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鉄壁のギルガⅢ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
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10 新パーティの初仕事

新規メンバー参加後の初仕事の結果は?・・・

 それは、蹂躙(じゅうりん)だった。

 圧倒的なまでの暴力の前には、何もかもが無力だった。

 (やいば)は折れ、矢は尽き、盾は打ち砕かれた。

 火炎が、氷槍(ひょうそう)が、水流が、疾風(しっぷう)が、電撃が、無数の刃となって、敵に襲い掛かった。

 元より脆弱(ぜいじゃく)な者たちは、()(すべ)もなく、大地に(むくろ)(さら)していた。

「初撃、成功です。

 予定通り、ゴーレムはいったん引き上げましょう!」

「了解!

 ゴーレムちゃんたち、戻りなさい!」

 エンゲの(げん)にしたがい、指示を出す、ビステテュー。

 草原を並んで進んでいたゴーレムたちが、一斉に(きびす)を返して戻り始める。

 わずかに生き延びたゴブリンどもが、おっかなびっくり背後から攻撃をしかけるが、装甲で覆われているゴーレムたちに、損傷を与えることはできない。

「さて、我らの出番かね。」

「掃討戦とは言え、まだ隠れている数は多いようです。

 安全重視で、よろしくお願いします。」

「おうよ!」

 特製の皮鎧に身を包み、金属の爪を埋め込んだ両手の手甲(てこう)を打ち合わせつつ、ニナが駆け出す。

 少し遅れて、重装のギルガが追いかける。

 すっかり手に馴染んだ長剣と盾は、たちまちゴブリン共の鮮血で染まっていった。

「援護、よろしくお願いします!」

 背後のシャーナにそう言いつつ、自身も弓を構えるエンゲ。

 ゴブリンを蹴散らしながら進むギルガとニナの頭上を越えて矢が(はし)り、天上から火炎弾(かえんだん)が降り注ぐ。

 着々と、ゴブリンの数は減っているようだ。

「そろそろ・・・かしらね?」

 ビステテューのつぶやきに応えるかのように、その視線の先に煙が上がった。

 ゴブリンの巣の、事前に調査済みの抜け穴のうち、もっとも大きく出入りの多いものを除いたすべてに、それぞれゴーレムが二体ずつ配置されている。

 その一方が火炎を放出し、もう一方が穴の内部に風を送る。

 炎と煙に巻かれたゴブリンたちが脱出する場所は、たった一つだ。

「逃げ足が速いのが、もう出てきました。

 今のところは、雑魚(ざこ)ばかりのようです。」

「リーリアさん、準備はできてますね?」

「いつでも、大丈夫です!」

「ホブゴブリン、来ます!」

「火炎魔法を集中してッ!」

「獄炎弾!連撃!」

 ホブゴブリンの数だけ火の弾が放たれ、目標を打ち抜く。

「お見事!」

「頭目はまだッ?」

「まだ・・・いや、来ます!」

 その者が出現した瞬間、明らかに空気が変わった。

 まるで、太陽さえ光を減じたように、大気は冷え、口腔(こうくう)に苦味が広がった。

 敵は防御結界を張りつつ、呪術魔法の詠唱がかすかに聞こえてくる。

「リーリアさん!」

「抗呪結界、広域展開!」

 その瞬間、太陽の温もりが蘇った。

 視界から、黒い(かすみ)が吹き払われる。

(とど)めよ!ドラムちゃん!」

「火炎防御!」

 最後尾に控えていたドラゴンゴーレムから、火炎ブレスが(はし)る。

(あつ)ッ!」

 リーリアが展開した防御結界で相殺しきれなかったのか、エンゲの悲鳴が上がる。

「ぎゃあああががががががあっ!」

 つい先刻までゴブリンの首魁(しゅかい)が立っていた場所から、火の柱が吹き上げた。

 よく見ればそれは小柄なヒト型をしていたが、程なく、炎の中で崩れ落ちる。

「やった・・・か?」

「まだ、気を抜かないで!

 一匹でも逃がしたら、またすぐに増えるわ!」

「分かってますって!」

 焦げた髪から手を離し、エンゲは意識を周囲に巡らせる。

 大きな魔力を持つ敵は、もはや存在せず、逃げ惑うゴブリンは、一匹、また一匹と討たれてゆく。

 程なく、草原の地下に住処(すみか)を構えていたゴブリンどもは、一匹残らず掃討された。

残念エルフのエンゲ「なんか、あっという間に終わっちゃいましたね。」

男前ドワーフのニナ「残り一回、まだ、気を抜くんじゃないよ!」

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