すんまへんでした。
ほんまにすんまへんでした…
これからも投稿が遅れるかも知れませんが見捨てんとって欲しいです。
「ああぁーーーーー!!!無理無理無理無理よーーー!!!やっぱり一人で囮は無理ィーーー!!」
『八寒地獄』出入口付近。ニュンペー(変種)は叫んだ。
めずに追い掛け回されていたニュンペー(変種)は命の危機を感じていた。
それもそのはず。基本的にシステム仕掛けのこの世界で格上に対抗するのは不可能に近い。
レベル制MMORPGのゲームで未だ始めて数分の素人が裏ボスと戦う様な物である。
(既に時雨の奥義は二回使った!ヘマしていいのは残り一回!戦闘離脱を考えるとその一回も残したいわ。)
その不可能を現在可能にしていたのはニュンペー(変種)の頑張りと時雨の奥義である。
この世界はシステム仕掛けだ。故にシステムに刻まれた法則からはいかな格上も逃げられ無い。
時雨の奥義を無効にする術はメズには無いのだ。
「2人共回収しました!」
時雨の声が辺りに響き、めずとニュンペー(変種)は時雨の方角を向いた。
めずは標的を変えて時雨へと駆けた。
こぶしを振り上げ時雨に向かい振り抜こうとした。
「ダメッ!」
ニュンペーは無意識の内に時雨へと手を伸ばしていた。
「1戦闘3回です」
ドカァーンと拳で起こしたとは思えない様な轟音が走った。
風圧が巻きを起こり、ニュンペー(変種)は吹き飛ばされ無い様にするので精一杯だった。
『食い縛り…だぜ』
時雨は無傷だった。代わりに拳を受けたのは…ペル。
「ペル!」
『俺の「のろいのうた」だぜ』
ペルの「のろいのうた」が辺りに響きわたる。
次の瞬間、メズが目に見えて苦しみだした。
「ヒヒャァーーーァー!!」
メズが踠き苦しみ叫ぶ。
強者として生まれたが故に苦痛を知らなかったメズは、初めての経験に悲鳴を上げた。
「そうか状態異常!」
ニュンペー(変種)は納得した様に声を上げた。
この戦闘に活路が見えた。
時雨の仲間である姫君とペルは回収した。後は撤退するだけである。
「ヒャヒヒャァーーー!!」
メズが大きく声を上げて暴れ出す。
メズのこぶしは一見無茶苦茶な軌道を描いて時雨トペルを襲った。
「『空想少女の幻想舞台』…です。」
しかしメズのこぶしは擦り抜けた。
その近くにはサンドリアが静かに言葉を発していた。
「奥義は…時雨様だけのものではありません。」
『って訳だ!騙して悪いが逃げさせて貰うぜ!』
「行くよペル」
サンドリア、ペル、時雨が駆け出した。
それと同時にニュンペーも撤退に入る。
その場に居た全員で出口を目指した。
『あー!疲れた!もう二度と地獄巡り何かしねえ!』
『八寒地獄』から脱出した後、一目散に宿に駆け込んだ。
幸いにも死人は出なかったものの死屍累々と言った雰囲気で、1人残らずグッタリである。
「でも実践を体感出来て良かったよ…荒療治にも程があるけど」
「私とやりあった時は動けてたじゃない…まさか遺跡潜り初日だとは思わなかったわ」
「私は余りお役に立てず申し訳ありません…お詫びに何でも…え?そんな急に…恥ずかしいです…」
『さっきまで息絶え絶えだった癖にもう妄想かよ…ここまで来ると逆に尊敬するぜ』
会話はするものの誰一人として横たわったまま動かない。
「あ!あー…」
『カッ?どうした?時雨?』
急に時雨が何かを思い出した様に声を上げ、その後やっちまったとばかりに溜息をついた。
「兜…置いてきちまったなぁ…」
『兜?』
「別に良いわよ…命かかった状況でワガママは言えないわ」
ニュンペー(変種)はそう言ったが時雨の気は晴れなかった。
『八寒地獄』に落下した後、兜が無いと気づいた時のニュンペー(変種)の取り乱し様を知るだけに何とかしてやりたかった。
「忘れ物でしたら…依頼しますか?」
故にサンドリアがしたその提案は渡に船であった。




