてそこでセチア泉で1晩明かした後に帰ってくれば月曜日の朝にはきっと帰って来れる。これだ!
「ありがとうございました」
俺はそう言ってギルドを出た。
今日が水曜日だからあと2日で出発だ。
その前に武器など色々揃えないとな…
感想などでこの作品の改良点や分かりにくい点を教えて頂きたいです。お願いします。




