軟禁…ではなく監禁
久々に更新です。
…別な小説の方にかかりきりでごめんなさい…っ!
目を覚ますとまた見知らぬ天井。
「…って!またこのパターンですか睦月さぁぁぁん!!!」
僕はたまらず叫んで体を起こす。
すると何かがジャランと音を立てた。
「なんだこれ!?」
見下ろすとそこにあるのは鎖だ。
それは、僕の右腕に繋がっていて、ある程度の長さがあるようで、ギリギリ部屋の中だけは自由に動けそうだ。
(これ、監禁だよな?んん?えっと…え?)
なんでこんなことに?と首をかしげたがそれ以上になんとか脱出するほうが先だと思って、どうにかならないかとあたりを見回してみるが、使えそうなものは見当たらない、
この部屋にあるのは、キッチンとパソコンだけ。
…ちょっとまってなんでキッチンがあるの?
え?え?とさらに困惑していると、ガチャリと音を立てて部屋の扉が開いた。
「おっはよ〜師走君〜!!睦月だよぉ〜!!」
飛び込んできたのは睦月さん。
…あれ。でも睦月さんって、こんな声だったっけ…??
もう少し高くなかった?
何か違和感が。
「…あの、誰…ですか?」
僕が警戒しつつそう問いかけると、目の前の睦月さん(?)は少し驚いて僕を見た。
するとモノマネはやめたようで、ハスキーな声が響く。
「へぇ〜?睦月サマが気に入ったとか騒ぐから、どんなもんだろうと思ったけど、見抜くなんて凄いねぇ??それとも、愛のなせる技〜?」
そう言って顔をペリっと剥しただ。
…ひぃ!?この人顔面剥したぞ…はぁ!?
「な。ななな!?」
「ななな?」
「なな?…じゃなくって!!!!何してるんですか!?」
酷く狼狽して顔を逸らすと、睦月さん(?)は楽しそうにクスクス笑った。
「あぁ。大丈夫だよ?これただの変装道具だから、剥してもどうせ自慢の可愛い顔面が前に出ちゃうだけだって。ほーら、こっち見てよ〜!顔合わせに来た意味がないでしょ師走君。」
こともなさ気にそう言われて見上げるとそこにはニコリと微笑む小柄な男の子が立っていた。
…いや、僕が小柄とかゆっちゃだめだな。
コンプレックスとかだったら…嫌だろうし…。
「気遣いはありがたいけど、全部声に出しちゃってるから意味はないかなぁ〜?ってあーそうだ。自己紹介がまだだったね。僕は霜月。まぁ本名…もなくはないけど、別に知らなくていいよ師走君。」
よろしくね〜と霜月さんがひらひらと手を振る。
「あ…えっとよろしく…お願いします…??…あの、さっきから僕のこと師走師走って呼びますけど僕にはちゃんと―――…。」
「…師走君。君はどう思ってるか知らないけど、ここに来てしまった以上は、元の名前は口にしないほうがいいよ。それに、睦月サマが認めた以上、君は僕らの仲間なの。だから早くその枷、外してもらえるように信頼を勝ち取りなよ。」
なんだか悪い人じゃない…みたい?
とりあえず肯定の意味を込めて頷くと、霜月さんは満足そうに笑った。
「僕、変装が大得意なんだけど、一発で看破されたの初めてだった。面白かったよ、じゃーね?」
そう言い残して、霜月は部屋を退室していった。
「…あーー!!!!これ外してって頼めばよかったぁぁぁ!!」
空気に飲まれ、流されただけで終わってしまった事に盛大にため息をついて、僕は使えそうなもの探しを再開した。