ウチはね●ケモン路線目指すから
著作権的に●ケモンがアウトなんじゃないか心配です。
『湖裏水脈』
ラムセス国の首都クィロの郊外にある小さな湖。
その底に空いた穴は長い通路になっていて、古き水神の隠れ家に繋がっていると言う。
「で、その湖がこれか。」
時雨達3人は遺跡『湖裏水脈』の入り口である湖に来ていた。
『カッ!臭うぜ同族の匂いだ本能でわかる。ここには間違いなくマモノがいる!』
「…水中…張り付く衣服…マモノ…ああ…あああ…」
『またハァハァ言い出したぞ姫さん。』
いつものようにサンドリアが妄想の世界に旅立ったリ、その様子にペルが呆れたりしているうちに時雨は荷物の中からいくつか道具を取り出した。
「道具の分配しておくね。」
結局またここで10分ほど時間を消費し、その間ずっと時雨は準備にいそしんだ。
湖の底は浅くすぐに穴は見つかった。
3人が素潜りで穴に入っていくと、そう時間のかからない内に空洞に出た。
『水脈って言うより洞窟だなこいつは。』
ペルの言葉道理、水脈と呼ぶには少し不自然だった。
穴から沿って泳ぎ水たまりに到着した。この水たまりから上がると岩肌に囲まれたドーム状の場所があった。水脈と言うより隠し洞窟である。
「不思議です…日の光も角灯もないのに明るいなんて…。」
サンドリアは初めてのアウトドア(命がけ)で少しはしゃぎ気味である。
大きく態度には表れていないが浮かれてる様子だった。
「はーい。みんなーこっち来てー。」
そんなサンドリアとぺルに時雨は声をかけた。
ペルとサンドリアが時雨の方を向き、近づいてくると時雨は地図を取り出した。
もっとも最初から2人共近くにいたし、ペルに至っては(もう自分で喋ってるけど)腹話術人形として時雨に手に収まっていた訳だが。
「先輩方のマッピングした地図がこれです。今日はここまで行きます。」
そう言って時雨は地図の中に書かれた遺跡の中腹一歩手前辺りを指さした。
「あの…全部は回らないのですか?」
「いい質問だねワトソン君。」
「いえ、私は『わとそん』と言う名前ではなく…。」
『ネタだから気にすんな。』
「実はこの遺跡の中腹には初心者には厳しいマモノが居るらしいんだ。斡旋所の受付のお嬢さんが言ってた。」
『微妙に信頼性が薄い情報だな。』
3人は小粋なトークをはさみながらも作戦会議を軽く行い、とうとう遺跡攻略に乗り出した。
あ!やせいのミズウサのむれがとびだしてきた!
「ヒャッハ―!」
「地獄に送ってやるぜー!」
岩陰から現れた水色の毛皮のウサギが世紀末伝説の雑魚敵みたいな事を言いながら時雨達を襲った。
「スクリーム」
『ウボェー』
しかし時雨とペルだけで一蹴出来る程度の相手であり、つまるところ敵ではなかった。
遺跡に入ってから判明したことだがペルの技『スクリーム』が範囲攻撃だったことも大きい。
『カッ!10年早いぜ!』
「ペル様は生後間もないのでは?」
今の所は特に苦戦もせず、迷子もなく、会話を挟む余裕がある順調な探索である。
「さっきから聞こえる●ケモンのシステムメッセージみたいな声だれだろ?」
ふと時雨が何気なく言った。
「●ケモンはわかりませんが…聞こえてくる声はナレー様です。私たちに加護を下さる女神様です。」
「ああ、この世界に残ってる神もいるんだっけ?」
『女神の加護がシステムメッセージかよ…。』
「凄いね異世界」
と言った風に雑談をしながら奥に進んでいく。そのすぐ近くの岩陰に2人の男が居た。
「くくく…マモノツカイが2人、しかも素人!襲うしかねえなぁ!」
「でも兄貴!あいつら強そうだよ。」
「馬鹿野郎!獲物に怯える盗賊があるか!俺たちは無敵の盗賊兄弟だぜ?2人そろえば敵無しさ。」
2人の男の片割れ盗賊兄は不敵に笑って見せた。
「時雨と」
『ぺルの』
「『楽しい雑学』」
「今回はペルの種族」
『付喪神についてだぜ!』
「道具は長い年月を得ると魂が宿るとされているんだ」
『それが付喪神だぜ!人に対しては…必ずしも友好的じゃねぇ。』
「たぶらかすって言うしねぇ?」
『嫌なら道具は大事にって事だぜ!』




