16話
1話目から読んで頂きたいです。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺が思い切り剣を振り下ろす…すると…田村はひらりと身を翻して剣を躱した。
当たると思っていた渾身の一撃を外した俺はバランスを崩してしまった…
「翔太危ない!」
蓮太の声が俺の耳に届く時には俺の視界は地面に叩きつけられていた。
視界に赤い何かが地面を流れているのが見える…
「おいおい…もう終わりかよ!」
田村は倒れた俺の上に足を置いている。
「何とか言えよ!」
「ゲホッ」
思いっきり腹を蹴られた…
無様に転がる俺の胸ぐらを掴み無理やり立たせてきた。
「なんで俺がお前の剣を避けれたか気になるか?」
俺の答えを待たずに田村は話を続ける。
「俺はな意外と心配性なんだよ。だからな気配察知がD級なんだよ」
D…!だから分かっていたのか…
「だからお前が後ろでコソコソやっていたのも全部わかっていたんだよ!」
「グフッ」
次は腹パンを入れられた…
「翔太…大丈夫か?」
蓮太は俺を心配しているがそんなことより早く逃げ道を探して欲しい。
最悪俺だけが殺られればいいんだ…2人が逃げれれば…
俺が落とした剣を田村は拾い上げ近ずいてくる…
「そろそろ終わりにするか…」
田村が剣を俺の首めがけて振り下ろそうとする。
思わず俺は目をぎゅっとつぶった。
「…う…」
俺の人生もう終わりか…早かったな…まだ高二だぞ…
…あれ?…剣がいつまでたっても振り下ろされてこない。
顔に何かが垂れてきた。
恐る恐る目を開けてみると…左腕の肘から前の部分が俺の目の前に落ちている…俺の顔の上では左腕が肘あたりから切断された蓮太がいた…
顔には腕から出た血が垂れてきていた。
「あああぁぁぁ!」
「れ、れ、蓮太?…蓮太?」
痛みのあまり大声で叫ぶ蓮太が心配だが驚きのあまり上手く喋れなかった…
「ははは…どうせ死ぬんだ今守ったって意味が無いのになぁ?」
「や…やらせない」
蓮太は切断された左腕を抑えながらまだ反抗している。
フラフラな足でたっているのが精一杯のはずなのに…
「ぼ、僕もやらせるものか!」
いつも人の影にいた栗原が蓮太の勇気ある行動に感化されている。
「2人で何ができるんだ?こっちは5人いるぞ!」
そう言っている田村だがもう周りの奴らは田村のすることに引いている。
「お前らやるよな?」
「う、うん…」
反抗できるわけない…次は自分が腕を落とされるんじゃないかとみんなが思っている。
「はぁはぁ…翔太大丈夫か?」
片腕のない蓮太が俺を心配する…
「蓮太…俺は大丈夫だからお前は後ろで休んどけ…」
そう言って俺は水魔法を使って手の上に少しの水を作ってそれで顔を1回洗い気持ちを切り替える。
蓮太がここまで体を張ったんだ…俺もやってやる。
「はぁはぁ…翔太…俺も…一緒に…はぁはぁ…戦うぞ…」
声は途切れ途切れで今にも消えそうだが蓮太の戦う意思はまだまだ消えていない…
「よし…やるか!」
感想と誤字脱字報告お願いします。
書いていて自分の心臓が飛び跳ねました。




