表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マモノツカイ  作者: 黒歴史丸
18/21

幕間 説明会を超えた作戦会議

「それじゃ戦闘の打ち合わせをするわよ」

「は、はい」

時雨はニュンペー(変種)とのドキドキ異世界講座(仮)を終えて地獄探索の打ち合わせに入った。

結構長い長い間話し合っていたが仕方ない。

地獄に限らず遺跡内部は全て戦場だ。

戦場で意思を疎通出来ない事は死を意味する。

意識の擦り合わせは大事である。

「で、何か案はあるの?」

「は、はい?」

「はい?じゃないわよ。貴様は自力で戦えないじゃないの。『マモノツカイ』は基本指揮官役よ。」

「ぼ、僕でいいんですか?りぃだぁ。」

「いいのよ。私は基本力尽くで何とかするタイプだし向いてないから」

「はぁぁ…」

少々困惑しつつも時雨は思考を巡らせた。

今真っ先に決めるべき事を考え優先順位づけしていく。少し時間が経つと時雨は考えを口にした。

「ま、先ず…逸れた仲間やニュンペー…さんの兜をどうするか決めましょう。はっきりしておかないと、いざと言うときに仲違いの原因になり得ます。僕は助けたいし探したいですけど…ニュンペーさんはどうです?」

「助けたいし探したいのは貴様の仲間?それとも兜?」

「両方です」

即答だった。悩む素ぶりは一切なかった。

「それはまた…どうして?仲間は兎も角、兜はただの道具よ?」

ニュンペー(変種)の疑問は最もである。

自分の命のかかった極限の状況では他者を慮ることは難しい。道具など尚更である。

その道具がさっき会ったばかりの…しかも殺し合った相手の物ともなると尚の事だ。

「だ、大事な物…なんでしょう?」

「え?」

「な、無くなったって気づいた時…取り乱してた…」ニュンペー(変種)は絶句した。

さっきも書いた事だが、命のかかった状況で他者を慮る事は難しい。

その上ニュンペー(変種)はさっき会ったばかりの相手で敵同士だった相手だ。

しかもニュンペー(変種)が兜が無い事に気付き取り乱していた時、時雨もまたペルの不在に取り乱していた。

そんな状況で尚も相手を見ていた。そして慮った。

どう考えたって異常である。

ニュンペー(変種)は時雨と言う人間の底にある部分に触れた気がした。

「ああ…そうね。大事な物よ…とても」

ここに来て初めてニュンペー(変種)は目に見えて優しげな表情を浮かべた。

その根底にあるのがどの様な物であっても、他者の思いには思いで答える。

ニュンペー(変種)の…彼女の礼儀であった。

「じゃあ探し出して回収するわよ。私の兜も…貴様の仲間も」

この後スムーズに話が運び、ハンドシグナルによる情報伝達を決定。

直ぐに探索を開始することになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ