12話
朝登校している時に、蓮太が前を歩いているのを見かけた。
「おはよう」
なんて言って全部1回リセット出来れば楽だがそんなことは出来ずに声をかけることが出来ないままクラスに着いてしまった。
クラスに着いてからももちろん蓮太と俺と詩織は話さずにいた。
蓮太と詩織がいないと話す人がいなくて悲しかった…
と思ったけど安藤が話しかけてきて意外と2人がいなくても大丈夫じゃないか?と思ってしまった。
「ねぇ…なんで話してないの?」
安藤は昼食の時に学食へ向かう俺を呼び止めて聞いてきた。
「…んーと…」
俺は正直に話すべきか迷った。
第三者からしたら栗原を助けることはいいことであって栗原を助けない人は酷いやつだからだ。
だけど俺は栗原を助けないことを選んだのだからその選択に後悔はないけど人に胸を張って誇れるかと聞かれたら誇れはしないのは確かだからだ。
「まぁ少し喧嘩してさ…」
「ふーん…」
俺の歯切れの悪い回答に向こうも何かを察したらしくそれ以降は深く追求してこなかった。
「おい栗原行くぞ!」
その日の放課後に田村はいつものように栗原を呼んで扉に入ろうとする。
田村は今日学校では俺たちに何もしてこなかったのは意外だった。まぁ学校ではね…
そんな田村に連れてかれそうになる栗原の右手を蓮太は掴んだ。
「おい…辞めろよ」
栗原の手を掴んだまま田村たちに蓮太が反撃したのを見てクラスがザワつく。
「あぁ?なんていった?」
田村はきっと言われることが分かっていたのだろう…そしたらこの後はもう予想が着く。
「だから辞めろって言ってんだろ!」
「辞めて欲しけりゃ着いてこい」
そう言って田村たちは扉の中へ入っていった。
予想通りだ…きっとこの後は向こうで罠にかけられてきっと蓮太はリンチされる。
止めたい…
「蓮太辞めた方がいいよ…」
「うるせぇ…お前が助けないって言ったんだろ口出すな!」
完全にキレていて周りが見えていない。
「栗原来るか?」
「う…うん」
栗原と蓮太は一緒に扉に入っていった。
「まじヤバくね」
「ちょっと橘くんかっこいいんだけど」
「けど大丈夫なの?」
「なんとかなるでしょー」
クラス内はそれまでの張り詰めた雰囲気が一気に崩れて各々が喋っている。
「ねぇみんな…助けた方がいいんじゃない?」
大きな声を出したのは小林だった。
いつもはいい子ちゃんで使えないが今回ばかりはナイスだ。
「じゃあ小林さんが助けに行けば?」
「なんで私たちがやらなきゃいけないの?」
やはり人気のない小林でもダメだった。
そうなるともう頼れる人は居なくなってくる。
「私は助けに行った方がいいと思う」
次に大きな声を出したのは安藤だった。
「橘くんがせっかく栗原さんを守ったのに…こんなんじゃ橘くんが可哀想だよ…」
「えーどうする…」
いいぞ…クラスが一致団結して蓮太を助ける雰囲気になってきた。
あと何かワンアクションあればいいのだが…
「俺は行くぞ!」
そこで声を発したのはまさかの…
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