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繋がれた誓い ―白の誓い―  作者: 鏡 黒兎
1/10

共通ルート、その1

ねぇ、君の名前は?




ミスリア・イル・キネア




そっか。じゃあミスリア、一緒にあそぼ?






※   ※   ※   ※




ガタン――。


「お嬢様、到着いたしました。」

「わあぁ――。」


到着した城は白くそびえたち、物語に出てくるイメージそのままでした。

……もっとも、お兄様が執務を行う本宅は、今目の前の王城に負けず劣らず、立派なものなのですが。


「お嬢様、お手をどうぞ。」

「はい、ありがとうございます。」


護衛士として、今日の私のパートナーを務めてくれるギイニが先に降り、手を差し出してくれました。


「お兄様は、もう到着なさっているのでしょう?」

「えぇ、先にお仕事を済ませて、そのまま式典に参加なさるという話でしたから。」

「それにしても……あの、本当に、私なんかがこんな場所にきても、大丈夫なのでしょうか……?」


私は、お兄様と半分しか同じ血は流れていません。つまり、愛人の子どもです。

だから、こんなお城で開かれるような夜会に参加するのは初めてです。

しかも今日は王子様の生誕十六年を祝う宴席なのです。

しかし私は、公爵家の娘としての教養をあまりちゃんと積んでいない自覚があります。

だから、私のような者がこのような場に顔を出すなど、お兄様の恥になってしまうのではないでしょうか――。


「ふっ……大丈夫ですよ、お嬢様は人に慣れていないだけで、誰より素敵なお嬢様ですから。」

「しかし……。」

「心配でしたら、私のお傍を常に離れなければ大丈夫ですよ?変な輩など、近づけさせませんから。」

「わかりました。頼りにしています。きゃっ……。」


手が持ち上げられたと思ったら……口づけが落とされました。


「ええ、私の可愛いお姫様、どうぞ仰せのままに――。」


ギイニが上目づかいに、そう言ってきました。

それこそ、まるで、物語の騎士のように。

……そういう気障なとこのある従者なのです。




※   ※   ※   ※




そもそも、これまでこうした行事に参加してこなかった私が、急にお兄様に呼び出されたのはつい先日のことでした。


「――お兄様、お話があると伺ってまいりました。」

「ああ、ミスリア、そこにかけなさい。」


お兄様が私をこうして呼ぶことは、あまりありません。

十一年前にお父様が亡くなられて以来、お兄様は若くして公爵の地位を継ぎました。

そのため、一日本を読んだり刺繍やお裁縫くらいしかすることのない私と大違いで、お忙しいのです。

それなのに、お兄様は私が退屈しないようにと、毎日の夕餉で私の話を事細かに聞いてくださる優しい方なのです。


「お兄様、それでお話というのは……。」

「あぁ、そうだな。実は、三日後、王城で王太子殿下の誕生祝いの宴席があるのだが、断ろうとしたところ、お前も参加するように命じられてな。」

「三日後……ですか?断ろうとなさっていらしたのですか?」


優しいお兄様は、きっとそういう場に慣れていない私を思って断ろうとしてくださったのでしょう。

今までも、そうして幾つかのお誘いを断ってくださっているとギイニが話しておりました。

優しいお兄様なのです。


「ああ、お前はああした場は苦手だろう?それに、先日病にかかったばかりだ。」

「まあお兄様、病と言っても、少し咳が出ただけの、軽いものですわ。ですが……ご心配、ありがとうございます。」

「たった一人の家族なんだ。当たり前だろう?」

「そう言っていただけて、とても嬉しいです。」


ほら、お兄様は優しいのです。

昔から、お兄様はそうなのです。

母君が違うというのに、お兄様はそんなこと気にせず優しくしてくださいます。

お兄様のお母様、つまり私にとってのお義母様は、そうではありませんでした。

でもお兄様は、お義母様が私を叱ると、必ず庇ってくれるか守ってくれるかしてくださいました。


「それで、断ろうとしたんだが、陛下に是非に、と言われてしまってな。私としてはお前の体調がまだ優れないなら断るつもりなのだが……どうだろう?」

「まあ、陛下が?いえ、私は体はもう十分元気です。」


本当は人の多い場は苦手なのですが、陛下直々のお言葉となれば、そうはいきません。

これで無理に断っていただいては、お兄様に迷惑がかかるでしょう。

出来損ないの異母妹して、せめて迷惑をかけないようにするべきでしょう。


「そうか……。ではそのように、返事をしておく。それと、私は当日公務があって、王城から直接そのまま宴席に参加することになる。本来ならば私がパートナーを務めたいのだが……ギイニに任せる。」

「そう……ですか。」


少し残念です。

お兄様の正装は、家族の欲目を抜きにしても、とても様になっていてかっこいいのです。

それに、最近はお忙しいらしく、夕餉も一緒にできないことが続いておりました。

なので、久々にお話できるかと期待していたのですが……。


「ふっ……そんな顔を他の男には見せないように。」

「え?」


お兄様が微笑んで、こちらを見つめておりました。

私の、子どもじみた心の声が、漏れていたのでしょうか……?

半分とはいえ血のつながったお兄様だというのに、ついドキドキしてしまいました。

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