パクりとパロディの境界線
「はぁぁぁぁぁぁっー!」
謎の騎士の猛攻が時雨に襲いかかる。
しかし時雨とペルはのらりくらりと回避出来た。
『鬼さんこちら♪』
「手の鳴る方へ♪」
「貴様等ぁー!」
完全におちょくっていた。
それもそのはず。時雨とペルは謎の騎士とまともに戦う気などさらさらない。
前提として闘いの経験も殺し合いの経験も相手が上である。そんな相手を倒せるなんて思ってない。
(まともにやればだけどな…とにかく今は怒らせて思考能力を鈍らせる。)
時雨の芸人としての武器、口三味線と演技力が勝負の鍵である。少なくとも時雨はそう認識していた。
「殺してやる!殺してやる!」
なぞのきしの あくまごろし!
しかし!こうげきははずれた!
あくまごろし!
しかし!こうげきははずれた!
あくまごろし!
しかし!こうげきははずれた!
謎の騎士が剣を振るい、ナレー女神の声が辺りに響く。しかし攻撃は当たらない。
『かっ!あんまり強い言葉を使うんじゃねぇ!』
「弱く見えるよ?」
時雨とペルがまた挑発し、謎の騎士が激昂する。
その繰り返しであった。
一振り、二振り、三振り、四振り躱して、時雨は反撃に回り始めた。
「やっちゃえ!ペル!スクリーム!」
『ブェェー!』
時雨の掛け声と共にペルが技を放つ。
ペルの口から放たれた技は、衝撃波となって謎の騎士を直撃した。
「ぐっ!」
謎の騎士は呻き声をあげながらも、踏ん張って耐えて剣を振るって見せた。
なぞのきしの あくまごろし!
『ぐわああぁぁぁー!』
「ペルー!」
こうげきはあたった!
謎の騎士の攻撃がペルに当たり、ナレー女神の声が遅れて響く。
ペルが攻撃の為に技を放った後の隙を狙ったのだ!
ペルも時雨も攻撃の為に意識を割いていたし、ペルは攻撃の直後に技を放った反動があった。だから躱せなかったのだ!
「ザマァ見ろ!トドメだ!」
「ペル」
『わーってるよ!』
謎の騎士が追撃の為に剣を振るおうとし、時雨とペルは受けて立とうとした。その時!異変が起こった。
ゴゴゴゴゴゴゴ
地面が!否!遺跡全体が揺れ出したのだ!
「なっ!貴様等何をっ!」
『カッ!知らねぇよ!くそっ!どうなってやがる!』
「うぷっ…吐きそう。綱渡り練習しとけば…オェ」
「時雨様? …気を確かに。」
当然。その場に居た者は動揺した。
謎の騎士は時雨達を疑い、ペルは悪態をつき、時雨は揺れに酔っ払っい、サンドリアは時雨の背をさすった。…案外余裕じゃない?こいつら。
ピシッ!っと音が鳴った。
音が鳴るのとほぼ同時に吐き気で俯いていた時雨が何かに気付いき叫んだ。
「床だ!床にヒビが入った!遺跡の床に!」
『カッ!?不味い!逃げろー!』
時雨はサンドリアの手を取り駆け出した。
しかし間に合わなかった。遺跡の床は崩れ、時雨達は落下した。
「この揺れ…あいつ…ほんまにやったんか…あかん身体動かへんわ。これは心中やな…悔しいわ。」
『湖裏水脈』の中腹。時雨達の居る場所から更に奥の方。そこでは傷だらけのマモノが横たわっていた。
「遺跡崩れるってことは…あそこに落ちるんか…あかんわ…あんなとこ落ちたら…新人死んでまうわ…まぁ今のわいは何も出来へんけどなぁ…」
マモノはそう言って自嘲気味に笑った。
その目には…涙が流れていた。
「時雨と」
『ペルの』
「『楽しい雑学』」
「今回は騎士について」
『文字通り『騎乗して戦う者』を指すぜ』
「作中の謎の騎士さんは正確に言えば騎士じゃないだよねそういう意味では。」
『ヨーロッパでは騎馬で戦う者に対する名誉称号であり、そこから派生した階級でもあるぜ!』




