15話
1話目から読んで頂きたいです。
「先行く」
そうとだけ伝えた俺は身体強化を使って15mぐらいある城門を飛び降りた。
ちまちま階段を降りるなんて出来なかった…
もう戦ってると大島から聞いたらゆっくりするなんて無理だった。
「翔太!これ!」
まだ城門の上にいた詩織は何かを投げてきた。
…剣だ!…でもこれ誰の剣だ?
「ありがとう!」
今は詳しいことは気にせず急いでそうとだけ伝えてさっき大島が言っていた場所まで向かう。
かなり森の奥だ…
「翔太!これ!」
そう言って私はその場に立て掛けてあった剣を投げた。
きっとこれはここの城門の守衛の剣だろう。
「それ…いいの?」
当たり前の質問だ…
「大丈夫…だと思う…」
小林さんの質問には自信なく答えて今持っている所持金を全てその場に置いて置いた。
きっと足りていない…
「私達も急ごう」
「うん」
安藤さんの言うことに大きく返事をして急ぐ。
「間に合ってくれ…」
森の木々が勢いよく流れていくのを横目に見ながら急ぐ…
「いた…」
栗原を守るように田村たちと栗原の間に立った蓮太を見つけた。
栗原はこの前田村たちにやられた怪我がまだ残っている。
俺はまだ田村たちには見つかっていない…でも見つかるのも時間のうちだ。
蓮太たちを助けたいが俺と蓮太たちの間には田村がいる…
近くの木の裏に隠れて様子を伺う。
「近づくな!」
大声で叫んだ蓮太を見て笑っている。
「おいおい…なんで俺たちがクラスじゃなくてここを選んだかわかるか?」
「…??」
「ここでした怪我はな外だと治るんだよ…だからここでどんなに痛めつけても外だと誰も信じてくれないんだよ!」
「…」
「さらにな…ここだともし俺たちがお前らのことを殺してもバレないんだよ」
「え?田村くんこ、殺すの?」
「うるせぇ!」
田村グループの中でも殺しまではしたくない奴もいるらしい。
「お前も殺されたいのか?…ぁあ?」
田村が脅すと顔を青ざめながらみんなその場を動けなくなった…
……
これチャンスじゃね?
今田村をやれれば田村に脅されたその他の奴らはきっとやり返してこない。
詩織から受け取った剣を力強く握りしめて大きく深呼吸…
「…よし!」
田村が立っている10mほど後ろの木の影にいる俺は気配遮断を使い田村に近づく…
残り8m…5m…3m…
もう踏み込めば十分切れる範囲にいる。
最後にもう一度心を落ち着かせる。
今から俺は人を切るんだ…クラスに戻れば治るとしても人を切るんだ…よし…やるぞ…やってやる…
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
田村の背中に目掛けて大きく振り上げた剣を振り下ろす…
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