02
マニカがそう言うとまた周囲からどよめきが上がった、フォルマリックも前髪の隙間から覗いた青色の瞳をパチパチをさせている
(あら、思ったより素材が良いわ
声もちょっとノイズが入ってるけどハスキーボイスが素敵ね)
そんな周囲をざわめかせる事を言ったのに呑気に考えていたマニカ、少し目線を逸らすとホレンとベリーはニヤニヤと笑っている
(これ以上は居心地悪いでしょうね)
『ゴリュディーア様、色々とお話したいので二人で抜け出しませんこと?』
「え、あ、、、えぇ?」
困惑しているフォルマリックにマニカは扇子で顔を覆ってフォルマリックに聞こえる声で話した
『これ以上人の目に晒されるのはお辛いでしょう?
付いてきた方が貴方様がこれ以上傷付く必要は御座いませんわ』
「あっ、、、あ、あぁ」
『では此方へ』
マニカはフォルマリックを連れて出ていこうとするとベリーはニンマリと顔を歪めて笑い出した
「あぁ、実に素晴らしい日ねぇ
醜い顔の田舎令息と穢れた血の守銭奴令嬢、、、
ねぇ殿下、実にお似合いの夫婦でなくて?」
「確かになぁ、、、皆の者!
この穢れた者同士が結ばれたこの瞬間に拍手を送ろうではないか!」
そう言うとフォルマリックとマニカを見下している令息と令嬢達は大きな拍手をした
この状況に訝しんでいる者も居るが王太子であるホレンに逆らえないのか小さく拍手している
マニカは実に下らないと思いながら黙ったままのフォルマリックを連れて会場を後にした
マニカは自分が乗ってきた馬車へと向かうと馭者のチマンが待っていた
「おやお嬢、お速いお帰りで、、、其方の方は?」
『私の結婚相手、かしら』
「はぁっ!ど、どう言う事ですかい!?」
『話は後よ、、、ゴリュディーア様、少しこの中でお話しましょう』
「は、はぁ、、、」
会場の何処かの部屋で話をして会話を聞かれたくないからと簡素な馬車の中へとフォルマリックを招き入れるマニカ
向かい合わせで座り落ち着いたのを確認するとマニカは告げた
『ゴリュディーア様、先程の私のお言葉にお答え願えますか?』
「その事なんですがハイニー男爵令嬢、一体どう言う事ですか?
何故、こんな醜い僕と、、、」
醜いと自分を卑下するフォルマリック、恐らくあのベリーに日頃からそう言われ続けてきたのだろう事は明白だった
『簡単に言いますとね、私は貴方をビジネスパートナーとして迎えたいのです』
「ビジネスパートナー、、、ですか?」
『えぇ、我が男爵家領地の特産物はご存知でしょうか?』
「えぇ、ハイニー男爵令嬢のお父上のご実家が売り出している蜂蜜だとか
その中でも特に人気なのが年に数点しか売られていない蜂蜜
確か、、、"ハニー・バービー"と」
『そう、、、その蜂蜜が問題なのです』
蜂蜜は二種類あり大量生産可能な蜂蜜と希少な蜂で作るハニー・バービーだ、ハイニー商会が主に取り扱っているのは大量生産可能な蜂蜜で此方は安くそして広く取り扱っているがハニー・バービーは実に高価で主に貴族が購入している
『ハニー・バービーは実に蜂の扱いがとても難しいのですわ
けれどその分濃厚で熟成された甘さと柔らかい酸味が特徴なのですがね
私もお父様もこのハニー・バービーをもう少しでも多く生産出来れば良いと考えているのですが、、、領地内で作るには限界が有りますの』