2話
「やはり…やはり俺たちは選ばれていたー」
大声で大島が叫んでいる…
いつもなら頭がおかしいの一言で流してしまうが、今回はもしかしてら俺たちが選ばれているのでは無いかと疑ってしまった。
なぜなら扉の先は家の中に繋がっていた。
木で作られた椅子が一脚と同じく木で作られた机が置いてあるだけ質素な家だった。よく見ると家自体も木でできている。
しかしもっと驚いたことはその家に付いている窓から見える外の景色だ…
見えていたのは…人が歩いている大通りだ…いや人とは言い難い動物の顔をした生き物も人と同じように歩いていた…ゲームで言うところの獣人だろう…
「な、なに…これ?」
「…な、なんだ?」
詩織と蓮太が驚きを隠せないでいるように俺を含めたクラスの全員が言葉失っていた…
そんな中いきなり大島があんな事を叫び出したんだから本当に俺たちが選ばれた人間なんじゃないかって思ってしまう…
「お、俺は…入るぜ」
扉を開けた三村はそのままの勢いで1歩踏み出し扉をまたいだ。
「お…ぉぉお本物だ…」
三村が扉の向こう側で置いてあるものを触りながら本当に扉の中の世界が本物かどうかを確認している。
そんな三村がを見たみんなは我先にと扉の中へ入っていた。
「すげぇ…」
「やば…」
俺と詩織と蓮太も扉の中に入る…
「凄いな…クラスが見えるぞ…」
扉の内側から見るクラスはいつもと違う感覚がした。
「ステータス!!」
また大島が叫んでいる…
俺もよくゲームをする方だから何となく大島がやろうとしていることは分かった…
「なー翔太これなんだ?」
蓮太は自分の右の手の甲を俺に見せてきた。
そこには三角形の中に黒い丸が書かれた刺青みたいなものが書いてあった。
もしかしてと思い、俺も自分の手の甲を確認すると同じマークが書いてあった。
「さぁ?なんだろうな…でもみんなにあるぞ…」
「だな…」
そう言って手の甲のマークを突っついた蓮太はいきなり大きな声を出した。
「うわ!…なんだこれ?」
蓮太が何も無いはずの空中をまるで何かがあるように食い入るように見ている。
「れ、蓮太…どうしたんだ?」
「え?翔太これ見えてないの?」
蓮太は空中を指さしている…
「わーすごいねこれ」
詩織まで頭がおかしくなったのか空中を見ている。
「翔太ここ触るんだよ」
詩織が自分の手の甲にあるマークを見せながら言う。
恐る恐る俺も自分の手の甲のマークに触ってみる…
「な、なんだこれ…」
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平井翔太 lv 1
HP 100/100
MP 10/10
筋力 5
俊敏 7
魔攻 3
スキル
経験値5倍
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手の甲のマークから出た『それ』は触ることが出来ず、人からは見えないのに自分からははっきりと見えている…
『それ』から見えた情報をそれぞれまとめると
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橘蓮太 lv 1
HP 200/200
MP 5/5
筋力 9
俊敏 2
魔攻 1
スキル
経験値5倍
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小坂詩織 lv 1
HP 50/50
MP 20/20
筋力 3
俊敏 5
魔攻 9
スキル
経験値5倍
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とこんな感じだった。
スキルは経験値5倍が固定らしくそれ以外の値はランダムなのかみんな違った。
「うわー三村筋力凄すぎだろ!」
「大島くん魔攻すごいね…」
みんなも『それ』に気づいたらしく何が凄いかを話している。
その後誰もその家から出ることなくまた扉をくぐった。
家の窓からは大通りが見えているが誰も外に出てみようとは言わなかった。
クラスに帰ってきた時にはもう日は落ちていた。
「あれなんだったと思う?」
「さぁ…でもステータスがあって…まるでゲームだよね」
帰り際に俺たち3人は扉の中のことについて話していた。
「あの扉の中の家の外に行く?」
「…」
詩織の質問には答えにくかった…
危険があるからではない…俺の好奇心で行ったとしてもそれでみんな…特にこの2人を危険に晒すのは耐え難い事だからだ…
「俺は行ってみたい…翔太と詩織となら何とか出来ると思う…」
「…でも危ないだろ…詩織は女の子だし…」
「ちょっと…私が女の子なのは関係ないでしょ!!」
「じゃあ…明日行くか?」
ついに俺が折れると2人は静かに頷いて今日は家に帰った。
誤字脱字や読みにく点がありましたら教えて頂きたいです。