実技試験
「あれ?どうしたの?! 僕があんまり可愛いのでフリーズしちゃった?ごめんね、こうみえても男の子ダヨ☆」
タクトと名乗ったガイドAIが意味不明なテンションでしゃべり続けている中、茫然としてしまった。ようやく静かになったガイドAIがじっとこちらを見つめているので、口を開く。
「さてと、自己紹介がまだだったね。タカと呼んでもらっていいかな?いきなり質問で申し訳ないけど、ガイドAIって、自分専用なのかな?」
「おっと!僕の可愛さについてはスルーなんて☆ いいよ、色々と教えるね。ガイドAIは、ひとつの楽器に対して、一人しか存在しないよ。なので、呼び出してもらっても、いつも出てこれる訳ではないんダ。まぁ、指揮者は数が少ないので、頻繁に呼んでもらって大丈夫ダヨ☆ でも安心して、ガイドAIは、みんなの心の中に、いつでもいるから☆」
〈個性的なガイドAIもいたもんだね、どこまで自由意志があるのかわからないけど、テキスト設定している人間がいるなら、だいぶヤバいやつだな〉と内心思いつつ、質問を重ねていく。
「じゃあ、指揮棒を選んだ訳だし、これからチュートリアルとか始まるのかな?」
するとガイドAIが妙にうれしそうな顔で言ってきた。
「いえいえ、これから実技試験を始めます☆」
タカはが思わず叫んでしまった。
「は?試験なんてあるの?俺は指揮とか何にも知らないし、できないよ!」
どうやら、試験自体に合否がなく、どんな結果であれ選択した楽器でゲームを始められるが、実技試験の結果が良いと、有利なスキルや特殊なアビリティが入手できる事があるらしい。
試験は実際に指揮棒を使うことはなく、クイズみたいなものだった。
・音の高さ当てテスト
たくさんの鍵盤があり、その鍵盤を押すと音の出るデバイス(一般的にキーボードと呼ばれるもの)を渡され、音の高さを覚える。ガイドAIが発生する音の高さと、同じ高さの鍵盤を押す
・時間当てテスト
ガイドAIがスタートと叫んでから、10秒後、20秒後、30秒後、1分後、5分後、10分後、それぞれのタイミングで指揮棒を振る
・間違い探し
まず5分くらいのクラシックっぽい曲を聴かされる。次に音の高さや長さ、音色が数ヵ所 異なる曲を聴き、元の曲と違う部分を指摘する。
結局テストには30分ほど時間が必要だった。
「ふう、けっこう大変だった。。これで終わりかな?集中力が必要なテストだったけど、演奏試験でなくてよかったよ」
と、ガイドAIに語りかけると、彼は白い髪をピカピカと白く光らせ、目を大きくパチパチさせながらつぶやいたのだった。
「音感テスト、時間感覚テスト、たくさんの楽器の音を正確に聞き取るテスト、満点だったよ。キミは何者??」




