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婚約破棄と言う茶番劇

幾つも連なる山脈に囲まれたブリューべ王国、その王都内にある学院の卒業パーティーは煌びやかで輝かしいものだ、なにより大人の貴族達の仲間入りとなりこれからの身の振り方を考えなければならない大切なパーティーである

しかし今年の卒業パーティーは実に波乱で実に下らないものだった


「フォルマリック・ゴリュディーア辺境伯令息!

わたくし、ベリー・ワイリーは貴方との婚約を破棄したしますわ!

わたくしの様な公爵令嬢と言う高貴な身分が貴方の様な田舎令息の妻になるなんて真っ平御免です事よ!」


「その通り、何より君の様なそばかすだらけで醜い体型の男はベリーに相応しくない!

よってベリーはこの皇太子である僕ホレン・ブリューべの未来の国王妃として迎える!

そして君は不釣り合いにもベリーの婚約者として居座った罪として、、、"守銭奴令嬢"マニカ・ハイニー男爵令嬢との結婚を命じる!!」


『、、、はい?』


目の前で行われている惨劇を傍観しながら琥珀色の髪の毛と瞳を揺らしてケーキを食していたマニカは思わずフォークを落としそうになった


「あの守銭奴令嬢と!?」


「いや、でもある意味」


「穢れた者同士お似合いでは?」


ブリューべ王国の皇太子であるホレンから告げられた言葉に周囲からざわめきが上がったが直ぐにそれは驚愕から失笑へと変わった

それを聞いてマニカは内心ムッとした


(なによ、お父様が入婿の元平民ってだけで穢れた血だなんて

それならあなた方のお父様はさぞ立派な功績を残されたのでしょうねぇって言ってやりましょうか?)


実際マニカの父ミードが会長を務めるハイニー商会は大きく幅広い分野でツテがある事で有名、その立役者がミードで国王陛下からその褒美として準男爵家だった母バービーの家を男爵家に陞爵させたと言う功績があるのだ

だがその事を知っていても貴族間ではミードが元平民であると言う材料で下に見ているのだが


(けれど、、、フォルマリック・ゴリュディーア辺境伯令息、ね)


マニカは持っていた皿とフォークを置いてその騒がしい場に出てくるとカーテシーをして先程婚約破棄された辺境伯令息を見る

青色の髪の毛はざんばらで目元迄伸びた前髪、頬にはそばかすがあり日に焼けているのか肌も少し黒い

それでいて体型もお世辞を言うなら縦にも横にもふくよかな様子だ

その上此方を不安そうに見る表情は何処か弱々しく頼りない印象を受ける

確かにお世辞にも外見が整っているとは言えなかった、しかしマニカには関係無い


(確か彼の家が治める領地は広大な土地を使った牧場でチーズが盛んでそれを他国にも輸出していたわね

肌の焼け具合から見て随分と忙しく走り回っていたから、、、そのせいで身嗜みが悪いのね

せっかく上等なお召し物をしてるのに随分と浮いているわ)


そう思いながらもマニカはこの言い渡された結婚話に嫌な気はしなかった

何故ならハイニー商会が最も売り出しているのはミードの実家の養蜂場で採れた蜂蜜、蜂蜜とチーズは相性が良く何より辺境伯家は他国との輸出に長けている

つまりマニカにはメリットしかないのだ


「ハイニー男爵令嬢、、、この様な事になってしまった事を謝罪させて下さい」


『顔を上げてください、構いませんわゴリュディーア様

それに私、この結婚に異議は有りません』


「え?」


『差し出がましいでしょうが、、、私と結婚して下さること?』


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