22話
1話目から読んで頂きたいです。
感想お願いします。
「えーまずは昨日から田村が家に帰ってないらしいです…知ってる人がいたら教えてください」
朝佐々木先生がクラスに入ってくると開口一番にそう言ったが、誰も返事はしない…
「じゃあまぁ知ってる人がいたら教えてください」
そう言って佐々木先生がクラスを出ていったタイミングで田村グループのヤツらが立ち上がった。
田村グループの奴らは俺たちが帰った後にクラスに戻ってきたらしい…
ぞろぞろと歩いて栗原の前にみんなで立つ。
「あいつら…また…」
そうひとり声を発した蓮太は立ち上がって栗原の前に立っている田村グループの奴らに向けて
「お前ら…もうやめろよ!」
と言ったが田村グループの奴らはその声には反応せず、栗原の目をじっと見つめて数秒してから大きく息を吸い込み頭を机にぶつけそうな勢いでお辞儀をして
「いままですみませんでした」
と謝った…
「え?…あ、はい」
栗原は困惑してる。
さらに田村グループの奴らは蓮太の方向を向いて
「あの時…助けられなくてすみませんでした」
次は俺の方を向いて
「本当に申し訳ございません」
最後にみんなに向かって
「いままで酷い横柄な態度でクラスに迷惑をかけていてすみませんでした」
いままでとは打って変わった態度にみんなは驚いて声を出せずにいた。
「田村くんのことは俺たちから先生に誤魔化しておきます」
きっと田村が家に帰ってないことに対して何かしらアクションをとるのだろう…
俺の名前は石崎哲…田村くんといつも一緒にいた。
俺はあんまり人を虐めたりするのは好きではなかった。
でも…虐めることで自分が虐められている彼より上であることを確認して、やっと自分が存在している存在意義があると感じていた。
自分は彼より上だ…自分は彼より優れている…そう思えるだけで俺の世界は鮮やかになった。
でも…田村くんが向こうの世界なら栗原を殺してもバレないと言った時にわかった…俺は…俺は自己満で人を傷つけていただけだって。
栗原を殺すと言った田村くんは怖かった…けどいつも栗原から俺たちはこう見えていたのだとわかった…わかってしまった。
それと同時に橘や平井が眩しく見えた。
俺たちとは真逆で人を救う彼らのように最初からいれられたらな…なんてもう遅かった。
栗原を蹴り、殴った感覚が手や足から離れずこびり付く…吐き気がする…
人を殴る…蹴るがどれだけ酷いことをしていたのかがやっと分かった。
橘や平井達がいなかったら今頃俺たちはきっとまだ田村くんについて行って人を虐めることでしか幸福を得られない悲しい人生を歩んでいたのかもしれない。
職員室前に着いた俺はノックを2回…扉を開ける。
「佐々木先生いらっしゃいますか?」
佐々木が来た。
「おお…どうした?」
「田村くんの事なんですけど…田村くん実は家出するって言ってました。なんか最近色々上手くいってないからとりあえずどこか行くって言っていました。付け加えて俺の捜索をしてる奴がいたら自殺するから帰るまで待ってろって言ってました」
「…わかった…ありがとう」
「失礼します…」
これで合ってるか分からないが俺に出来るのはここまでだ。
あとは眩しい2人組が何とかしてくれるだろう…あぁ生きていてよかった…
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