表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノアの変革  作者: 橋姫
3/7

危機

お久しぶりです!


名前、伊月表記だったんですけど、皐月さんです。正しくは皐月。


あれ、今なんか…「メイのバカ!もう知らない!!」って聞こえた気がす…。


き、気のせい…だよね…???


…。


続きへどうぞ!

真っ二つに割れたリモコンを放り投げ、睦月は笑った。


「ほーら、はーやーくー」


無邪気に笑いながら、彼女は甘えるかのように僕の腕をつかむ。

仲間の命を危険に晒して、何故そんなにも笑えるのだろうかこの人は。


「…わっかりましたよもう!!やればいいんでしょやれば!」


僕の力なんて、そんなものなんの役に立つのだろう。

僕にはそれはわからない。

けれど、人を助けるために使うのなら、僕のこの無駄な力も役に立つのだろうか。



近くにあったパソコンを起動させて、USBメモリを差し込む。


「あと9分〜♪」


楽しそうに笑うのは睦月さんだけ。

その他の人達は面白いショーでも見るかのように、見物するか、取り乱し祈るか…反応は様々である。


(えっと…メインコンピュータからの情報…内部構造…ここじゃない。制御装置…??…んーここか。)




僕はすぐさま水の供給を止め、如月という少女が閉じ込められていた球体のドアのロックを解除した。



「流石だねぇ真琴ちゃん♪」


時間にして1分半。

僕は閉じ込められていた如月の方を振り返ると、如月は中から這い出てきて、むぅーとふくれっ面だ。



(良かったぁ…。)


どこにも異常はなかったらしい。

彼女の顔に不安そうな表情はどこにも見て取れなかった。


「うわぁ…睦月ひどいですぅ〜。おNEWの靴なのに靴下までビッチャビチャじゃないですかぁ〜。可愛い子いじめはよくありません〜!」


そんなことを言って如月はまた、ぷくーっと頬をふくらませる。

すると睦月は呆れ顔で如月を見ると、一言。


「どうせあなた自力で脱出できるじゃないの。」


何ゆってるんだこの人。

仲間を手にかけようとしてたことに反省してないのか?


「何ゆってるんですか!?リモコン叩き折るようなゴリラみたいな怪力の睦月さんとか弱そうなを一緒にしないで下さ…。」


「だ・れ・が・ゴリラなのかしら…???」


ニコッと微笑みながら、僕に問いかけてくる睦月さんに僕の口は餌を求める魚のようにパクパクとしたが、声は出なかった。

いや、出せなかった。怖すぎて。

表情はにこやかなのに目が一切笑ってない。


「真琴ちゃん…だっけ?睦月、如月、皐月、…って来て気が付かないッスか?」

水無月と呼ばれていた軽そうな男は僕に声をかけた。


「あっ…月の名前…??」


「そうっスよ。」


月…というのは、1月2月の月であって、空に浮かぶ月の事ではない。

旧歴月名…といえば伝わるだろうか。

種類は以下の通りである。

1月 :睦月むつき       

2月:如月 (きさらぎ)

3月 :弥生やよい       

4月:卯月 (うづき)

5月 :皐月さつき       

6月:水無月みなづき

7月 :文月ふみつき      

8月:葉月 (はづき)

9月 :長月ながつき     

10月:神無月かんなづき

11月:霜月しもつき     

12月:師走 (しわす)


「そして俺らの間じゃ、月の早い順に強さが決まってるようなもんっスよ。」


「皆さん兄弟か何かなんですか?」


僕がそう問いかけると、彼女たちは笑った。


「ふふふ〜。違いますよぉ〜。私達はコードネームとしての名前を『パパ』に与えられてるんですぅ〜。」


くすくす笑いながら如月は答える。そしておもむろに睦月の座っているベッドへ近づくと自分も腰掛けて靴を脱ぐ。


「『あの方』は自由を愛し、悪を許さない御方だ。」


その如月の靴を皐月が持ち、代わりの靴をその場に置いて履かせている。


「だから、俺らの名前に関連性があるんス〜。」


水無月はヘラヘラ笑っている。


「そ。そして真琴ちゃんで十二人目。まぁ〜これでやっと必要な事は揃ったわよね〜。」


ニンマリと睦月は口元を歪めた。


「はぁ!?僕、入るなんて一言も…!」


僕の意思は無視なのか?こんな変な人達と関わりたくなんかない。


「悪いけど…真琴ちゃんに拒否権なんかないわ。だって…ここを出たいなんてゆっても無理ですもの。」


睦月はいつの間にやら手にしていた小瓶を開けると、中の液体をハンカチに垂らす。

そして、そのハンカチで僕の口元を覆う。

途端に刺激臭が鼻を通り抜けた。

ぐにゃり、と視界が歪む。

わけがわからずそのまま、立っていられなくなった。



「おやすみなさい。」


その睦月さんの声を最後に僕の視界は狭まっていき、暗い闇に飲まれた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ