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「あやちゃんも元気だねぇ」
ヒロがにこにことつぶやく。
すごいなこの男は。えらいことになっていたカップルをあっという間にもとに戻してしまった。
「…合コンどうしよ」
“あやちゃん”の友だちなのだろう。やけに気合いの入ったメイクをした女が茫然とした顔でつぶやいた。
「うーん、僕が代わりにいってあげようか?」
話からするとあやちゃんが行くはずだったのではないのか。そうすると女性が足りないのだろうから、ヒロが行っても意味がないのではないだろうか。
「…そうね。それがいいわね」
え。いいの?
「さあ支度をおし!ポチ!」
「僕ヒロだよ~」
あやちゃんはすごい友だちをお持ちのようだ。彼女はヒロの腕をがしっとつかみ、嵐のようにこの場を立ち去って行った。